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名画プレイバック

ロバート・レッドフォードが最も美しかった「あの頃」(2/3)

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海軍の制服姿がまぶしい『追憶』

追憶
『追憶』(1973)より。制服が似合うことといったら……! Photo by Sunset Boulevard/Corbis via Getty Images

今:元祖フェミニストといえば、『追憶』は甘いラブロマンス的なイメージが強かったけど、今見返したらかなりイメージが違いました。

山縣:私も久々に見直したんだけど、あまりにも有名なバーブラ・ストライサンドが歌うテーマ曲と題材的にもそうだし、何よりレッドフォードの美貌に目がくらんで、お子ちゃまな自分には本質が見えていなかったのねと猛省したわ。バーブラのことは、当時中学生だった私は彼女の偉大さがわからず、美人とも思わなくて、気が強い女性だなあという感じだったけど、今観ると自分の言いたいことをはっきりと言えるし、ものすごく強くて現代的な女性像に驚かされた。1973年の公開作品で、映画は1937年の大学時代の出会いから始まって第二次世界大戦中に再会し、結婚から別れを描くという内容から考えても、バーブラが演じたケイティは時代を先取りしている。バーブラがなぜこれほどまでにアメリカでカリスマ的な人気を誇っているかが、このキャラクターを演じたということだけでもよくわかる。

今:そういうバーブラでありケイティのような女性に、ここでもレッドフォードは二枚目として寄り添い、嫌味なく女性を立てる役を演じ切っているわけですよね。

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追憶
バーブラ・ストライサンドとのコンビネーションも抜群!(C)Columbia Pictures / Photofest / ゲッティイメージズ

山縣:ケイティという女性の個性を受け入れ、彼女に自分のスタイルを変えないでと言いながら、ハベル(レッドフォード)はケイティと一緒に成長することができず、結婚してからも実際には全然ついていけていなかった。そのハベルの未熟さ加減が、大人になるとまた別の味わいがあるのだけれど。レッドフォードは政治には興味があっただろうし、意識高い系だからノンポリのハベルより、本当はケイティこそが演じたいキャラクター像だったのかもしれない。劇中、政治活動に熱心なケイティが赤狩りに反対して危ない目にあうシーンでハベルが相手を殴るんだけど、ここはケイティ=バーブラ様に自分で殴らせろ! って思ったよね。でも、初見時は「妻のために体を張って戦うなんて素敵」って思ったし、「ハベルは体育会系なのにセンシティブで文才があるのね」なんてうっとりしちゃった(笑)。

今:冒頭のクラブで再会するシーンでは、ハベルは眠っていても女性の目を引く存在として描かれていますもんね。

山縣:その時の海軍の制服がまた似合うのよね~。海軍だとどこでも寝ることができるんだわ(ハート)とか。あと、前髪がはらりと顔にかかる感じも、王子様ヘア、少女漫画の典型でうっとりポイント。

今:『追憶』はとりわけハラリと落ちた前髪を、ケイティがかきあげたり直してあげるシーンが多い。ツボを押さえた演出ということですよね。

華麗なるヒコーキ野郎
『華麗なるヒコーキ野郎』(1975)Photo by Keystone-France/Gamma-Keystone via Getty Images

山縣:海軍の制服もそうだし、『華麗なるヒコーキ野郎』(1975)を観たときも制服姿がすごくかっこいいと思った。本人は意図していないだろうけど、制服だの前髪はらりだの、女子の好きなものを全部持っている感はある。これでレッドフォードを好きにならないなんて嘘! という感じだけど、女性が『追憶』を好きな理由は、すごく正しいフェミ映画でもあるから。「セックス・アンド・ザ・シティ」のシーズン2の最終話で、キャリーとビッグが別れた後、サマンサ以外の3人が『追憶』のハベルをビッグに例えて熱く語るシーンがあって。「別れのシーンがいいよね」とか言いながら、別れ際にケイティがハベルの髪を整えてあげるシーンを再現して、主題歌を熱唱するの。キャリーたちがバーブラ&ケイティに感情移入する気持ちが痛いほどよくわかって泣けてしまった。つくづく世代としては、焼印として押されている作品なんだなあと思ったわ。

>次ページはレッドフォードの天才ぶり

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