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日常の幸せに気付くこと |
本作の主人公は、心臓病で余命わずかと宣告され、移植手術のドナーが現れるのを待ち、自宅で療養生活を始めた元ダンサーのピエール(ロマン・デュリス)。本作は、高台に住むピエールが見つめるパリに住む人々―ソーシャルワーカーとして働くピエールの姉エリーズ(ジュリエット・ビノシュ)、生徒に恋しストーカーまがいの行動を取ってしまう歴史学者のロラン(ファブリス・ルキーニ)、ロランの弟で建築家のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)、いつも文句ばかりのパン屋の女主人(カリン・ヴィアール)、離婚した今もなお同じ市場で働く元夫婦のジャン(アルベール・デュポンテル)とカロリーヌ(ジュリー・フェリエ)、モデルのマルジョレーヌ(オドレ・マルネ)、遠く離れたカメルーンからマルジョレーヌとの再会を夢見る青年ブノワ(キングズリー・クム・アバン)―の人生を映し出していきます。
そうして描写されていく人々の人生が、パリという街を巧みに表す本作。例えば、ロランとフィリップの兄弟は、歴史学者であるロランがパリの過去を語ることに一役買い、最先端の建築プロジェクトを手掛ける建築家のフィリップがパリの現在を表すことに一役買っている。それに、マルジョレーヌを想うブノワが密入国という危険な賭けに出る一方で、マルジョレーヌはジャンの友人らと一夜限りのアバンチュールを楽しんでいるという対比は、まるでパリの格差社会を表しているようです。でも、本作が訴え掛けるのはあくまでも「生きてるんだ、楽しめ」という重い病を抱えるピエールのメッセージ。ピエールは、男に捨てられ沈む姉に、そして“誰もが不満だらけで文句を言うのが好き”だというパリの人々に、「皆、幸運に気付いていない」とやり切れない思いをぶつけます。クリスマスを前に、ちょっと心が沈んでしまったあなたには、本作が日常の幸せに気付く手助けをしてくれるかもしれません。
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(C) CE QUI ME MEUT - STUDIO CANAL - STUDIOCANAL IMAGE - FRANCE2 CINEM |
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製作国:フランス
製作年:2008
監督:セドリック・クラピッシュ
キャスト:ジュリエット・ビノシュ、ロマ・刀Eデュリス、ファブリス・ルキーニ、アルベール・デュポンテル、フランソワ・クリュゼ、カリン・ヴィアール、ジル・ルルーシュ、オリヴィア・ボナミー、メラニー・ロラン、オドレ・マルネ
『PARIS-パリ-』DVD(税込み:3,990円)はアース・スター エンターテイメントより発売中
作品情報はコチラ→
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ジェイン・オースティンで「説得」を |
何もかもうまくいかない! と少し自暴自棄になっているあなたにオススメしたいのが、この一本。オープニングシーンでは、自動販売機に入れたお札が戻ってきてしまったとか、日常のちょっとしたツイていない出来事を次々と映し出していきます。そしてクローズアップされるのが、独身主義者で愛犬を亡くしたばかりのブリーダー、ジョスリン(マリア・ベロ)、趣味の合わない夫との関係に悩み生徒に惹(ひ)かれる高校教師のプルーディー(エミリー・ブラント)、夫に捨てられた図書館司書のシルヴィア(エイミー・ブレネマン)とどことなくツイていない3人の女性。この3人が、6度の離婚経験を・掾Eソ、現在は独身生活を謳歌(おうか)しているバーナデット(キャシー・ベイカー)に誘われて開く“ジェイン・オースティンの読書会”が物語の中心になります。読書会には、シルヴィアの娘で同性愛者のアレグラ(マギー・グレイス)と、熱狂的なSFファンのグリッグ(ヒュー・ダンシー)が唯一の男性として参加。ジェイン・オースティンの代表作である6作品を、1人1作品受け持ち、月1回の会合を開いて、それぞれの作品について、熱い激論を飛ばしていきます。
ちなみに、ジェイン・オースティンは、18世紀から19世紀にかけて活躍したイギリスの女流作家です。映画化もされた「高慢と偏見」「分別と多感」は、知っている人も多いはず。イングランドの中流家庭を舞台に、女性の私生活を描いたジェイン・オースティンの小説は、現代女性にも通じる女性の心情を細やかに描いていることで、現在でも世界中で愛されているのですが、ちょっと“ガーリー”なイメージもあり、敬遠している男性も多いそう。本作の見どころは、そんなジェイン・オースティンの小説に、男性たちが惹(ひ)かれていくシークエンス。一番のキーとなっている小説は、周囲の反対により婚約を解消した二人がよりを戻していく物語を描いた「説得」で、プルーディーが夫に「説得」を読み聞かせ、文字通り夫を“説得”するシーンは、本作の一番の盛り上がりとなっています。趣味が合わずにうまくいかなかったり、ちょっとした擦れ違いは、人生においては恋でなくてもさまざまに起こるもの。なんだか何もかもうまくいかない! と一人で問題を抱えているあなたも、大切な人とちょっと向き合ってみたら、もつれた糸が解け、全てが良い方向に向かっていくかもしれません。“説得”には、ジェイン・オースティンの“ガーリー”な(!?)小説を使ってみるのも一つの手かもしれませんよ。
