6月23日から公開される『LOVE まさお君が行く!』。人気の動物テレビ番組からの映画化ですが、この手の動物映画は毎年制作されています。今週は、なぜ動物映画が人の心をつかむのかを検証します! |
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動物映画と聞くと、王道の犬や猫モノを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。日本での犬猫飼育頭数は2,154万2,000頭(一般社団法人ペットフード協会2011年調べ)。約6人に1人が飼っている計算。身近な存在が映画の主役であれば、普段映画館に足を運ばない人でも興味を示し、「犬猫好き」という一定の客層を得ることができる。そして、多くの動物映画は子供も観られるのもポイント。日本の年間興行ランキングを見ると『ポケモン』や『名探偵コナン』『映画ドラえもん』などが邦画トップ10に入っている。長年放送されているテレビアニメで、子供から大人までの「幅広いファン層」が、この結果を生み出している。やはり、幅広い年代に受け入れられることは映画のヒットには重要であるといえる。
しかし、「動物映画はヒットしている感じがしない」と思う人も多いのでは? 確かに、動物映画は歴代興行収入を塗り替えるほどの成績を収めるのは稀(まれ)。日本での動物映画の興収トップは1983年公開の『南極物語』(推定110億円)。「子供と動物ものはナントカ」といわれるが、ただカワイイ動物が出ていれば客が入るわけではなく、動物映画にもヒットさせる秘密があるのだ。 |
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『南極物語』のハリウッド版タロ・ジロはハスキー犬に!
Jason Merritt / FilmMagic |
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『南極物語』(1983)、『ハチ公物語』(1987)、『マリリンに逢いたい』(1988)、『わさお』(2010)など、日本の動物映画は、実話を基に描いている作品が多く、ワイドショーや今ではブログなどでも取り上げられ、それが話題を呼び、映画化されている。利点とすれば、映画公開前から話題性もバツグンで、認知度もゼロからの出発ではないところだろう。
ではストーリーはどうだろうか? 『南極物語』では過酷な環境で生きる犬の姿が描かれ、また飼い主の帰りを待つ姿が感動を呼んだ『ハチ公物語』はハリウッドでもリメイクされた。実話ではないが『子猫物語』(1986)、フランス映画『子熊物語』(1988)は、かわいらしさと動物が成長していく姿が観客の興味を引き付けた。
見た目の「かわいらしさ」だけでなく、1980年代の動物映画は、動物自体の冒険・成長物語がメインとして描かれているものが多かった。しかし、タレント動物を演じさせることは、動物を虐待しているのではないかといわれるようにもなり、時代と共に動物映画のストーリーも変わってきたように思う。
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懐かしい!
『マリリンに逢いたい』DVD発売中、3,990円(税込)© 1988 松竹富士株式会社
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最近は、『マリと子犬の物語』(2007)、『犬と私の10の約束』(2008)、『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』(2008)など、家族の問題を発端に、動物たちが「限りある命」「愛すること」などを気付かせてくれる人間ドラマが増えている。
観客は、奇をてらったストーリーでなくていい、動物ならではのオモシロ行動で笑い、言葉がなくとも命の尊さや無償の愛を教えてくれる動物たちの姿を映画を通して、客観的に気付かせてくれる。それが、わたしたちが動物映画に惹かれる理由なのではないだろうか。
そして、近ごろ大ヒットを請け負うようになった動物(?)映画がある。『ディープ・ブルー』(2003)、『アース』(2007)、『ライフ -いのちをつなぐ物語-』(2011)など、人間が簡単に近付くことができない生物の生態を高性能カメラで映し出した作品だ。こちらは、迫力の映像と人間の知識欲を刺激し、ヒットにつながっているといえるだろう。 |
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癒やされるかわいさ……
『マリと子犬の物語 スペシャル・エディション(2枚組)』DVD発売中、6,300円(税込)© 2007 「マリと子犬の物語」製作委員会
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文・構成:シネマトゥデイ 片岸朝香 |
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