爽やか高校球児の素顔はストイックな昭和顔男子
イケメン発掘調査隊
『青空エール』堀井新太【第102回:イケメン調査隊】
インタビュー INTERVIEW
Q:高校時代は軟式野球部に所属していたそうですが、映画『青空エール』で高校球児を演じることになったときはどう思いましたか?
野球作品に携われることは、本当にうれしかったです。同時にこの映画の野球シーンはどの作品よりも説得力あるシーンにしようという使命感のようなものが生まれて。楽しみと不安の両方を感じました。
Q:出演者は撮影前に、かなり野球の練習を積んだそうですね?
そうですね。クランクインの1か月ほど前から、ほぼ毎日練習していました。個人的にはもっとやりたかったんですけど。
Q:足りなかった!?
はい(笑)。今回はピッチャー役ですが僕自身は高校時代にライトを守っていたんです。ピッチャーと野手とでは投げ方が全然違うので、それを1か月ちょっとで身につけることができるのか不安でした。短い期間でよくあそこまで仕上がったと思います。
Q:野球の練習は、役づくりにもつながりましたか?
確実につながったと思います。部員を演じるメンバーと、映画の中では描かれない時間を共有できましたから。とくに今回はそんな時間がプラスになる作品で、どんどんやっていこうという空気が現場にありました。撮影がない日でも「飯行く?」という感じで、そうした空気が作品に活きていると思います。ロケ先でもほぼ毎日みんなとご飯を食べに行って、お金をたくさん使いました(笑)。
Q:ご飯を食べながら、どんな会話を?
野球の話や撮影のことも、ふつうのしょーもない話も(笑)。本当にみんなと仲が良かったから、撮影が終わったときは寂しかったですね。今日も(葉山)奨之と会ったときに、「久しぶり!」と言うと、「久しぶりじゃないでしょ。3日前に会ってるよ!」って(笑)。それくらい仲良くなって、この前も飯を食いながら、「おじいちゃんになるまでこの仲でいられるな」と話していたんです。アツいヤツばかりだったので、波長が合ったんですよね。会話がなくても気まずくないし、一緒にいてもラクなんです。部活の友達みたいでした。
Q:土屋太鳳さん演じるつばさと竹内涼真さん演じる大介。二人をどう思います?
「あんな人いるかなあ?」と思うくらいにストレートですよね。でも若かったらきっと憧れる存在だと思います。部活も勉強も恋も頑張るって理想だし、それってやっぱりカッコイイじゃないですか。この映画ではそういう当たり前のことを感じてもらえると思います。それこそが『青空エール』という作品の力なのかもしれません。
Q:完成した映画を観た感想は?
観客としていい映画と出会うと、終わってほしくないと思いますけど、その感覚と似ていました。映画を観ながら、この世界から現実に戻るのか……と思ってしまって。この作品に関われて良かったですし、できることならもう一度戻りたいとか、いろいろな思いが巡りましたね。
一問一答 PRIVATE
Q:つばさのような女の子をどう思いますか?
カワイイですよね、真っ直ぐで正直で。ああいう子が嫁だったらいいな。毎朝ちゃんと朝食を作ってくれそうでしょ?
Q:劇中のつばさのように「好きになったら困る?」といわれたらどうしますか?
困る(笑)。トキめいて、ご飯が食べられなくなるから。意外とウブなんです。
Q:どんな高校生活でしたか?
割合でいうと部活5、遊び4、恋愛1……2かな。勉強は0、嫌いだったんです。野球をやっているときはマジメでしたが、かなりやんちゃでした。
Q:劇中の城戸は、松井愛莉さん演じる陽万里への思いを気付いてもらえないですよね?
「意外と両思いなんじゃないの?」と想像力豊かな人は深読みしてくれるかもしれないですよ。最後にそういう含みを持たせたカットがあったらよかったのに(笑)。そこは観ていただいた方のご想像にお任せします。
Q:陽万里のような女の子はどう思いますか?
カワイイと思います。自然体で、こびてないですよね。つばさちゃんのように一途に思いを寄せてくれる子より、陽万里のようにドライというか、キチンと距離感のある付き合いのできる子の方が自分には合っているのかも。そのときどきで、いいなと思う女の子のタイプは変わりますけど。
Q:では、今「いいな」と思う女性のタイプは?
掃除や料理が上手な、家庭的な人です。子どもが好きだから早くパパになって、公園で子どもと遊びたい。先日テレビで「はじめてのおつかい」を観て、子どもってカワイイよな~って改めて思いました。
Q:映画を観ることは好きですか?
好きです。青春モノが好きなので、『青空エール』はピッタリでした。「木更津キャッツアイ」のように笑いの要素があるものも好きで、宮藤官九郎さんは憧れです。
Q:舞台「家族の基礎~大道寺家の人々」でコメディーに挑戦されますよね?
はい。もうすぐ稽古が始まるので、実は今胃が痛いんです(笑)。キャリアを積まれた先輩ばかりですから、僕ばかりが怒られたらどうしよう……と。そこで(俳優として)開花したいですね。
Q:好きな映画は?
三谷幸喜さんの映画『ザ・マジックアワー』が大好きです。佐藤浩市さん演じる村田がナイフをなめるシーンは、めっちゃ面白かったですよね。三流役者が映画の撮影だと思いこんで、本物のギャングを相手に殺し屋を演じるんですよ。設定が最高だし、死ぬほど笑いました。邦画は喜劇が合うと思うんです。日本語って語彙(ごい)が豊富だから、そこに面白味が出やすいと思うんですよね。
Q:すると喜劇の上手い俳優さんが好きなのでしょうか?
笑いがうまい人というより、つい目がいく役者さんが好きです。「この人が出演している映画が観たい!」と思わせるような。僕にとってはそれが『ウォーターボーイズ』のときから妻夫木聡さんです。いまは菅田将暉くんとか太賀くんとか、若い人にも増えてきている気がします。
Q:そういう人と比べて、自分に足りないものは?
全部。もう少ししたら勝てるかな? と思ったりするんですけど……まだ無理です(笑)。
Q:でも「もう少ししたら勝てる」?
ちゃんと鍛えれば。例えば、カメラがアップにしたり引いて全身を撮ったりして見せ場を作ってくれるのではなく、お客さんがスポットライトを作る世界に身を置けば鍛えられるんじゃないかと思うんです。お芝居をする場でもっと経験を積みたいです。
Q:理想とするお芝居は?
あまり考えて芝居をしたくないんです。僕自身どちらかというと勘で芝居をするタイプで、同じことがあまりできません。それは頭で考えないほうがいいと思ってやっているのですが、カメラマンさんや照明さんは大変だし、あまり褒められないことかもしれませんけど。
Q: 1日休みがあったら何をしますか?
海に行きますね。プールより海がいい。自然の中に身を置いて、すごく癒されるんですよ。一度海に行くと、「俺の仕事ってなんだっけ?」というくらい、ものすごくリフレッシュしちゃいます。
Q:海ではダイビングを?
免許は持っていますが、準備が大変だから。この前はウェットスーツを着て、シュノーケルとフィンをつけた素潜りでした。夏場はそれで何時間でも泳いでいられます。素潜りは小さい頃から好きでした。
Q:では1週間休みなら何をします?
沖縄に行って、潜ります(笑)。
取材・文:浅見祥子 写真:吉岡希鼓斗
映画『青空エール』は8月20日より全国公開