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(C) 2007 SONY PICTURES CLASSICS INC. ALL RIGHTS RESERVED. |
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製作国:アメリカ
製作年:2007
監督:ロビン・スウィコード
キャスト:キャシー・ベイカー、マリア・ベロ、エミリー・ブラント、エイミー・ブレネマン、ヒュー・ダンシー、マギー・グレイス、リン・レッドグレーヴ、ジミー・スミッツ、マーク・ブルカス、ケヴィン・ゼガーズ
『ジェイン・オースティンの読書会』ブルーレイ(税込み:2,500円)、DVD(税込み:1,480円)はソニー・ピクチャーズ エンタテインメントより発売中
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例外はないと心得よ。ただし、例外となれ! |
幼い頃、好きな男の子に意地悪をされたとき、「それはあなたを好きだからよ」と言われなかった? それが「私たちが判断を誤る元凶」だと宣言。次々と“恋の間違い”を指摘していく本作。特に、いつも前向きだけどなかなか恋がうまくいかないジジ(ジニファー・グッドウィン)が偶然出会ったバーテンダーのアレックス(ジャスティン・ロング)に、“恋の間違い”を指摘されていくシークエンスは、「なるほどねー」と納得してしまうものばかり。1回目のデートの後の電話を1週間も待ち続け、「でもね、友達のテリーの彼もそうだったけど、1年以上あとに街でバッタリ会って…」と必死で自己弁護するジジに、アレックスはうまくいった友達はみんな“例外”だと諭します。
また本作には、アレックスの言う恋のルールに従えば、同棲(どうせい)7年目の彼と結婚できないことになってしまうもう一人の恋がうまくいかない人物、ベス(ジェニファー・アニストン)も登場。本作の見どころは、前半では散々観客たちに「例外はないと心得よ」と言わんばかりに“恋の間違い”を指摘していく一方で、後半ではジジとベスが“例外”になるべく動き出していく物語展開にあります。また、ベン・アフレック、ドリュー・バリモア、ブラッドリー・クーパー、スカーレット・ヨハンソンといった豪華キャストが集結しているのも魅力。本作の原作は、全米でベストセラーとなった恋愛指南書。あなたも本作で恋愛指南を受けてみては?
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(C) 2009 New Line Productions, Inc. All rights reserved. |
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製作国:アメリカ
製作年:2009
監督:ケン・クワピス
キャスト:ベン・アフレック、ジェニファー・アニストン、ドリュー・バリモア、ジェニファー・コネリー、ケヴィン・コナリー、ブラッドリー・クーパー、ジニファー・グッドウィン、スカーレット・ヨハンソン、クリス・クリストファーソン、ジャスティン・ロング
『そんな彼なら捨てちゃえば?』ブルーレイ(税込み:2,500円)、DVD(税込み:1,500円)はワーナー・ホーム・ビデオより発売中
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真実の愛なんてない? いや、そんなことはない! |
ローリングストーン誌の「男性も観るべき恋愛映画」に選ばれた本作は、全米で人気沸騰中の俳優ライアン・ゴズリング扮(ふん)するジェイコブが、『40歳の童貞男』ですっかりモテない男役が板についたスティーヴ・カレル演じるキャルを、モテ男に教育していくという設定が旬な作品。女性は妻エミリー(ジュリアン・ムーア)しか知らなかったキャルですが、映画の冒頭で「離婚して」「他の男と寝たわ」と衝撃的な告白をされ、すっかり落ちぶれてしまいます。そんなとき、バーで伊達(だて)男のジェイコブに出会い、教育されて洗練されていくキャル。彼の変身ぶりは見ていて痛快ですが、女遊びがたたり、エミリーとの関係はこじれる一方に。
また本作では、キャルの息子ロビー(ジョナ・ボボ)も、恋に奮闘中のキャラクター。ベビーシッターのジェシカ(アナリー・ティプトン)に思いを寄せ、積極的にアピールするも、ジェシカはキャルに恋している様子……。両親の離婚騒動に加え、自分の恋もうまくいかず、ロビーはあろうことか中学校の卒業式で「真実の愛なんてありはしない」とネガティブなスピーチをしてしまいます。そこで、責任を感じたキャルがついに立ち上がるのですが、ここからのキャルとロビーの巻き返しは、観る者に「願えば叶(かな)う」という希望を与えてくれるはず。ちなみに物語後半で、コーチ側だったはずのジェイコブがキャルに助言を求める描写もいい! ぜひ注目してみてください。
