「ALMOST HUMAN/オールモスト・ヒューマン」特集:SFファンをとりこにする三つのガジェット
犯罪率が400%も増加した2048年の未来都市を舞台に、人間とアンドロイドの刑事コンビが高度化した凶悪犯罪を追うSFクライムアクションドラマ「ALMOST HUMAN / オールモスト・ヒューマン」。ヒットメーカーのJ・J・エイブラムスが、「FRINGE/フリンジ」の盟友J・H・ワイマンと再タッグを組んだことでも話題の本作の、SFファン垂涎(すいぜん)もののガジェットに迫る!
- 名前:
- J・J・エイブラムス J・H・ワイマン
「エイリアス」「LOST」「FRINGE/フリンジ」などの人気テレビシリーズを手掛けたクリエイター。映画ではトム・クルーズ主演の『M:i:III』、2009年からの新『スター・トレック』シリーズなどを監督。現在は『スター・ウォーズ/エピソード7(仮題)』を撮影中で、“SF界最高の才能”との呼び声が高いハリウッドきってのヒットメーカー。
- 名前:
-
トム・クルーズ
犯罪組織の検挙に失敗し、率いた精鋭部隊の中で自分だけ生き残ったことに苦しむ刑事。負傷時に記憶が欠落し、右足が人工足となる。アンドロイドに嫌悪感を持つ。
高性能だが感情を持つゆえの不安定さが「人間に近すぎる」との理由で製造中止となり、廃棄処分寸前だった旧タイプのDRN-0167型コンバット用アンドロイド。
「エイリアス」「LOST」「FRINGE/フリンジ」などの人気テレビシリーズを手掛けたクリエイター。映画ではトム・クルーズ主演の『M:i:III』、2009年からの新『スター・トレック』シリーズなどを監督。現在は『スター・ウォーズ/エピソード7(仮題)』を撮影中で、“SF界最高の才能”との呼び声が高いハリウッドきってのヒットメーカー。
- 名前:
- トム・クルーズ
犯罪組織の検挙に失敗し、率いた精鋭部隊の中で自分だけ生き残ったことに苦しむ刑事。負傷時に記憶が欠落し、右足が人工足となる。アンドロイドに嫌悪感を持つ。
高性能だが感情を持つゆえの不安定さが「人間に近すぎる」との理由で製造中止となり、廃棄処分寸前だった旧タイプのDRN-0167型コンバット用アンドロイド。
ウィル・スミス主演の『アイ,ロボット』、ブルース・ウィリス主演の『サロゲート』、マイケル・ファスベンダーがアンドロイドを演じた『プロメテウス』など多々あるが、本作で描かれるのは、凶悪犯に対処するために、刑事がアンドロイドの相棒と組むことを義務づけられた近未来。アンドロイドはアイザック・アシモフの「鋼鉄都市」のように人間そっくりの姿に進化していて、タイプも多種多様。劇中には押井守監督の『イノセンス』のような性的奉仕専用のセックスボットや、用心棒タイプのアンドロイドも登場する。
主人公コンビのうちアンドロイドのドリアンは、アンドロイド警官の主流となっている最新タイプのMX-43型とは違う、旧タイプのDRN-0167型。「鉄腕アトム」『A.I.』『アンドリューNDR114』のように、人間と同じ“感情”が搭載されているため、不安定だと製造中止になった型だ。ドリアンは「僕は死んだらどうなるのかな」という疑問を抱き、違法アンドロイドが廃棄されるときには「僕は君を忘れない」と言葉を掛ける。そんな人間以上に人間的なアンドロイドなのだ。
2048年が舞台の本作では、まるで2019年が舞台の『ブレードランナー』の30年後のような街の光景が描き出されている。この街でもよく雨が降り、動画広告は増加した上に進化して、通行人に合わせて内容を変える。アジア風の屋台は店舗になったが、主人公コンビはやっぱりアジア系主人の店でヌードルを食べる。人種の無国籍化も進み、アジア系はもちろん東欧や中近東系らしい人々も増えている。また、『ブレードランナー』と同じフィリップ・K・ディック原作の『トータル・リコール』のような、記憶を加工する“記憶屋”も大繁盛。バイオ手術で霊能力を開発することも可能だ。サイバーテクノロジーは進化してもはやデバイスが不要のため、情報は『マイノリティ・リポート』のように空間や手のひらに表示して取得できる。監視モニターに映りたくないときは顔を光に変形する“フェイスメーカー”を装着し、危険な裁判で証言するときはホログラムで出廷する。現存するテクノロジーをその少し先まで進化させたガジェット群が、SFファンをうならせる。
- 名前:
- フィリップ・K・ディック
性格の違う二人がコンビを組むバディー物は誰もが楽しめる定番ジャンルだが、本作はそこをひとヒネリ。刑事コンビの一人は人間、もう一方はアンドロイドだが、関係は対等。しかも、意外なことにトラブルメーカーなのは人間の方で、この組み合わせはありそうでなかった新基軸といえる。
すぐに規則を破ってしまう問題児のジョン・ケネックス刑事を演じているのは、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで熱血王子エオメル役、新『スター・トレック』シリーズでは頑固な医師ボーンズ役を演じたカール・アーバン。一方、頭脳明晰(めいせき)で有能な上に豊かな感情の持ち主であるアンドロイド刑事ドリアンを演じるのは、「グッド・ワイフ」シリーズの弁護士、『ラスト・ベガス』では親孝行すぎる息子を演じていたマイケル・イーリー。心を閉ざしていた人間と、心優しく感情豊かなアンドロイドの異色コンビが、反発しながら次第に友情を育んでいく本作はまさに、新感覚のバディーコップ物といえるだろう。