新社会人におくる！映画から学ぶ仕事術

　2016年も早いものでもうすぐ4月！　この春から新社会人になる期待と不安が半々なあなたの不安を解消するべく映画から学ぶ仕事術を紹介します。（編集部・吉田唯）

ハプニングに備えて…朝は余裕を！

　「40秒で支度しな」（by『天空の城ラピュタ』空中海賊・ドーラ）。社会人になったらドーラのこんな命令にも対応できるくらい朝にやることは少なくしておくのが大切。しかし、こんな基本的なことが実は一番難しかったりするのです。朝の時間と仕事に何の関係が？　と思うかもしれませんが、目が覚めたら雪だったり仕事の緊急連絡がきたりと、ただでさえ慌ただしい朝の時間に限ってハプニングは起きるもの。スマッシュヒットを飛ばしたことが記憶に新しい『セッション』の主人公も寝坊したことにより予想外のアクシデントに見舞われていました。

　そうした危機を回避するためにも、前日の夜にできることはやってしまって、朝は必要最低限の準備だけで済むようにしておきましょう。その時間が心の余裕を生み、意識を仕事モードへとスムーズに切り替えることができるだけでなく、朝のリズムを作っておくことは健康管理にもつながります。

円滑なコミュニケーションの秘訣は周囲の人間観察

　アン・ハサウェイ演じる主人公が、鬼編集長の下で奮闘する様子を描いた大ヒット映画『プラダを着た悪魔』。最初は休む間もなく続く編集長の要求に疲労困憊の主人公でしたが、次第に先回りできるまでになり、それがきっかけで編集長にも認められていくように。

　彼女のように円滑なコミュニケーションを築くためには、相手がどういう人で、どういう風に仕事を進め、何をしようとしているのか、何をしてほしくて、何をしてほしくないのかを知ることが必要です。それは一朝一夕で見極められるものではありませんが、周囲に気を配っていれば時間と共に理解できるようになるもの。そのうち自分ができる範囲の適切な行動をするだけで職場全体の作業効率の上昇につながり、報告の過程でその作業をするはずだった相手と会話するきっかけにもなります。その気遣いや些細な会話が職場での人間関係を変えるのです。

営業テクニックはまさに心理戦

　相手の興味をひく話題の後に一度突き放すことでより相手を引き付ける、相手の需要を作り出す……映画には様々な営業テクニックが描かれています。ちなみに前者は『マネー・ゲーム』の電話営業の場面に登場するテクニック。商品がどれだけ魅力的かを力説した後で、それでも買い渋る相手に対し時間がないからと突き放すことで相手の危機感をあおり契約にこぎつけます。後者はレオナルド・ディカプリオが実在の株式ブローカーを演じた『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の主人公が営業テクニックを教えるシーンから。「ペンをおれに売れ」というお題に対し、ペンの利便性を説明するのではなく、「そのナプキンに名前を書け」とペンの需要を作り出しています。営業はまさに心理戦といえますが、映画には使えるテクニックがいっぱい。それはウォールストリートを舞台にした、いかにもなビジネス映画だけではありません。恋愛映画の恋の駆け引き、戦争映画の戦術など、一見ビジネスとは関係ない映画であっても、人の心を動かす場面にそのヒントは隠されているのです。

新しい発想の源は身近にある

　アメリカ版「ヴォーグ」誌のカリスマ編集長アナ・ウィンターに迫ったドキュメンタリー『ファッションが教えてくれること』。ファッション界のトップとして常に注目を浴びるアナは、時間もお金も手間もかかった写真を時に容赦なくボツにするなど、常に冷静な判断を武器にしています。しかし、その分析力と状況判断力があるからこそ、“セレブカルチャーの時代”がやってくることを見越して表紙にセレブを起用し始めるなど、新しいブームを作り出すことができるのです。

　また、今では当たり前になったボブカットなどの革新的なカットで美容界に新たな歴史を刻んだヴィダル・サスーンを追ったドキュメンタリー『ヴィダル・サスーン』では、現在のカットでは未来がないと踏んだサスーンが、建築と幾何学にヒントを得て従来のヘアカットとは一線を画す斬新なカットを生み出す経緯が描かれています。彼らに共通しているのは、冷静な判断はもちろんのこと、新しい発想の源は自分の周囲にあるものからもたらされると理解していること。それを意識することで自然と視野が広がり、どの角度であれば新しい風を吹かせることができるのかがわかるようになるのです。

休息は自己管理の一つ

　最後にとても大切なのは“休息”です。適度な息抜きは潤滑剤といいますが、何よりも健康はお金で買えない資本。『ツレがうつになりまして。』では堺雅人＆宮崎あおい演じるうつ病になったサラリーマンと彼を支える妻の姿が描かれていましたが、現代社会では鬱や過労がいつ襲ってくるのかわかりません。そうならないためには、限界を迎える前に思い切って休むことが重要。適切な理由があれば休むのは悪いことではありません。そして、時には自分を許すことも大切。休んでいる間は仕事のことは考えず、映画や読書、スポーツなど、好きなことに没頭してストレスを発散しましょう。