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(C) 2011 Warner Bros. Entertainment Inc. |
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製作国:アメリカ
製作年:2011
監督:グレン・フィカーラ
キャスト:スティーヴ・カレル、ライアン・ゴズリング、ジュリアン・ムーア、エマ・ストーン、ジョン・キャロル・リンチ、マリサ・トメイ、ケヴィン・ベーコン、ジョナ・ボボ、アナリー・ティプトン、ジョシュ・グローバン、ライザ・ラピラ、ジョーイ・キング、ベス・リトルフォード
『ラブ・アゲイン』ブルーレイ(税込み:2,500円)、DVD(税込み:1,500円)はワーナー・ホーム・ビデオより発売中
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クリスマスは思いを伝える日 |
クリスマス5週間前。ちょうど今の時期からクリスマスまでの19人の男女の恋愛模様を描いた本作。「クリスマス前になると本作を観たくなる」という人も多いのでは? 本作には、秘書(マルティン・マカッチョン)に恋する英国首相(ヒュー・グラント)、アメリカに行ってしまう学園のマドンナに恋する少年(トーマス・サングスター)、言葉の通じない家政婦に恋してしまった作家(コリン・ファース)、入社以来2年7か月も同僚に思いを寄せながら行動に移せずにいるサラ(ローラ・リニー)、親友の結婚式を複雑な思いで見つめる画家(アンドリュー・リンカーン)と片思いに苦しむ人物が多数登場。「片思いより悪いことある?」なんていう少年の発言も印象的です。
本作が多くの人々に支持されているのは、そんな登場人物たちが思いを伝えていくクリスマス当日を描く怒涛(どとう)のクライマックスにあります。登場人物たちは「クリスマスだから聞き流してほしい」「本心を打ち明けるのがクリスマスだから」「クリスマスだし言うだけ言ってみようと」とクリスマスを口実に、次々と自らの思いを伝えていきます。とにかくキュンとした気持ちにさせてくれる本作。あなたもクリスマスを口実に、大切な人に思いを伝えてみては? 11月22日には、本作の日本版をイメージして製作されたという映画『すべては君に逢えたから』も公開予定です。
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(C) 2003 WT VENTURE LLC.ALL RIGHTS RESERVED. |
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製作国:イギリス / アメリカ
製作年:2003
監督:リチャード・カーティス
キャスト:ヒュー・グラント、リーアム・ニーソン、エマ・トンプソン、アラン・リックマン、コリン・ファース、ローラ・リニー、キーラ・ナイトレイ、ローワン・アトキンソン、ビリー・ボブ・ソーントン、ビル・ナイ、アンドリュー・リンカーン、マルティン・マカッチョン、ジョアンナ・ペイジ、クリス・マーシャル、ルシア・モニス、マーティン・フリーマン、トーマス・サングスター、ロドリゴ・サントロ、ハイケ・マカッシュ、キウェテル・イジョフォー、アブダル・サリス、グレゴール・フィッシャー、オリヴィア・オルソン、シエンナ・ギロリー、エリシャ・カスバート
『ラブ・アクチュアリー』ブルーレイ(税込み:1,980円)、DVD(税込み:1,500円)はジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントより発売中
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群像劇豆知識
「グランドホテル形式」とも呼ばれる群像劇。その呼び名は1932年に製作された映画『グランド・ホテル』に由来しています。三谷幸喜監督の『THE 有頂天ホテル』(2005)にも影響を与えた同作は、“恋愛群像劇映画”ではなく、ホテルでの騒動を描いた群像劇で、第5回アカデミー賞最優秀作品賞も受賞しています。そのほかにも、群像劇の名作は多く、日本では『幕末太陽傳』(1957)、ハリウッドでは『パルプ・フィク・Vョン』(1994・j『クラッシュ』(2004)などが挙げられます。“恋愛群像劇”が頻繁に製作されるようになったのは、『ラブ・アクチュアリー』が製作された2003年以降ですが、次々と傑作が世に送り出されており、これからも傑作が生まれていくことでしょう。あなたもこの機会に恋愛群像劇映画にどっぷりはまってみてはいかがでしょうか? |
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文・構成:シネマトゥデイ編集部 島村幸恵 |