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サードシーズン2010年11月

私的映画宣言

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私的映画宣言 サード・シーズン11月

筆者の近況報告

山縣みどり

生まれて初めてスペインに! ガウディ建築の力学的かつオーガニックなデザインは素晴らしいと思うけど、趣味は悪いなとしみじみ。でもって「サクラダ・ファミリア」がなかなか完成しないのは、のんびりと仕事する国民性だろうなと思いました。映画館が見つからず、何を上映していたのか???
●11月公開のおススメ映画は、『442 日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍』(11月13日公開)。

斉藤博昭

『ぼくのエリ 200歳の少女』のハリウッドリメイク版『Let Me In』を鑑賞。オリジナルに忠実過ぎてやや肩透かしだけど、クロエ・モレッツのいたいけな表情に大女優の将来が見えた。『キック・アス』からの急成長に驚き!
● 11月のオススメ映画は、『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』(11月5日公開)。

高山亜紀

日に当たるとアレルギーが出るので、太陽を避けて暮らしていたら、久々に会った友人に白過ぎると仰天されてしまった。『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソンばり。ただ、わたしの場合、首も同じ白さです。
● 11月のオススメ映画は、『マチェーテ』(11月6日公開)。

中山治美

夜中に庭の方からガサガサッ! と音がしたからのぞいたら、タヌキかハクビシンと目が合った! ここは東京・杉並ですよ。ウチは自然が豊か過ぎて、モグラに巨大カエル、ヤモリなどとも頻繁に遭遇。動物さん、いらっしゃい!
● 11月のオススメ映画は、『リトル・ランボーズ』(11月6日公開)。

小林真理

3週間のニューヨーク出張から帰国。コミコンに初参戦したのだが、『ハンナ/Hanna』(原題)『ザ・シング/The Thing』(原題)、『ウォーキング・デッド』(原題)といった作品のパネルで初公開フッテージを目撃し大興奮。連夜のライブざんまいではDeerhunterとSwansにノックアウトされました。
● 11月のオススメ映画は、『リトル・ランボーズ』(11月6日公開)。

エクリプス/トワイライト・サーガ


TM & © 2010 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

ステファニー・メイヤー原作の世界的ベストセラーを基に、人間とヴァンパイアの禁断の恋を描きヒットした『トワイライト』シリーズ第3弾。本作ではヒロインを守るため、一時的に手を組むヴァンパイアのエドワードとオオカミ族のジェイコブとの三角関係を主に描く。メインキャストは前作同様クリステン・スチュワートロバート・パティンソンテイラー・ロートナーらが続投。さらに先の見えない恋の行方と迫力の戦闘シーンも必見。

[出演] クリステン・スチュワート、ロバート・パティンソン、テイラー・ロートナー
[監督] デヴィッド・スレイド

山縣みどり

3点シリーズ最高の出来との前評判を聞いていたせいか、「何じゃ、こりゃ?」と松田優作になっちゃいました。原作通りとはいえ、いまだに三角関係で引っ張れるわけ? エドワードの態度が気に食わないとジェイコブのバイクに乗るベラだけど、あんた、そんな娘だった? ゴス・ロマンを解さない無粋なわたしには、すべてが「ケッ、しゃらくせぇ」な展開でした。面白かったのは、オオカミ族と生まれたてヴァンパイアの戦闘シーンで、この場面はあと3分長くても良かった。肝心のヴィクトリアとベラの対決も「ぷぷぷっ」なわけで、ブライス・ダラス・ハワードに代えた意義も不明のまま。ファン向けだね。

斉藤博昭

4点ヴァンパイアの戦いが過熱するこの3作目は、デヴィッド・スレイドがメガホンを取ったことで『30デイズ・ナイト』のような血なまぐさいアクションとダークな映像美への変革を期待した。その点は、ほどほどにクリア。変身シーンなどがやや物足りなく、やっぱ物語のポイントは三角関係なのだと改めて納得したよ。ヒロインをめぐる男子二人の言い合いが、シリーズファンにとって一番の見せ場かも。4部作の3作目なので、ラストに向けた寸止め感が強いのは仕方ない?

