次世代のスピルバーグ候補ナンバーワン！　J.J.まるごと大分析！　マルチな才能を使い分ける男

2012年8月17日

クリエイターとしてマルチな才能を発揮し、映画界とテレビ界の両方で次々とヒットを飛ばし続ける天才J.J.エイブラムス。純粋な映画少年がそのまま大人になったような彼の作品群は、マニアのみならず幅広い観客層から高い支持を得ている。今や“次世代のスピルバーグ候補ナンバーワン”とまで呼ばれるJ.J.。監督、脚本家、製作者など、役割ごとに違った形で良作を提供し続ける、彼の手腕に迫ります。

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過去の名作や巨匠への深いリスペクトや愛情を示しつつ、独自のスタイルとビジョンによって全く新しいエンターテインメントへと昇華させるというのは映画監督J.J.エイブラムスの揺るぎない個性であり大きな強み。だからこそ、『スター・トレック』ではシリーズの熱狂的マニアをも納得させ、『SUPER8/スーパーエイト』ではスピルバーグ世代の映画ファンをとりこにしたのだ。

『SUPER8/スーパーエイト』（2011年） / 『スター・トレック』（2009年） / 『M:i:III』（2006年）

ユニークな仕掛けやマニアックな映画オマージュを得意とすることからアイデアマンと思われがちなJ.J.だが、脚本家としての彼は一貫してヒューマニズムに重きを置いている。彼が脚本を担当した『フォーエヴァー･ヤング/時を超えた告白』や『アルマゲドン』が成功した理由も、そこに人間同士の深い愛情と絆がしっかりと描かれていたからにほかならない。

『SUPER8/スーパーエイト』（2011年） / 『M:i:III』（2006年） / 『ロードキラー』（2001年） / 『アルマゲドン』（1998年） / 『ゴーン・フィッシン’』（1997年） / 『フォーエヴァー・ヤング/時を越えた告白』（1992年） /『心の旅』（1991年） / 『ファイロファックス/トラブル手帳で大逆転』（1990年）

ストーリーから映像、人物描写に至るまで作品の世界観を監修･指揮するクリエイターとして、数々のテレビシリーズをヒットに導いてきたJ.J.。少年時代からむさぼるようにして映画やドラマを観てきた彼だけに、確固たるビジョンが頭の中にあるのだろう。無人島での旅客機墜落事故を壮大な神話的スケールのミステリーへと昇華させた｢LOST｣は世界中で熱狂的に受け入れられ、科学の常識も異次元空間も飛び越えた「FRINGE/フリンジ」は中毒者を続々と生み出している。その尽きることのない豊かな発想が常にわれわれを驚かせるのだ。

「ALCATRAZ / アルカトラズ」（2012年） / 「パーソン・オブ・インタレスト」（2011年～） / 「アンダーカバー」（2010年） / 「FRINGE/フリンジ」（2008年～） / 「恋するブライアン」（2006～2007年） / 「LOST」1～6シーズン（2004～2010年） / 「エイリアス」1～5シリーズ（2001～2006年） / 「フェリシティの青春」1～4シリーズ（1998～2002年） / 『フォーエヴァー・ヤング/時を越えた告白』（1992年）

父親が有名なテレビ映画製作者ということもあって、ヒット作には作家性と商業性のバランスが重要であることを知り尽くしているJ.J.。今年の日本の上半期興収洋画1位に輝いた『ミッション：インポッシブル/ゴースト・プロトコル』や、怪獣映画にドキュメンタリー演出を持ち込んだ『クローバーフィールド/HAKAISHA』などその好例だが、センセーショナリズムで観客の好奇心をかき立てつつ、ちゃんと中身でも勝負するというのは優れた製作者の証し。また、『恋とニュースのつくり方』のようなラブコメまで手掛ける幅広さも魅力だ。