登場人物が善人なのか悪人なのか簡単には明かさず、じわじわとサスペンスを盛り上げていくのが得意なJ.J.。政府の巨大監視システムがはじき出すデータを基に、未来に起こる凶悪犯罪に巻き込まれる人物を特定し、その犯罪を未然に防ごうと奔走する元CIA工作員と大富豪の男の活躍を描いたドラマ「パーソン・オブ・インタレスト」では、ターゲットが被害者なのか加害者なのかはもちろんのこと、彼らがどのような犯罪に巻き込まれることになるのかなど全て謎のままストーリーが進む。

一見すると科学的・理論的にあり得ないような｢謎｣を、逆に科学的および理論的に解き明かしていくというのもJ.J.作品のインテリジェントな面白さ。次々と発生する不可解な怪現象を捜査するFBIのフリンジ（非主流科学）チームの活躍を描くドラマ「FRINGE/フリンジ」では、やがてこの世界と似て非なるパラレルワールドの存在が明かされ、さらにはタイムトラベルや時間軸の軌道修正などといった、壮大かつ驚異的な｢謎｣の数々がストーリーを盛り上げていく。

これはJ.J.作品の多くに共通していえることだが、ストーリーの中では複数の｢謎｣が提示され、一つの｢謎｣が解決するとさらに次の｢謎｣が浮上する。そして、いつの間にか病みつきになってしまうのだ。伝説の監獄島アルカトラズをテーマにした「ALCATRAZ / アルカトラズ」では、50年ほど前にアルカトラズで囚人や看守がこつぜんと姿を消したという巨大な｢謎｣をベースに、現代に突如現れた囚人たちのミッション、背後にいる黒幕の存在など、いくつもの謎がちりばめられている。