第35回 トム・クルーズ デビュー30周年記念&『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』公開記念スペシャル
LA発! ハリウッド・コンフィデンシャル
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トム・クルーズ デビュー30周年記念&『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』公開記念スペシャル
ロサンゼルスも冬の気配が色濃くなってきましたが、日本の映画ファンの皆さんはいかがお過ごしですか?
そろそろ冬休みの大作シーズンがやってきますが、注目を集めているのはトム・クルーズ主演のアクション超大作映画『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』。実は今年でデビュー30周年を迎えたトム。人気者が目まぐるしく変わるセレブの世界でこれだけ長いことスターの座を維持しているのはやっぱりスゴイ!
というわけで今月のハリコンは、そんなトムに敬意を表して、彼のデビュー当時を振り返りながら新作『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』をご紹介していきたいと思います。
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一言でキャリア30年といっても長いですよね。ひょっとしてハリコンを読んでくださっている映画ファンの中には、まだ生まれてなかったという方もいらっしゃるかもしれません。
1962年7月3日ニューヨーク北部のシラキュースという町で生まれ、今年49歳というトム。映画『エンドレス・ラブ』(1981)の端役でデビューしたのは19歳のときでした。この『エンドレス・ラブ』という映画をご存じでしょうか? 美少女女優だったブルック・シールズが主演のラブ・ストーリーで、トムはヒロインの恋人に放火をそそのかす悪友役で、ほんのわずかな出演シーンにもかかわらず強いインパクトを放っていました。さらに、ライオネル・リッチー(ニコール・リッチーのお父さん)の歌った同名テーマ曲も爆発的にヒットしました。
この後トムは、当時ノリに乗っていた同年代のティモシー・ハットン主演、ショーン・ペン共演で、日本では1982年5月に公開された映画『タップス』に出演します。
ストーリーは、閉校の危機にさらされた士官学校の生徒たちが校舎に立てこもり、学校の存続を要求することから起こる悲劇を描いたかなりシリアスなもの。その悲劇の火付け役となるのがトム演ずる隊長格の士官候補生のデイビッド。彼の血気にはやった危険な行動が部下の士官候補生たちの運命を狂わせていくさまは、当時アカデミー助演男優賞を取って絶好調だった主演のティモシー・ハットンを圧倒する存在感で、映画ファンはもとより、ハリウッドの関係者たちの脳裏に深く焼き付いたのでした。
この後、若者向け小説「アウトサイダー」の同名映画化作品(1983)、初の主演作となる映画『卒業白書』(1983)と立て続けに出演し、トムはスターダムを駆け上がります。このときまだ高校生だったわたしは、『卒業白書』でトムを見て「この人はとんでもない大スターになる!」と確信したことを今でも覚えています。
そして1986年の超ヒット作『トップガン』での主演。これはもう説明しなくても皆さんご存じの通り。同じ年に、往年のクラシック映画『ハスラー』の続編で大御所ポール・ニューマンと共に主演した映画『ハスラー2』、1988年の『カクテル』、ゴールデン・グローブとアカデミー賞作品賞受賞作品となった『レインマン』、1989年の『7月4日に生まれて』では惜しくも受賞は逃したもののアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、トムは名実共に世界のスーパースターの仲間入りを果たしたのでした。
この後も、トムの主演する作品は魔法がかかっているかのように米国内だけでなく世界中で確実に大ヒットを記録。1992年の『ア・フュー・グッドメン』ではベテラン俳優ジャック・ニコルソンと対等に渡り合いゴールデン・グローブ男優賞候補にもなりました。そしてベストセラー小説の映画化作品『ザ・ファーム/法律事務所』(1993)、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994)と続き、1996年には再びアカデミー賞主演男優賞候補となった『ザ・エージェント』の大ヒットと、とにかく出せば当たるハリウッドの4番打者、ゴールデン・ボーイの地位を確立します。
以前、インタビューでトムが語っていたのですが、パラマウント映画に『ミッション:インポッシブル』の企画を最初に自分で持ち込んだとき、「そんなカビ臭い昔のテレビ番組を大きなスクリーンでやろうなんて……」と、一部のお偉方からは失笑を買ったそうです。それでも持ち前の熱血漢ぶりで売り込んだのでしょう、最終的には、見事に映画プロデューサー・デビューを遂げ、同時に主役となりました。この映画は世界中で大ヒットしてシリーズ化へと、トムのキャリアにおいて重要な一歩を刻みます。
