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第47回『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』『ムーンライズ・キングダム』『ゼロ・ダーク・サーティ』『ダイ・ハード/ラスト・デイ』『横道世之介』

今月の5つ星

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シネマトゥデイが選ぶ 今月の5つ星

ブルース・ウィリス主演の人気アクションシリーズ最新作『ダイ・ハード/ラスト・デイ』、ビンラディン殺害計画を題材にしたアカデミー賞ノミネート作『ゼロ・ダーク・サーティ』、吉田修一のベストセラー小説を高良健吾&吉高由里子主演で映画化した『横道世之介』など、バラエティー豊かなラインナップを紹介。

2月1日公開 平均年齢60歳超の名優陣が紡ぐほろ苦いセカンドライフ 『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』 作品情報

メインキャストの平均年齢は60歳超。定年後の「セカンドライフ」がテーマの本作だが、全世界で1億ドルを超えるサプライズヒットを記録したという事実は、本作の魅力が普遍的である何よりの証明だろう。第二の人生の舞台としてインドを選んだ男女7人が抱えるのは、年を取ったのに、いや年を取ったからこそ深まる「実は何かを間違えていたのではないか」という思い。だがそれぞれのきっかけで「まだ遅くない」と気付く。メッセージは実にシンプルだが、だからこそ多くの人の心に響くのだろう。ジュディ・デンチをはじめとするベテラン俳優陣の演技も素晴らしく彼らの頑張りに、観客もまた励まされるはずだ。監督は『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン。時に人生の苦みを感じながらも、最後には温かい気持ちになれる。全ての世代に贈る人生の応援歌だ。(編集部・福田麗)

『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』© 2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
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2月8日公開 シュールな世界観&スターの配置に監督の手腕が光る 『ムーンライズ・キングダム』 作品情報

冒頭の上下左右に動くカメラアングルからラストの「踊るエンドクレジット」に至るまで、ウェス・アンダーソン監督のセンスを見せつけられた作品。12歳の少年少女の「愛の逃避行」という内容からも、甘酸っぱい思いがこみ上げてくるが、1960年代のジオラマ的な島の様子が、さらにその味わいを引き立たせていた。唐突に血が流れるシーンや落雷シーンなどびっくりする展開もあるが、そこも監督流のシュールな世界観に収まっているのが何とも不思議。特にセンスを感じたのが、脇を固める豪華俳優陣の使い方。ティルダ・スウィントンや、ビル・マーレイエドワード・ノートンブルース・ウィリスと、主役を張れる面々が、主人公の二人に振り回されまくるのが、何とも面白い。特に、『ダイ・ハード』シリーズのようなアクションヒーローのイメージが強いブルースの、うだつの上がらない警官役が絶妙にハマっている! 俳優の新たな魅力も楽しめる、遊び心満載のエンターテインメント作品だ。(編集部:山本優実)

『ムーンライズ・キングダム』©2012 MOONRISE LLC. All Rights Reserved.
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2月14日公開 息子を連れ、運の悪さをぼやきまくるマクレーン節は健在 『ダイ・ハード/ラスト・デイ』 作品情報

ブルース・ウィリスふんする不死身の刑事ジョン・マクレーンの活躍を描く大人気シリーズの第5弾。1作目の巨大ビルから空港、ニューヨーク、ワシントンと規模を拡大してきたシリーズの舞台は、ついに異国の地ロシアへと移る。これまでの続編同様、1作目のような緊迫のドラマは望めないものの、自身の運の悪さを嘆き、悪態をつきまくるマクレーン節は健在。ボヤきまくり、ボロボロになりながらも、知恵と体力をフル稼働して戦うマクレーン像は、ファンの期待にしっかりと応えているといえるだろう。またマクレーンの息子を演じたジェイ・コートニーにも注目。世界中で愛される男の子どもという難役にも臆さず、立派にアクションスターとしての輝きを見せている。そんな魅力的な「世界一運の悪い」親子コンビが披露する、常識外れのアクションのつるべ打ちを楽しんでもらいたい。(編集部:入倉功一)

『ダイ・ハード/ラスト・デイ』©2013Twentieth Century Fox
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2月15日公開 緻密なリサーチで描いたビンラディン暗殺は手に汗握る緊迫感 『ゼロ・ダーク・サーティ』 作品情報

世界を震撼(しんかん)させた2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件。その首謀者とされたテロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン暗殺までの約10年を映画『ハート・ロッカー』で女性として初のアカデミー賞監督賞などを受賞したキャスリン・ビグローが入念な取材を基に描いたノンフィクションのようなエンターテインメント。911の発生を音声のみで表現した冒頭から、2011年5月のビンラディン捕獲までに起こったテロやオバマ大統領の映像など、劇中の一部に実際の素材を使うことで作品にリアリティーと緊張感を与えることに成功。また背景に流れる音楽の少なさがより映像に集中させ、緊迫感あふれる映像で観客の目をくぎ付けに。ビンラディンの隠れ家は3か月かけて建設されたといい、複数の爆破シーンも含めて圧倒的なスケールの大きさに疑いの余地はない。ビンラディン暗殺作戦の描写は、本物の作戦を見ているかのような錯覚さえ覚え、本題材を選んだビグロー監督の執念を感じる。新人だったCIAの情報分析官マヤ(ジェシカ・チャステイン)の成長を同時に描いた点もミソで、劇中に登場する「あなた、ボロボロなんだもの」と同僚に心配されるマヤと自分を重ねるキャリアウーマンが続出の予感。ラストではビグロー監督がこの映画を作った意義に思いを巡らせることだろう。(編集部・小松芙未)

『ゼロ・ダーク・サーティ』Jonathan Olley©2012 CTMG. All rights reserved.
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2月23日公開 青春時代を具現化したかのような主人公のキャラに魅了される 『横道世之介』 作品情報

「思い出すと笑ってしまう」「ごくフツー」「あいつのことをまだ知らないなんて幸せ」……。本作の登場人物たちいわく、横道世之介は、そんな人物だ。地方出身で東京近郊に住み、サンバサークルに所属。自分を軽くあしらう年上の女性・千春(伊藤歩)と、積極的なお嬢様の祥子(吉高由里子)との間で揺れ動き、女の子の扱いが不器用な友人・一平(池松壮亮)やクールな雄介(綾野剛)とつるんでは感化される。世之介の大学時代は、ごく平凡ながらキラキラと輝いて見えるのが不思議だ。友情が恋に変わる瞬間や、ぎこちないファーストキスなど沖田修一監督の十八番である、そこはかとなくおかしい会話で彩られた恋愛騒動に魅入られ、いい思い出がある人でもない人でも、誰もが一度は通ってきた青春の日々を回想することになるはずだ。そう、「横道世之介」とは、まさに青春時代を具現化した人物ともいえる。沖田監督の秘蔵っ子である世之介役の高良健吾をはじめ、それぞれ新境地を開拓したキャストたちのアンサンブル映画としても秀逸。中でも、テレビドラマ「最高の離婚」しかり、本作でも「ミステリアスなモテキャラ」に扮した綾野剛の好演は圧巻! 俳優を生かすも殺すも監督次第、とはこのことである。(編集部:石井百合子)

『横道世之介』© 2013『横道世之介』製作委員会
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