謎めいた転入生を演じた、礼儀正しくクールな国際派
イケメン発掘調査隊
『一週間フレンズ。』上杉柊平【第108回:イケメン調査隊】
インタビュー INTERVIEW
Q:主人公・長谷(山崎賢人)の恋敵となる九条役でしたが、出演が決まったときはいかがでしたか?
漫画が原作でアニメ作品もあると聞いて、「大変だぞ!」と。高校生にしかないキラめきやさわやかさを描く作品に出演したことがなかったので挑戦だと思ったし、とても楽しみでした。僕が演じた九条は客観的に映画を観ていると、「どういう人だろう?」と思う部分が多いでしょうが、決してイヤなヤツではありません。川口春奈さん演じる藤宮さんのことを中学時代からずっと思い続ける、ストレートでピュアな男。それを上手く表現できないだけで魅力的な人に思えたし、その異質な感じも好きで、九条を演じてみたいと思いました。
Q:同世代の共演者が多かったと思いますが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
「フレンズ」って感じでした(笑)。九条は転入生ということもあって僕のクランクインが遅かったんです。それで現場へ行くと、すでに川口さん、山崎くん、松尾(太陽)くんらの間にはもう同級生のような関係ができあがっていました。最初は「入りづらいかも……」と転入生の気分でしたが、最初からみんなフランクに接してくれて。川口さんは無邪気な人で、山崎くんも素直でピュア。二人が現場の空気を作り上げてみんなを引っ張ってくれたので、輪の中にすっと入っていけました。みんなの仲の良さが映像に出ている気がします。
Q:もしご自身が、藤宮さんのように記憶が1週間しかもたない女の子に恋をしたらどうしますか?
藤宮さん、携帯を持ってないからなあ(笑)。そう考えると長谷の交換日記というアイデアは秀逸かも。でも僕だったら……諦めちゃうかな(笑)。いや、写真でも折り紙でもお花でも、なにかカタチがあるものを贈り続けるかもしれません。モノを見たり、匂いを嗅いだときに記憶がよみがえることってよくありますから。音もそうですけど、言葉ではないもので、自分というものを伝えようとするかもしれません。
Q:完成した作品を観た感想は?
まず、自分の回りにいるさまざまな人が浮かびました。友達もそうだし、親も、一緒に仕事をしている人も。僕が気づいていないときでも誰かが見てくれているから、今の自分がいる。今自分ができていることがある。線と線でつながった人たちが助け合っていることをわかっていたはずなんですけど、再確認して、ごく自然に受け入れられました。ああだから「フレンズ」という言葉がタイトルにあるんだなって。思いは伝わっている。僕も誰かに、思いをキチンと伝えられる人になりたいなと思いました。
一問一答 PRIVATE
Q:好きな映画は?
『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』。アル・パチーノが好きなんです。声、顔もいいけど、目が一番好きです。あの人なら、セリフなしでも2時間観ていられます。めちゃくちゃカッコイイ。
Q:好きな女性のタイプは?
えっと……今アル・パチーノの顔が頭に浮かんでました(笑)。女性のタイプだと、ミステリアスな人。何を考えているのかわからない人を見ると、知りたいと思って追いかけちゃいます。好きになるのに、年齢は関係ありません。
Q:好きな人ができたら、すぐ告白しますか?
自分から告白はしますけど、たくさんの時間をかけてからですね。出会ってビビッときて、「この人いいな!」と思ったら、まずは近い存在になりたいので話しかけます。そのあとずっと一緒に時間を過ごす相手になるかもしれないので、いいお付き合いをするには時間をかけて、相手を知ってからでないと告白はしません。
Q:女性にビビッとくるのはどんな瞬間ですか?
とても感覚的です。アンテナが反応したとき、この人と一緒にいたいと思ったときですが、最初はやっぱりその人が醸す全体の雰囲気、そしてやっぱり目ですね。ストレートに思いがビシビシ伝わる目なのか、なんらかの秘めた思いを感じさせる目なのか……カタチや大きさが問題ではないように思います。
Q:今興味があることは?