1996年の第1作目から早くも15年が過ぎて、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』はシリーズ4作目。日本では12月16日公開予定ですが、この新作にもトムの並々ならぬ気合が感じられて、期待はここアメリカのみならず世界中でヒートアップ中のようです。
モスクワのクレムリンが爆破され、トム演ずる主人公イーサン・ハントをはじめIMFの仲間たちに爆破容疑が掛けられる……という今回の始まり。ベルリン、上海、イタリアで撮影が行われた『M:i:III』をしのぐ海外ロケ地の超豪華さが、何といってもスゴイ! んです。お金持ちシティーの異名をとる中近東のドバイをはじめ、プラハ、ムンバイ、バンガロール(インド)、カナダ、モスクワとエキゾチックで豪華絢爛(けんらん)なロケ地。特にドバイではロケ地自体のきらびやかさもさることながら、そこでトムが見せるスタントがものスゴイ! 高さ828メートル・160階建ての世界的に有名な超高層ビル、ブルジュ・ハリファの壁面にワイヤー1本でぶら下がって、登ったり下りたり縦横に駆け巡ったり……、一切代役の世話にはならずにすべてトム自らがこなしたとのこと。 高所恐怖症のわたしなんて、地上から約1キロの高さを想像しただけで目まいがしそうですが、とにかく、俳優が行う一般的なスタントのレベルを優に超えています。トムのスタントの撮影が決行された日には、その前代未聞の様子をカメラに収めようと世界中から取材陣がビル周辺に押しかけたそうです。
以前から自分のスタントはできる限り自分でやるというのがトムの主義ですが、これはさすがにプロのスタントマンでも上級の技。大画面で見るのが超楽しみです!
この作品には、『ハート・ロッカー』(2008)でアカデミー賞主演男優賞候補となったジェレミー・レナーが出演しています。どうやら彼の役はトム・クルーズがイーサン・ハント役を引退することにした場合に、シリーズの主役をとって代わる存在となるキャラクターといわれています。トムのいない『ミッション:インポッシブル』シリーズなんて考えられませんが、ジェレミーはすでに『ザ・タウン』(2010)でもインパクトある演技で映画ファンを楽しませ、来年度の話題作『ジ・アベンジャーズ(原題)/ The Avengers』では主要キャラの一人であるクリント・バートンことホークアイを演ずることが決まっており、前途洋々のアクターといえます。
ジェレミーが『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』でどのようなパフォーマンスを見せるのか、果たしてトムのイーサン・ハントの後釜としてふさわしいのか……。シリーズの将来もかかったこの新作の注目ポイントとなりそうです。
アクション・スターのイメージが強いトムがミュージカル映画で歌って踊る、なんて想像つきますか? 想像できない? そうですよね。では、実際にその目でお確かめを……!
というわけで、トムが主演する次回作は『ロック・オブ・エイジズ(原題) / Rock of Ages』というミュージカル映画なのです。もともとは、ブロードウェイで大ヒットし、トニー賞5部門にノミネートされたミュージカル作品。オリジナルでは、1980年代のハリウッドに夢を抱えてやってきた少女を主人公に、ボン・ジョヴィ、ジャーニー等々、80s’のロックファンにはたまらないヒット曲を背景にしてストーリーが語られていくという構成。
この劇中に登場するロック・スターを演ずるのがトム。最近発表された映画『ロック・オブ・エイジズ(原題) / Rock of Ages』からのスチール写真には、なんとロングヘアーのトムがステージ上で熱く踊る姿が写されており、短髪のトムに慣れているファンの方々は少々ヒクかもしれません(笑)。でも、奥様のケイティに促されて始めたというトムのダンスをぜひ見てみたい! 映画『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(2008)でトムの踊る姿を見た方々はなおさら興味津々でしょう! おまけに、うわさによるとトムの歌唱力は天性と思われるほど優れているとか。これは『ロック・オブ・エイジズ』の公開がかなり楽しみです。
いずれにせよ、何事にも120%で挑戦するトム。これからもケガに気を付けて(本当に……)末永いキャリアでわたしたちを楽しませてほしいものです!
高校留学以来ロサンゼルスに在住し、CMやハリウッド映画の製作助手を経て現在に至る。アカデミー賞のレポートや全米ボックスオフィス考など、Yahoo! Japan、シネマトゥデイなどの媒体で執筆中。全米映画協会(MPAA)公認のフォト・ジャーナリスト。
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カレンダーの残りがあと1ページになっていてあぜん! 残り1か月、何をして2011年の最後を飾るか……!?