ルーカスフィルム公認アーティスト TSUNEO SANDA氏独占インタビュー(2/2)
スター・ウォーズ特集
アーティストとしてのこだわり
Q:ルーカスフィルム公認アーティストとして、ご自身の作品に対してこだわりはありますか?
発想は常に自由にして、自分で枠を作らないことです。ルーカスフィルムをよく知っているアーティストは、「これはしたらいけない、あれもしたらいけない」と自分で考えの幅を小さくしてしまいがちになります。私の場合は、日本的な屏風絵をモチーフにしたり、アール・ヌーヴォー風にしたりと、遊び心を取り入れた作品を作るようにしています。レイアとアミダラの作品についても、当時『スター・ウォーズ』でヒロインをメインにした作品はなかったんです。このアイデア誰もやっていないから作品にしよう! という遊び心の発想です。
Q:公認アーティストの中で唯一の日本人としての誇りもあるのでは。
今でこそ、兜飾りとダース・ベイダーのコラボ商品がありますが、私が描いた当時はまだ誰にもこういった発想はなかったので驚かれました。常に遊び心を忘れず、ルーカスフィルムがどこまで受け入れてくれるのか、実験的に描くこともあります。
Q:ほかにダメ元で描いた作品はありますか?
ルーカスさんご自身を描いた「ドリーム・メイカー」という作品あるんですが、描く前にラフをルーカスフィルムの担当者に確認をしました。そしたら肖像権の許可がいるって言われたんです。ただ、ルーカス本人に確認してもらったらすんなりOKをもらえました。ルーカスさんは受け入れの幅があるなと思いました。
Q:ルーカスファミリーの一員として、信頼されているのですね。
世界有数のスター・ウォーズ コレクターと知られるスティーブン・サンスイート、大御所ポスター作家のドゥルー・ストゥルーザンなど、いろいろな人との出会いがありました。その輪の中に入ると、みんなファミリーのように接してくれるんです。不思議な世界です。スター・ウォーズ好きな人はいつでもおいでというウェルカムな状況なので、入る勇気さえあればいいんです!
「SANDA WORLD」は唯一無二の存在
Q:SANDAさんの作品は、見ていると物語を感じます。
きれいに描く人は世界中にたくさんいるので、最低限の技術は必要ですが、そこにプラスアルファで作家としての個性がないと世界で勝負はできないと思っています。難解にし過ぎるとファンが離れてしまうので、ちょっとクスッとさせるくらいがちょうどいいです。映画の中から飛び出して、この後どうなるんだろう? と相手に考えさせるような表現ができるといいなと思っています。そういった意味で、キャラクターが持っている世界の裏側や横側を表現できれば、作品として面白いですよね。こういったスタイルで描くアーティストは、『スター・ウォーズ』の世界ではあまりいないと思います。
Q: SANDA WORLDといえば、震災時にチャリティーで描かれた作品も印象的でした。
大震災の直後に津波をテーマにしようと思った時、葛飾北斎が描いた大きな波をモチーフにしたいと思ったんです。アートプリントやTシャツの販売はあくまで海外なので、日本で起きた津波であることが、海外の方にも理解しやすいと思ったんです。小さなヨーダを中央に描いたのも、小さな島国の日本が大きな津波に負けないぞという意味を込めています。Tシャツとアートプリントの売り上げはすべて、岩手で被災し親をなくした子供たちの勉強資金として寄付しています。
Q:お気に入りの一枚は?
Ribbon SeriesのElegant Amidalaの作品は自分らしい表現ができて気に入っているので、原画は絶対に手放さずに持っているんです。今作っているアートブックの表紙にしようと思っています。
Q:どのようなアートブックを出されるんですか?
私にとって初のアートブックで、私の『スター・ウォーズ』作品すべて紹介します。見開きで完成作品と対比させるようにラフスケッチを掲載しようと思っています。300ページ以上の豪華版になる予定です。