仕事以外ということですよね……DIYかな。ほしいと思うものが売ってなかったり、極端に高価だったりしたときは自分で作っちゃえって。これまで机やDVD棚、ランプシェードなどを作りました。カーテンもほしいものが見つからなかったので、布屋さんで好きなものを選んだほうがいいなと思って作りました。両面テープとピンで作った簡単なものですけど。例えば洋服でも、僕はその技術を持っていませんが、知り合いに作れる人がいるので好きなデザインでサイズを合わせて作ってもらったりします。部屋でも服でも、好きなものに囲まれていたいんです。DIYというか、そうした創作活動が好きですね。
Q:好きなものがハッキリとあって、それを生み出すことに喜びを見出す性質は、俳優という仕事にもつながっているのでしょうか?
つながっていると思います。もちろん作品があって監督がいてプロデューサーがいて、作り手にビジョンがあって、そうして自分も台本を読んで見えているものがある。両者を擦り合わせながら作品を作っていく作業が好きなんです。作り手の一人として参加することが。もちろん撮影中にそんなことは考えていませんけど。
Q:ハマっていることはありますか?
神社巡りにハマっています。先日、箱根の芦ノ湖近辺の神社を3か所回りましたが、まだ行きたいところがたくさんあるんです。神社ってやはり神聖な場所で、シャキッとするし、何か力のようなものを感じるんですよね。周辺に自然が残されているところも多く、そういう雰囲気も好きです。
Q:囲碁が特技なのですか?
12、13歳の頃、2~3年ほどのめりこんでいました。友人に誘われて始めたらハマってしまって。プロの師匠に弟子入りし、毎日6時間ほど正座をして囲碁を打っていました。「将来どうするんだ?」と聞かれる頃にバスケを始めて、そっちが楽しくなっちゃったんですけど。
Q:囲碁とバスケって、興味の幅が広いですね?
ある枠組みがあって、その中に自由があるものが好きみたいです。囲碁も盤という枠があって星の数ほど手があると言われますが、そこに自分の性格を出していくんです。指し手に人間性が出ます。先日ある監督さんとそんな話をしていると「役者もそうだと思うよ。セリフがあって役柄としての立ち位置が決められた中で、どれだけ遊ぶかだよ」って言われて。自分が音楽を好きなのも同じかもしれないなと思いました。たとえば映画監督のように完全な作り手だと、自分で枠そのものを作るわけで、それはまた違うんですよね。枠の中で自由に動きたい。バスケのようなスポーツも、決められたルールのもとで戦いますよね。スポーツはルールが細かく、自由度が少ない気もしますけど。今バスケは自分でやるより、ゲームを観る方が好きです。
Q:演じることは楽しいですか?
すごく面白いです。これほど悔しい思いをすることが、今までなかったんです。自慢じゃなくて! 悔しいと思うほど本気になったことがなかったのだと思います。バスケをやっていて試合に出られなくても、「みんな頑張れ」と思っていましたから。でも今は違います。あのとき悔しい思いをしたから、次はこうしてみようという思いがどんどん湧いてくる。そう感じること自体が刺激的なんです。
Q:目標とする俳優は?
具体的な方はいません。でも役者さんでなくても、思ったままに行動する子どもみたいな人が好きなんです。礼儀をキチンとわきまえているのは大前提ですけど、子どものまま大人になっちゃったような人が。そういう人になりたいですね。
Q:俳優として今後どんな役を演じてみたいですか? 英語をしゃべれると、選択肢が広がりそうです。
海外進出への興味ってことですよね? 今のところそうした野望はとくにありません。どこでやるかより、一作一作を大切に、目の前のものを闘いたいと思っているんです。
取材・文:浅見祥子 写真:奥山智明
映画『一週間フレンズ。』は2月18日より全国公開