『ウォール・ストリート』特集-第2弾:オリヴァー・ストーン監督に聞く「成功する秘けつ」
ただひたすらに成功を追い求める主人公ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)の、強欲な生きざまを描いた『ウォール・ストリート』を生み出したのは、アカデミー賞受賞監督でもある巨匠オリヴァー・ストーン。自らも金と欲望が渦巻くハリウッド映画界で、数々の試練を乗り越えながらも栄光をつかんだ。そのストーン監督が、成功の秘訣(ひけつ)を語った。
- 主人公ゴードン・ゲッコーの生き方について、どう思いますか?
- ゴードンは、23年前に公開された『ウォール街』で、金や女、すべてのことに対して強欲な男として描かれていた。わたしが思うに、ゴードンの生き方は変わることはないんだ。金にも汚い、強欲な野郎。あいつのサイテーなところがおれは、すごく好きなんだよ。
- あなたも若いころは、成功に貪欲だったのでしょうか?
- もちろん! わたしが若かったころは、とにかく野心にあふれていたよ。欲望を持つことは、悪いことじゃないと思う。日本のマスコミからインタビューを受けるたびに、「日本の若者には野心がない、欲望がない」と聞くが、それじゃダメだよ。ウォール街で働く者たちは、欲望でギラギラしていた。彼らのような野心を、ぜひ日本の若者にも持ってほしいね!
わたしはもともと、自分の映画にちょっとだけ出演するのが好きなんだ。ほんのいたずら心だよ。今回も、ここでちょっと顔を出したら面白いかなと思って出演してみたんだ。どのシーンに出ているか言ってしまうとつまらないから、ぜひ探してほしい。なかなか貫禄が出ているはずだよ(笑)。この映画のカメオ出演者は、実はたくさんいて、チャーリー・シーンやウォール街で活躍している本物の投資家にも出演してもらっているんだ。
- ゴードンは、インサイダー取引がきっかけで逮捕され、人生を再び見つめ直すことになります。あなたにも人生を変える転機はありましたか?
- やっぱり自分自身が逮捕されたことだろうね……。薬物や飲酒問題で、自分が逮捕されたとき、わたしはゴードンと同じように、今までの人生を振り返った。逮捕されるということは、とても恥ずべきことだが、あの過去があったからこそ、自分は変わったと思う。人はどん底に落ちたとき、自分の人生にとって一番大切なものが見えてくるんじゃないかと思うよ。
- ズバリ、「本当の成功」とは、どんなものだと思いますか?
- 「本当の成功」とは、金や権力なんかより、もっと人を幸福にするものだよ。それは、映画の中でシャイア・ラブーフとキャリー・マリガンという若い2人が素晴らしい演技で表現してくれている。家族の愛は無償で、人生を豊かにするものだとわたしも思っているよ。金を得ることだけじゃなく、人生のすべてが充実してこそ、人は成功をつかんだといえると思うね。
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