私的スター・ウォーズ宣言【Part2】イチ押しエピソードはこれだ!(2/2)
スター・ウォーズ特集
【平沢薫/映画ライター】
友人に、今でもピンチになると「助けてください、オビ=ワン・ケノービ」と心の中で叫んでしまうという重症者がいるが、自分の場合は、美しい夕陽を見るとタトゥイーンの2つの夕陽を見るルークの姿を思い出さずにはいられない。クリーチャー好きとしては、ジャバの宮殿でランコアの死を悲しむ飼育係や、モンスター・チェスの動くモンスターの駒にヤラレるが、『スター・ウォーズ』でいちばん思い出すのはこのシーンだ。
この場面が登場するのは旧3部作第1作(エピソード4)の冒頭近く。ルークはアカデミーに入学してパイロットになりたいのだが、自分を育ててくれた叔父には農場の人手が必要だからもう1年我慢してくれと言われ、夕陽を見ながら思い悩む。太陽が2つあるからそこは地球ではないが、ルークの渇望と焦燥は地球と同じ。この瞬間、宇宙船が飛び交い、珍妙な異星人が共存する『スター・ウォーズ』、実は自分の物語なのだと実感した人は多いはず。
先日、「Empire」誌の新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』記事で、砂漠に立って彼方を見るフィンの後ろ姿の画像を見たときも、このシーンを思い出した。新作のJ・J・エイブラムス監督も、この場面がお気に入りなんじゃないだろうか。
プロフィール
映画ライター。ビジュアルが派手な映画、言葉ではなくビジュアルで語る映画が好みなので、SF映画、アメコミ映画、ファンタジー映画、アニメなどがお気に入り。「シネマトゥデイ」「映画.com」「SCREEN」「キネマ旬報」などで執筆、翻訳に「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」「フランケンウィニー」ノベライズなど。
【相馬学/映画ライター】
感受性が強い時期にリアルタイムで観たエピソード4~6には、どれにも強い思い入れがあるので、どれか一つを選ぶのは難しいが、強いて挙げればエピソード5。これは何度観ても、話のウネリにドキドキさせられる。
ヨーダの初登場によって前作では語られなかった「フォース」という概念が浮上。同時にジェダイ騎士の哲学も見えてくる。さらにルーク・スカイウォーカーと宿敵ダース・ベイダーが親子であった……という衝撃の事実や、ハン・ソロとレイア姫のロマンス。ルークは右腕を切り落とされるわ、ハン・ソロは冷凍されるわと、困った状況が重なってスリルは加速する。実はイイやつだったことが後に判明する裏切り者ランド・カルリシアンや、シリーズで一、二を争う人気者ボバ・フェットなど、初登場のサブキャラも味があって忘れ難いし、氷の惑星ホス→沼の惑星ダゴバ→雲の惑星ベスピンへと転換する各舞台のビジュアルもインパクトが大きい。
かくのごとく、とにかくドラマチックでスリリング。観ていて胸がザワつくという点で本作はシリーズ随一ではないだろうか。「続く」的なエンディングの期待感も大いにあおられ、「この後もずっと続いてくれよ!」とさえ思えてくる。
プロフィール
情報誌編集を経て、映画周りのフリーライターとなり20年とちょっと。「DVD&ブルーレイでーた」「Audition」「ぴあMovie Special」等の雑誌や劇場プログラムに寄稿。シネマトゥデイでは映画短評を担当している。アクションとスリラーが大好物で、どちらかというとハリウッド映画びいき。新『スター・ウォーズ』で楽しみなのは、やはりハン・ソロとチューバッカのコンビ復活でしょう!
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