高山亜紀

8点1作目のラブラブな感じから一転、2作目はアクション色が強くなり、多くの女子が落胆したものだが、今回は何とか軌道修正してくれたもよう。それどころか女子妄想心をくすぐる「普通の女の子がイケメン二人を翻弄(ほんろう)する三角関係」、その極みを見せてくれた。自分のために命を懸け、種族まで超えてくれちゃう美男子二人! 個人的にはテイラー・ロートナーくんがますます美しく、どんどん脱いじゃうのが目の保養。次回も期待しています。

中山治美

6点前作からわたしの心はすっかりオオカミ族ジェイコブの方に。マッチョな肉体と野性味あふれる、りりしい顔立ちがたまりません。なので、ベラとエドワードとジェイコブの三角関係がさらに激化した本作が、まどろっこしくて仕方ない。またベラが中途半端にジェイコブを心配するんだ。罪だわぁ、小悪魔だぁ、この小娘が! そんなマイLoveのジェイコブが大活躍するバトルが今回の見どころ。それも短けぇ~。筆者の欲求不満は次回で解消されるか!?

小林真理

5点究極のピューリタニズム映画第3弾。幸薄顔の小娘をめぐるヴァンパイアとオオカミ男の愛のデッドヒートもいよいよ佳境! 今回もお花畑で愛をささやくなど赤面シーン満載だが、過去2作ほど苦笑できず。ヴァンパイア大戦争勃発(ぼっぱつ)で展開はよりダークでシリアスになり、アクション色もサスペンス色も濃くなった。監督が『30デイズ・ナイト』デヴィッド・スレイドということでゴア描写も見どころなのだが、なんか下手な前衛アートみたいなことに……。まあ乙女のための映画だからね! 音楽のチョイスはお見事でサントラは充実。

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ゴースト もういちど抱きしめたい


(C) 2010「ゴ-スト」製作委員会

1990年に公開され、大ヒットした『ゴースト/ニューヨークの幻』の舞台を、現代の日本に移して描く切ないラブストーリー。突然命を奪われ、ゴーストとなっていとしい人の近くにとどまる女性とその恋人の悲恋を映し出す。デミ・ムーアパトリック・スウェイジが演じた当たり役を『眉山‐びざん‐』松嶋菜々子と、『宿命』の韓国の人気俳優ソン・スンホンが熱演。肉体が朽ち果てても、ただ一心に相手を思い続ける究極の愛の物語に涙が止まらない。

[出演] 松嶋菜々子、ソン・スンホン
[監督] 大谷太郎

山縣みどり

6点企画を聞いた瞬間は「ダメじゃん」とバカにしていました。ごめんなさい。「I Love You」と口に出せない恋人や殺害されるヒロインとその親友との関係など、原作のエキスを上手に料理した脚本家コンビの勝利! 違和感がないのよ。それと、ソン・スンホンのキャスティングも効果的でした。日本男児には超不自然な「愛してる」というセリフが韓流俳優にはハマった。お約束の、ろくろ回転シーンと主題歌のパロディー感は否めないけど、オリジナルを知らない世代には新鮮かも。先入観を持たずに観てほしいな。

斉藤博昭

3点オリジナル版以後、『シックス・センス』など死者との感動物語がいくつも作られてきたのに、死ぬ側の男女逆転以外、基本設定があまりに同じで逆に面食らってしまった。よって「新しく生まれ変わった『ゴースト』」というより「パロディー」に見えてしまうのが残念。樹木希林の存在感が大き過ぎるし、不必要なゲスト出演がテレビのバラエティー的で、芯となるべき純愛ドラマ以上にコメディー色が濃厚になった気も……と、大人的ツッコミを入れずに観れば、素直に感動できる可能性も!?

高山亜紀

6点有名なろくろのラブシーンはギャグにも使われるほどなので心配したが、しっとりとロマンチックに仕上がっていて、さすがは美男美女、画になると感心。が、肝心の内容はオリジナルがあんなに泣けたことを考えると、ずいぶんとあっさりしている気がする。思うに「悔しい」とか「許せない」とか負の感情のイメージがなさ過ぎる松嶋菜々子にこの役柄は厳しいかも。ゴースト前は良かっただけに残念。脇は素晴らしく、特に樹木希林が最高。

中山治美

5点スンホン・ファン向けには最適な企画。モムチャン(韓国語で、最高の体)な肉体と「サランヘヨ」のセリフ、そして堅実なラブストーリーとくれば、安心して観られるもの。ただ筆者はスンホン・ファンじゃないので、パロディーとして楽しませていただきましたよ。わかりやすい犯人像とか、「日本版ウーピー」こと樹木希林のベタな笑い、事件のカギを握る手帳がワープしている驚きとか、ツッコミどころ満載で途中から楽しくなっちゃった。でも2回は観ないよ。

