ヒーローたちを愛してやまないライター・杉山すぴ豊による熱血授業!!アメコミ☆ハイスクール
アメコミ☆ハイスクールへようこそ! 今日からキミたちには、アメコミの魅力について学んでもらう。卒業のための必須単位はただひとつ。「アメコミの奥深さを学び、その魅力に酔いしれること」だ!! 先生の熱い授業を受け、新旧ヒーローの活躍に夢中になろう! (presented by U-NEXT×シネマトゥデイ)
LESSON7 アメコミ好きのための「スター・トレック」!
起立! SNIKT!
今日の生徒さんは
最近アメコミ映画にハマりはじめたアケミちゃん
海外ドラマが大好きなミワコちゃん
洋画ファンのレイナちゃん
だね。さて今回は舞台をがらりと変えて、宇宙物。ズバリ『スター・トレック BEYOND』に注目するよ。
「スター・トレック」ってどんなお話?
「え?『スター・トレック』ってアメコミなんですか?」……うん、いい質問だね、アケミちゃん。「スター・トレック」はアメコミ原作ではないです。でも、何度もアメコミ化されたこともあって、アメコミファンにとっても非常に親近感のある作品なんだ。
「私、カンバーバッチ出てるんで前作の『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(以下、イントゥ・ダークネス)は見ました!」……その通りだねミワコちゃん、今回の『スター・トレック BEYOND』(以下、BEYOND)は2009年の『スター・トレック』、2013年の『イントゥ・ダークネス』に続く3作目。
まず、「スター・トレック」シリーズのストーリーを紹介しよう。舞台は23世紀、地球は様々な異星人たちとともに惑星連邦という巨大な宇宙国家を作り上げていた。そしてまだ見ぬ宇宙の神秘を求めて、カーク艦長率いる宇宙戦艦エンタープライズは探検の旅に出るんだ。長い山歩きのシューズをトレッキングシューズと言うよね? トレックとは“長く困難な旅”、“牛車・荷馬車で移動する入植の旅”という意味もあり、宇宙開拓の旅を描いた物語なんだ。
ウルトラマンと同期?1966年、トレック開始!
「割と最近の映画ですよね」……なるほどレイナちゃん。その認識も正しいけど、実は今回の「BEYOND」は「スター・トレック」シリーズ誕生50周年記念作品で、そもそもは1966年に製作されたTVシリーズが始まりなんだ。
1976年に完成したスペースシャトルの1号機の名前がエンタープライズになったのも本作に由来するし、主人公たちが使うコミュニケーターという通信機が携帯電話のモデルになったとも言われていて、実際の生活にも大きな影響を与えた作品なんだよ。そして、いつしか“トレッキー”と呼ばれる熱狂的なファンを生み、アメリカでは何度も何度も再放送され“アメリカではテレビをつけるとどこかのTV局で必ず放送されている”と言われるほどの人気だったんだ。
ちなみ1966年って日本では「ウルトラマン」誕生の年で、日米がそれぞれ伝説のSFドラマを生んだ年だったわけだ。日本での放送は1969年。「宇宙大作戦」や「宇宙パトロール」という題名で放送。テーマ曲は日本の「アメリカ横断ウルトラクイズ」にも使われているから聞き覚えあるかな。
「スター・ウォーズ」が「スター・トレック」熱を復活させたんだ!
TVシリーズが1969年に終了した後、トレッキーたちをはじめ、「スター・トレック」を見て育った人々からは続編を望む声が多かったんだけど、なかなか実現せず……。だけど1977年に意外なかたちでチャンスが来たんだ。1977年に『スター・ウォーズ』が大ヒットしてSF宇宙映画ブームが起こる。その追い風にのってTV版のキャストを集め1979年に超大作映画として大復活を果たしたんだ! 映画はシリーズ化され、再びブームが起こり、1987年にはキャストを一新して「新スター・トレック」というTVシリーズも作られた。その後何本かの映画とTVシリーズに展開。で、2009年に、あのJ・J・エイブラムスがまた映画シリーズとして復活させたんだ。
あ、レイナちゃん、ピンと来たね! そう、エイブラムスは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の監督! SF映画ファンの中には「スター・トレック」派と「スター・ウォーズ」派がいたわけで、エイブラムスは「スター・ウォーズ」の方にいっちゃうの!? とかなりのトレッキーが「スター・ウォーズ」新シリーズの製作決定にショックを受けたらしいよ(笑)。
アメコミと「スター・トレック」の関係
「スター・トレック」シリーズはマーベルとDCでアメコミ化されたし、最近ではDCの宇宙ヒーロー、グリーン・ランタンと「スター・トレック」の面々が出会うコミックも出版された。アケミちゃん、新3部作の「スター・トレック」のキャストにも注目だよ!
まず、主人公のカーク船長役のクリス・パインは映画『ワンダーウーマン』のヒロインの恋人役だし、女性航宙士役のゾーイ・サルダナは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のガモーラ役。マッコイ役のカール・アーバンは『RED/レッド』や『ジャッジ・ドレッド』に出演していて、『マイティ・ソー』シリーズ最新作にも出演。さらに、『スター・トレック』(2009)の敵、ネロ役エリック・バナはアン・リー監督版の『ハルク』の主人公を演じているし、「イントゥ・ダークネス」のヴィラン、カーンは2017年公開のマーベル最新作『ドクター・ストレンジ』の主演、ベネディクト・カンバーバッチ! そして今回の「BEYOND」の強敵クラールは『マイティ・ソー』の映画などでおなじみのイドリス・エルバ。……と、このキャスティングをみてもわかる通り、アメコミ映画と『スター・トレック』シリーズの立ち位置は、かなり近しいんだ。今まで未見だったアメコミファンも、絶対に楽しめるから是非見てほしいな!
というわけで今日の授業の最後は、「スター・トレック」に出てくる人気者・スポック流の挨拶で締めくくろう! 片手の人差し指と中指、薬指と小指をそれぞれくっつけて開き、かざしながらこう言うんだ!
「長寿と繁栄を!」
【補習】
Q.「X-MEN」に「スター・トレック」が出てくるって本当ですか?
タイムトラベルによる歴史改変を描いた『X-MEN:フューチャー&パスト』で劇中、TVドラマの「スター・トレック」を見ているシーンがある。「スター・トレック」の世界では光速で時空を超え、歴史を変える展開が多いから、そのオマージュ。あと「X-MEN」のプロフェッサーX役のパトリック・スチュワートは元々「新スター・トレック」のピカード艦長役で有名。うーん、縁があるね!