武術の達人の祖父がつけた名前を胸に、モデルから俳優へ!
イケメン発掘調査隊
『サクラダリセット 前篇/後篇』岩井拳士朗【第111回:イケメン調査隊】
インタビュー INTERVIEW
Q:『サクラダリセット』は学園モノでありながら、過去をリセットする能力などさまざまな力を持つ学生が登場して、時系列が複雑に錯綜する作品です。最初に台本を読んだときの感想は?
台本を読んだとき、時間軸がどう進んでいるのか、結構難しくて実はすんなり頭に入らなかったんです。複雑なところを整理するために、大事なポイントを書き出しながら読みました。
Q:役づくりについてはどう取り組んだのですか?
僕が演じる坂上の「コピーする能力」は、人から能力をコピーして、自分を介して他人に移すという能力で、コピーした能力を自分で使うことはできないんです。言ってしまえば、「使われる」役なんですよ(笑)。その能力がある坂上は仲間に協力したことで、2年前に転校させられたという過去があって、自分の思いをあんまり前に出すことはできない。少し内気なんです。だけど、仲間のために協力できることは協力したいという気持ちはある。深川栄洋監督とそんな青年を作っていきましょうと話し合いました。
Q:ところで、今回が映画デビュー作ですね?
そうなんです。深川監督はとても優しい方で、キャストのみなさんも俳優の先輩なんですけど、僕よりも年下の方が多くて現場には柔らかい空気感があって、自分が持ってきたものをすんなりと出せた気がします。緊張もあまりせず、自分の思ったことをやってみると、監督が「それはいいからそのまま使おうか」とか、「ここはもう少しタイミングを早めよう」と言ってくれて。本当に俳優が持ってきたものを大切に見てくださる監督で、すごく贅沢な環境でやらせていただいたと思います。
Q:この撮影現場に入る前に、何か参考にした作品はありましたか?
『先生と迷い猫』『トワイライト ささらさや』など、深川監督の作品をたくさん観ました。中でも、『半分の月がのぼる空』は特に好きなんです。2年ほど前、深川監督の作品だと知らずに観たのがきっかけですが、繊細な感情が一人一人丁寧に描かれていて、すごく魅力的で、何度も観ています。今回、『サクラダリセット』の監督が深川さんだと聞いたときに、「あっ! 『半分の月~』の監督だ」と思ったら、すごくテンションが上がって。それを監督に話したら、「ありがとう。一緒に(撮影を)越えようね」と言ってくださいました。
Q:共演した野村周平さんの印象は?
野村さんはいつもとにかく元気なんです(笑)。映画の中で演じる役どころはとても落ち着いているんですけど、現場ではスタートがかかる直前まで、全力でみんなを盛り上げてくれました。たとえばお弁当を食べていたときには、「これ、めっちゃウマイ!」(野村の口ぶりを真似して)と言って少年のようにはしゃいでいたのに、お芝居になると、一気に目つきが変わるんです。自然と引っ張ってくれる座長でした。
Q:そんな野村さんに、影響されたことはありましたか?
現場で、「スケボーやってる?」と聞かれたことがあって。僕は「やってそうでしょ、でもやってないんだ」って答えたんですけど、実はその後にスケボーを始めました。もともとやってみたかったんですけど、野村さんのスケボー姿がカッコよかったので、始めてみました(笑)!
Q:黒島結菜さんや平祐奈さんなど、共演した女の子たちも今や人気の若手女優さんたちですが、撮影現場はいかがでしたか?
女子のみなさんはキラキラしていて、天然なところもあったりするんですけど、一生懸命ですごくしっかりしている。みんな年下なんですけど……僕が見習わないとですね(笑)。
Q:二部に渡る作品の魅力は何だと思いますか?
一人一人、信念があって生きているんですが、その中で野村さん演じる浅井ケイは、誰かが犠牲を払うことなく、みんなが幸せになるようにという考えのもとに動く。登場人物たちはいろいろな感情に揺れながらも、そんな真っ直ぐなケイの思いに惹かれて協力していく。その心の動きを前・後篇に分けて丁寧に描いているので、そこを観てもらえたらなと思います。あとは、能力者がたくさん登場して、みんなサラッと能力を使うんですが、僕が演じる坂上だけはめちゃくちゃ息もあがり、眼鏡も曇って、汗がダラダラの状態で能力を使うので、そこでちょっと笑っていただけたら嬉しいです(笑)。
Q:完成作は映画館で観ましたか?
前篇が公開されてから、友達数人と観に行きました。自分が出演した作品を友達と観るというのは、すっごく不思議な気持ちでした。友達からは演技を指摘されたり、話が複雑なので、観終わった後に「あれって、どうなっているの?」など質問されて、それを僕が一つ一つ解説していました(笑)。すごく楽しかったですよ。でも、まだわからないところがあるので「それは後篇につながるから……」と宣伝して。で、後篇もまた一緒に観に行くことになっています。
一問一答 PRIVATE
Q:そもそも俳優になったきっかけは?
僕は美容師になりたくて東京に出てきたんですけど、学校に入ってからすぐ、声をかけてもらってモデルとして雑誌などで仕事を始めて。その後、今の事務所にスカウトしてもらったのがきっかけです。
Q:好きな俳優は?
リリー・フランキーさんが好きです。とても個性的で、独特な空気感を持つ唯一無二の存在だと思います。
Q:好きな映画は?
『スワロウテイル』。『半分の月がのぼる空』とか、もともと映画は好きでしたが、俳優を目指すようになって、映画館に行ったりレンタルしたり、とにかく映画をたくさん観るようにしています。最近、一番衝撃を受けたのは『ディストラクション・ベイビーズ』でした。
Q:好きな女性のタイプは?
家庭的な人が好きです。お母さん的な感じ……? 年齢は関係なく、その人自身が、家庭的で温かみのある人で、尊敬できるものを持っている人がいいかな。
Q:好きになるとどうなりますか?
僕は、波打ち際みたいな感じですかね(笑)? 犬っぽいというか、外では強がっている風だけど、家ではかわいがってほしいなというタイプです(笑)。ネットで「かわいい」とか書かれていたりすると、「素がバレてるのかな?」と思います(笑)。
Q:趣味が化石と昆虫飼育だそうですね?
はい。僕、クワガタが好きなんです。クワガタとカブトムシが好きで、卵から育てるブリードもできます! 小さい頃、男の子ってみんな好きじゃないですか。クワガタ、カブトムシ、恐竜って。それがそのまま、レベルアップして今に至っている。恐竜が好きだったところからもっと深く入って化石に興味を持ち、化石を探しに行くようになりました。高校生のとき、首長竜の化石が出た鹿児島の獅子島というところに行き、人生で初めてアンモナイトを見つけたんです。昆虫は子供の頃から飼っていたので、女の子から「虫飼ってるの? 子供ね」って言われても「えっ、何が? カッコイイじゃん」って言ってしまうタイプでした。全盛期は100匹を超えていましたが、今は3匹飼っています。
Q:それでは虫好きな女子じゃないと付き合えませんね。
いや、虫好きじゃなくてもいいんですけど、虫を飼っている僕をわかってくれる人だと嬉しいです(笑)。
取材・文:前田かおり 写真:上野裕二
映画『サクラダリセット』前篇は全国公開中、後篇は5月13日より二部作連続公開