『君の名は。』新海誠監督インタビュー~運命の人はいる、ということを伝えたかった~(2/2)
■新海監督が語る、『君の名は。』が“集大成”である理由
2002年の商業デビュー以来生み出してきた5つの作品について、新作『君の名は。』とのつながりという面からお話を聞きました。
『ほしのこえ』(2002)
『君の名は。』でのスマホを使ったメッセージのやりとりは、この作品での主人公たちの携帯メールのやりとりを連想させると思います。しかももっと大きな部分でも『君の名は。』とリンクしています。楽しみにしていてください。
『雲のむこう、約束の場所』(2004)
初の長編作品であり、苦労もしましたし、上手くいかなかった部分も多くて。語りたい要素が詰まった作品です。夢で出会う男女とか、地理的な断絶とか『君の名は。』にも共通点の多い作品だと思います。
『秒速5センチメートル』(2007)
個人的な思いは別として、僕の作品の中でも好きだと言ってくれる方が多い作品です。僕にとってもこの作品を経たことで「より多くの人に見てもらう」ことを意識しはじめました。すれ違い続ける男女、という構造は『君の名は。』と同じと言えますね。
『星を追う子ども』(2011)
モチーフとしては「生の世界と死の世界」を描くつもりだったんです。『君の名は。』にもそういう要素はあって、この作品から引っ張ってきた部分だと言えますね。ただ、当時は自己プロデュース面で足りなかった部分を強く感じます。
『言の葉の庭』(2013)
主人公がヒロインの足に触れるというフェティッシュな描写があるんですが、『君の名は。』では、さらにフェティッシュな描写があるんです。観る人が、新たな嗜好(しこう)に目覚めたりすると作り手としてはこれ以上の喜びはないですね(笑)。