小林真理

4点なぜこの2010年に、しかも日本で『ゴースト/ニューヨークの幻』を製作したのか? と疑問に感じている人も少なくないのでは? 結果的にオリジナルを表面的になぞっているだけで、設定を一部ドラスチックに変えているが、そこに意味はあったのだろうか? という浮かばれない感じになってしまった。キャラクターの作り込みは浅く、二人のロマンスも唐突でドラマ性が薄く説得力に欠けるので、ラブストーリーとしても弱い。樹木希林が過剰にエキセントリックな演技で笑わせるという喜劇には茫然。

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ゲゲゲの女房


©水木プロダクション / 『ゲゲゲの女房』製作委員会

「ゲゲゲの鬼太郎」などで日本を代表する漫画家・水木しげるを、妻として支えてきた布枝夫人の自伝を映画化。お見合いをして5日後に結婚した水木しげると布枝夫人が、貧乏時代を経て、人気漫画家となるまでの半生がつづられる。原作者でもある布枝夫人を演じるのは『釣りバカ日誌20 ファイナル』吹石一恵。監督や脚本家としても活躍中の宮藤官九郎が水木を演じる。苦楽を共にする夫婦の究極の純愛が堪能できる一作。

[出演] 吹石一恵、宮藤官九郎
[監督] 鈴木卓爾

山縣みどり

6点好きな漫画だけ描いていれば良かった水木しげる先生を、陰日なたになって支えた女房の物語はすでにNHKの朝ドラになっているけど、凝縮して見せるという映画ならではの力を感じた。「水木先生=妖怪に固執」という前提でドラマに挟み込んだ妖怪キャラはまったく意味がないが、極貧な日々を何とかやりくりしようと頑張った女房の「昭和の女力」にはただただ敬服。吹石一恵さんの、穏やかなように見えて1本芯が通ったたたずまいが役柄にぴったり。本筋にはまったく関係ないけれど、向井理との貧乏生活は我慢できても、クドカンとは嫌かなぁというのが正直な感想でした。

斉藤博昭

8点NHK朝ドラと同じ物語なのに、まったく対極の印象! 貸本屋や質屋、バナナなどのエピソードに、別の役で登場するキャストなど、朝ドラを見ていた人は「共通項」を見つける楽しみがあるが、より本物に近い(であろう)極貧生活が身につまされる作りになっている。家の外の工事や車の音を強調した、静かな漫画家の日常がリアルだし、クドカンが貧乏アーティストの風ぼうにハマり過ぎ。「背中、流してください」のセリフに込められた、つつましい夫婦愛に泣けた。

高山亜紀

7点昭和の設定なのに、突然、現在の調布駅前が出てきたりする。そのインディーズ映画的なざらっとした味わいが、妖怪が出てきても何ら違和感を覚えさせない不思議な世界観を構築している。クドカンのいい具合に貧相(褒めてます)な外見や吹石一恵の律儀そうな風ぼうも昭和の香りがして、好感が持てる。NHKの二人は昭和をやるには華があり過ぎたかな。クドカンの「ハハ」っていう乾いた笑い方が水木しげるを思い出させ、印象に残った。

中山治美

7点同じ原作なのに、作り手が変わればこうも変わるのか! と実感。朝ドラ版が毎日15分に1回は感動があるのに対し、こちらはひたすら貧しい。加えて昭和30年代を舞台にしていながら、東京駅も調布駅のシーンも堂々と現代の建物をバックに撮影しているのがシュール。低予算映画ならではの試みなのだろうが、起伏のないストーリーも、撮影も、現実ってのはこんなモンという開き直りが妙な味になっている。しっかしクドカン、ビンボー役がお似合い(笑)。

小林真理

7点テレビドラマ版は見ていないし原作も未読だが、それが功を奏したのか、冒頭から一気に世界に引き込まれた。非常に力強く吸引力のある作品である。才能のある芸術家が全員売れっ子なり有名人になるわけではないが、ではなぜ水木しげるが大漫画家になるに至ったのか? その答えの一部がここで明かされる。盲信的なほど妖怪に取りつかれた男の信念と妻の献身的な支援もそうだが、何より妖怪を愛することで彼は「妖怪」(もしくはそれに相当する見えない存在なり力)に愛されたのだ。

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筆者プロフィール

今 祥枝斉藤 博昭前田 かおり
中山 治美鴇田 崇相馬 学
高山 亜紀小林 真里山縣 みどり
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