ワイルドでチャーミングな新星、大ヒットアニメの実写化に挑戦!
イケメン発掘調査隊
『心が叫びたがってるんだ。』寛一郎【第113回:イケメン調査隊】
インタビュー INTERVIEW
Q:人気アニメーション映画の実写化ということで、意識されたことはありましたか?
撮影前にアニメを観させていただいて、どう演じていくのかずっと考えていたんです。熊澤(尚人)監督も「アニメでは表現できない細かい表情を大事にしたい」とおっしゃっていたので、アニメの大樹にはない自分らしさが出せればいいなと思っていて。特に、野球で挫折した大樹が後輩に本音をぶつけるシーンは大事にしました。アニメにはない大樹の見せ場だったので、現場でもかなり緊張感がありました。
Q:大樹が切ない目でグラウンドを見つめるシーンも、とてもよかったです。
あれは大樹自身がいろいろうまくいっていない時で、後輩からも陰口をたたかれてモヤモヤが募り、叫びたいのに叫べない状況だったんです。だからこそ、あのグラウンドを見るシーンには気持ちが入りました。野球部のシーンといえば、大樹の回想で投げるところを撮ったんですけど、撮影前に一回しか練習ができなくて、もう少し頑張ってきれいなフォームにしたかったなと思いました。
Q:本作のために長かった髪をスポーツ刈りにされたそうですね。
はい。あれが役づくりの第一歩でした。髪を切って鏡を見た時に、「おまえ誰だ?」という感覚になりましたけど(笑)、そうしたことで大樹になれるような気がしました。
Q:登場人物たちの恋愛も描かれていますよね。大樹はヒロインの女子高生・順(芳根京子)に片思いをしていました。
話すことができないけど頑張っている順を見て、どんどん好きになっていく。そんな大樹の気持ちには共感しました。大樹以外の恋模様はすごく分かりやすいんですけど、彼は言いたくても言えない男で、むしろ、同級生の拓実(中島健人)のことが好きな順を応援してしまう。そんな大樹のカッコよさ、男らしさが好きですね。本来なら自分だって気持ちを伝えたいはずなのに、好きな女の子の恋の後押しをするなんて、僕だったらできないです(笑)。
Q:中島さんをはじめ、同世代の皆さんとの撮影現場はいかがでしたか?
ものすごく楽しかったです。僕はもともと人見知りで、ほかの皆さんも人見知りだって言っていたんですけど、そんな感じがまったくしなかった。皆さんステキな方なので、自分だけ斜に構えているわけにはいかないと思って、楽しく過ごさせてもらいました。休憩中は指を使ったゲームで遊んだり、子どもに戻ったような感じでしたね。座長の中島さんは本当に魅力的な方で、たくさんの人から愛されているなと思いましたし、僕も好きになっちゃいました。
Q:中島さんとはプライベートでも親しくなれそうですか?
そうなったらいいんですけど、何しろお忙しい方なので。「僕はヒマですよ」って言っているんですけど(笑)。
Q:学園祭でクラスメイトたちと臨んだミュージカルシーンも印象に残ります。
僕は卵の王子役で、歌ったり踊ったりはしないんですね。でも、撮影の一か月ほど前からみんなで練習していて、そこがリアルな青春だったように感じました。「ここはこうしようか」とかみんなが相談しながらやっているのを見ているのが楽しかったですし、その“みんなといるのが楽しい”というのが大樹の気持ちそのままだったような気がします。とてもいい時間でした。
一問一答 PRIVATE
Q:好きな映画を教えてください。
たくさんあるんですけど、一本挙げるなら『カッコーの巣の上で』(1975)です。15歳くらいの思春期にDVDで観て、ジャック・ニコルソンさんの演技に衝撃を受けました。内容的には難しい映画だったんですけど、すごく印象に残っています。あの時に「役者をやりたいな」という思いが芽生えたような気がします。
Q:目標にしたい役者さんといえば?
僕の父(佐藤浩市)も役者ですし、尊敬する役者さんはたくさんいます。でも、誰かを目指すわけではなくて、自分自身がいい役者になりたいですね。
Q:大樹のような失恋体験はありますか?
失恋は結構している方だと思います。実ったことはほとんどないですね。片思いで終わることがよくあります。僕は拓実みたいに直球では言えないんです。順のように言いたいけど言えなくて、モジモジしてしまう(笑)。
Q:好きなタイプの女性は?
見えない気づかいができる女性。例えば、誕生日に彼女がすごく入手しづらいものをプレゼントしてくれて、朝から並んで買ってくれたとしたら、渡してくれる時に「お誕生日おめでとう」とだけ言って渡すのか、「これ、朝から並んで買ったの」って言うのかの違い。ちょっとした差なんですけど、何も言わずに渡してもらえる方がうれしいと感じます。あくまでも理想ですし、すごく難しいことだろうとは思いますけど。
Q:ということは、寛一郎さんご自身が何も言わずに渡すタイプなのでは?
多分、そうすると思います。プレゼントって何か見返りを受けるために渡すものではないと思っているんです。
Q:女性のどんな仕草に魅力を感じますか?
所作などでその人から出てくる雰囲気。動きが美しいからいいというわけではなく、座っている姿は上品なんだけどモノの扱い方が雑だったりすると、「これってどういうことなの?」って興味がわきます。ギャップがあると、どういう人なのか知りたくなりますね。
Q:どんなところでデートをしたいですか?
僕は基本的に趣味がなくて、ロマンチックなこともできないんです。でも、散歩は好きだから、2人で手をつないで散歩をしたいです。彼女と一緒だったら、どこを散歩していても楽しいと思うので。
Q:自分の長所と短所を挙げるとしたら?
長所は、表面的に人に優しくできるところ。多分、相手が何を求めているのかを汲み取ろうとして、それをやろうとしてしまうのでしょうね。でもそれって本当の意味での優しさとは言えないと思うので、そこが短所でもあります。本当に優しい人になりたいです(笑)。
Q:今、心から叫びたい思いは?
もっと仕事したいです。自分を追い込んでみたいんです。今は時間があると映画を観て、役者さんたちのお芝居を見ています。そのあと、散歩をしながら映画について考えることが多いです。「もしも自分だったら、どんな風に演じていたかな?」とか。芝居をやっていきたいという気持ちが本当に大きいので、どんな役でも演じてみたいです。
取材・文:斉藤由紀子 写真:上野裕二
映画『心が叫びたがってるんだ。』は7月22日より全国公開