俳優のきっかけ、家族、恋愛…太賀がプライベートをぶっちゃけ
イケメン発掘調査隊
『アズミ・ハルコは行方不明』太賀【第106回:イケメン調査隊】
インタビュー INTERVIEW
Q:松居大悟監督とは今回で3作目ですね、どんなところに惹(ひ)かれるんでしょうか?
作品にも通じていると思うんですけど、松居さんはとても繊細な人だから、すごく優しい映画が多くて。僕も作品を観ても、やっていても共感する。エモーショナルなものも多いけど、根底には優しさがある。そこが好きです。今回出演したのも、松居さんだからだし、プロデューサーが『桐島、部活やめるってよ』を手掛けた枝見(洋子)さんで、蒼井優さんが主役だということでやりたいと思いました。
Q:『アズミ・ハルコは行方不明』をご覧になってどんな印象を持ちましたか?
やっぱり女性のための映画ですね。男性が見ても、これは女子が傷つくでしょうという部分もあるし。なんか、痛々しいですよね、全体を通して。見てられないぐらい痛いところが散りばめられていますね。
Q:その中で、演じられたユキオは女性に対してとっても残酷で、鈍感です。
そうですね。男性に対しても女性に対してもユキオは鈍感ですよね。この作品は男性のことが極端にクズに描かれているから、まあ、そういう役割ではあるけれど。でも、ユキオの痛さって、痛さに鈍感であることかもしれないです。
Q:演じるために、役づくりはどのようにしたのですか?
役づくりはほとんどしてないですね。ユキオはすごく単純なヤツで、何者かになりたいという、大きな憧れがあって、目の前にあるものに飛びついてしまう芯のない子。ものすごく個性のない人間なんですが、その個性のなさを演じられたらいいなと思って取り組みました。でも、ユキオには共感はできないけど、「わかるよ」という部分はすごくあって、自分の中で演じるために何かを広げるというよりは、持っているものでやれたんじゃないかなと思っています。
Q:ユキオのような男性はいそうですよね。
演じるとき、僕はユキオを若者の象徴のつもりで演じていたんです。学(葉山奨之)も含め、こういう子っていると思います。変わった役では全然なくて、ありふれた子。個性を求めている個性のなさ。実は僕もそうだけど、ユキオってそういうヤツの典型だと思うんです。だから変わったことは何もしてないんです。
Q:男子目線から見た春子(蒼井優)や愛菜(高畑充希)にはどんな印象を持ちましたか?
二人ともとても生々しく演じているし、そこにとても説得力がありますよね。痛々しさを抱えている女性って、いるんじゃないかなと思います。でも、僕は春子って健気でかわいいなと思うんです。曽我(石崎ひゅーい)に頼まれたわけでも何でもないのに、車を運転して「ご飯食べよ」と迎えにきているところとか。でも曽我から見たら、痛いんでしょうね。愛菜はとても痛い女性ですよね。すごく弱い子なんだろうなと思いますね。
Q:演じる中で悩んだところはありますか?
ユキオの着地点ですね。彼はクズだけど、最終的に「働かなきゃ」と何かが芽生える瞬間がある。その気付きのタイミングがわからなくて。松居監督も一緒に悩んでくれました。たとえば、僕がわからないことがあってぐるぐるしていたら、松居さんもぐるぐるしてくれる。ベクトル定めてくれるというよりは、一緒になってやってくれる。そのときも一緒にぐるぐるしていました(笑)。
Q:タイトルは『アズミ・ハルコは行方不明』ですけど、ユキオも行方不明になっていたんですね?
みんなが生き方を見つける。劇中、ユキオと学はそういうシーンがあったから。何かを見つけたんでしょうね。見えてなかったものが明確になったというか。
Q:学役の葉山さんとの共演シーンが多かったですが、撮影現場はいかがでしたか?
奨之との共演は2回目なんですけど、かわいかったですよ。大きな赤ちゃんみたいで(笑)。彼、ベビーフェイスでしょ。奨之とみっちゃん(高畑)と一緒にいるシーンが多かったので、撮影の合間に3人でよく話していましたね。奨之の話をずっと聞いていた気がする。あと撮影では蒼井さんとは一緒になれませんでしたけど、宿泊先のホテルは同じだったんです。それで撮影中、何回かキャストとスタッフ数人で部屋に集まって、いろいろと話して楽しかったですね。本当にみんな仲良くて、今も何かある度にちょくちょく会っています。
一問一答 PRIVATE
Q:デビューして10年ですが、そもそも俳優になろうと思ったきっかけは?
小学生のとき、ドラマの「ウォーターボーイズ」を見て、山田孝之さんに憧れてというのがきっかけです。
Q:お父さん(中野英雄)が俳優ですよね。ご家族の影響はなかったんですか?
その当時はなかったと思うんです。でも今振り返ってみると、父親が俳優という家庭で育っていて、会社に勤めるということがあんまりにも現実的じゃなかった。どうやって就職するのか、大学の行き方もわからないというぐらいものすごく遠い世界で、圧倒的に芸能界が近かったんです。周りにもそういう人たちしかいないから。だから、役者になりたいと軽く言えたのかなって思うんですよね。父親の作品は、ほとんど観てないんです。ちゃんと観たのは、役者の仕事を始めてからで、『アウトレイジ』ですね。だから、自分が俳優を目指したことに直接的な影響はないと思います。
Q:今現在、目標とする俳優はいますか?
どこを見ても、素敵な俳優さんばっかりなので、目指すのは違うじゃないかなと思います。それに、誰にもなれないし、なる必要がないこともわかってきたので。だから別に目標はなくて、自分らしい役者になれればいいな。
Q:役者をやめちゃおうと思ったことは?
うーん。高校を卒業したときに、大学行かないと決めて役者になったから。役者で生きて行くと覚悟したわけですけど、これから、どこかでぽーんとやめちゃうかもしれないし、どうなるかわかんないです(笑)。
Q:好きな映画は?
『Kids Return キッズ・リターン』『リアリズムの宿』です。
Q:初恋は?
同じ保育園の子です。
Q:恋愛するとどうなるタイプですか?
仕事もやって、彼女と過ごす時間もとって、バランスよく常に幸せって感じですね。
Q:好きな女性のタイプは?
たたずまいが凛としていて、地に足がついている人。それから、ちゃんと自分のことを知っている人が好きですね。
Q:今、興味があることは?
雪山登山に行ってみたいです。登山を少しずつやるようになって、雪山登山がいいって聞いて。やってみたいなと思うんですけど、難易度が高くて。揃えなくてはいけない装備もあるし、大変なので一人ではいけない。でも、一緒に行けそうな友達がいないので、困っています。
Q:時間があるときは何をしていますか?
寝ています。ずっと。睡眠時間はマックス19時間です(笑)。
Q:この「イケメン調査隊」にも出てくれた、菅田将暉さん、若葉竜也さんと仲が良いそうですね。
はい、仲良いですね。ツルんだりはしないけど、遊ぶときはお互いの家を行き来しています。俺は(お酒を)飲むけど、竜也も将暉もあんま飲まないから、ずっと家でうだうだしているんです。最近3人で箱根に行ったんですよ。いや温泉には入らなくて。ずーっと歌を歌っていました(笑)。
取材・文:前田かおり 写真:上野裕二
スタイリング:石井大 ヘアメイク:ISINO
映画『アズミ・ハルコは行方不明』は12月3日より全国公開