次代を担うハリウッド上昇株!注目の黒人俳優を探せ!
今週のクローズアップ
サミュエル・L・ジャクソン、デンゼル・ワシントン、モーガン・フリーマン……絶大な存在感を発揮するアフリカ系アメリカ人俳優たち。偉大なキャリアを誇る彼らは今やベテランの域。そこで今回は、次代を担うこと確実な若手たちに注目! その魅力に迫ります。(編集部・入倉功一)
■次代のデンゼルは彼!?期待のマーベルヒーロー
何よりインパクト大の名前が目を引くチャドウィックは、漆黒のスーツをまとうマーベルヒーロー、ブラックパンサーを演じる中堅。デビューを飾った『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』では、ウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズとスーツなしの戦いも見せ、長い手足を駆使した、ヒョウのような身のこなしでファンの喝采を呼んだ。来年公開予定の単体映画はヒット確実。『アベンジャーズ』最新作も控えていて、ブレイクは必至だ。
2003年ごろからテレビドラマなどに出演し、『42 ~世界を変えた男~』(2013)で近代メジャーリーグ初の黒人選手、ジャッキー・ロビンソンを演じて注目を浴び、ファンクの帝王“JB”を熱演した『ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男~』(2014)では軽やかなダンスステップを披露。圧倒的な身体能力を誇る演技派として、アクションもドラマもこなすデンゼル・ワシントンに一番近い存在は彼かも?
■不遇のヒーローから這い上がった不屈の男!
その『ブラックパンサー』の敵役エリック・キルモンガーを演じるのがマイケル・B・ジョーダンだ。本作の監督であるライアン・クーグラーが手掛けた『フルートベール駅で』(2013)で、無抵抗のまま白人警官に射殺された実在の青年を演じて注目され、2015年には、スマッシュヒットとなった低予算映画『クロニクル』(2012)で組んだジョシュ・トランク監督のヒーロー映画『ファンタスティック・フォー』に出演。成功街道をばく進するかと思いきや、この映画が最低映画を決めるラジー賞に輝く失敗作になってしまう。
ブレイクの出だしからつまずいた彼を救ったのが、ライアン・クーグラー監督とシルヴェスター・スタローンだ。伝説のボクシング映画『ロッキー』のスピンオフ『クリード チャンプを継ぐ男』でマイケルは、ロッキーのライバル・アポロの息子で、ロッキーと師弟関係を結ぶ青年アドニスを好演。スタローンと共にその年の映画賞を騒がせ、何度倒されても立ち上がるロッキーのごとく復活を遂げた。すでに『クリード』は続編が決定。さらにクーグラー監督とは新作『ロング・アンサー(原題) / Wrong Answer』でもタッグを組む予定で、今、アカデミー賞に一番近い黒人俳優は彼と言えるかも。
■世界一刀が似合うオンナ!
『ブラックパンサー』には、チャドウィックとマイケルに加え、オスカー女優のルピタ・ニョンゴなど、注目のアフリカ系アメリカ人俳優が勢ぞろいしている。その中でも押さえておきたい存在がダナイ・グリラ。聞きなれない名前だが、日本でも大人気のゾンビドラマ「ウォーキング・デッド」のミショーンを演じるのが彼女だ。ドレッドヘアに刀を携えた力強い姿に、優しい母性を兼ね備えたミショーンは、まさに彼女の当たり役。初登場となったシーズン2最終回から、現在放送中のシーズン8までメインキャストとして出演し続けている。
『ブラックパンサー』では、超文明国ワカンダの王でもあるブラックパンサーのボディーガード・オコイエ役で出演。久々にメインキャストを務める映画作品でもある。さらに、やはり2018年の公開を予定している『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』にも登場する予定で、映画界でもますます存在感を増していくのは確実。ただ、映画女優としてブレイクしても、「ウォーキング・デッド」には出続けてほしい!
■カッコカワイイ筆頭のキュートヒロイン!
今、一番カワイイ黒人女優は誰? と聞かれたら迷わず彼女と答えたいのがテッサ・トンプソン。「ヴェロニカ・マーズ」などテレビドラマや舞台活動が中心だったが、2014年に出演した『ディア・ホワイト・ピープル』『グローリー/明日への行進』がいずれも高評価を獲得。2015年に『クリード チャンプを継ぐ男』でヒロインのビアンカ役を務めた。
マイケル・B・ジョーダン演じるアポロの息子アドニスの背中を押す歌手の卵という役どころで、編み込んだロングヘアもキュート。その一方でテッサは、日本でもヒット中のマーベル映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』では、大酒飲みでめっぽう腕が立つ戦士ヴァルキリーを演じ、こちらも高評価をゲット。強くてかわいいヴァルキリーの人気は本国アメリカでも急上昇しているようで、今後はマーベルでも重要な位置を占めるキャラになるかも?
■スマッシュヒットで一気に知名度アップ!
『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』『ボーダーライン』と話題作に出演しているが、まだ20代ということもあり、それほど目立ってはいなかったダニエル。しかし、今年主演を務めた映画『ゲット・アウト』が、製作費450万ドル(約4億9,500万円)に対して、全世界で2億5,000万ドル(約275億円)を突破する特大級のヒットを記録。注目の存在に躍り出た。(数字は Box Office Mojo 調べ、1ドル110円計算)
本作は人種差別がテーマの異色スリラーで、ダニエルは、白人女性の恋人の実家で世にも恐ろしい体験をする青年を熱演。ニューヨーク在住の写真家で、差別的な態度を取られても冷静に対処する、都会的な若者像を見事に表現している。どこかシドニー・ポワチエを思わせる、男らしく知性にあふれた甘いマスクも気になる、今後が期待される上昇株だ。
■役の幅広さはピカ一!
アイス・キューブらが結成した伝説的グループN.W.A.の実録ドラマ『ストレイト・アウタ・コンプトン』でドクター・ドレーを演じたのがコーリー・ホーキンズ。海外ドラマファンならば、「ウォーキング・デッド」で演じたメガネの青年ヒース役と言えばわかるかもしれない。
賞レースを騒がせた『ストレイト~』の後には、ドラマ「24:レガシー」であのジャック・バウアーの後を継ぐ主人公に大抜てきされた(残念ながら1シーズンで終了してしまったが……)。ハードな役でも、どこか知性と優しさがにじみ出る演技が特徴。たとえば、『キングコング:髑髏島の巨神』では「24」から一転して、ひ弱な科学者を演じている。ちなみに『キングコング』には、『ストレイト~』でイージー・Eを演じたジェイソン・ミッチェルも出演。彼も今後出演作が目白押しの注目株だ。
■すでに“伝説”の出世頭
映画史に残る伝説のシリーズ『スター・ウォーズ』のメインキャストに選ばれたのが現在25歳のイギリス人俳優、ジョン・ボイエガ。そのキャリアは浅く、ストリートギャングを演じた2011年のSFアクション『アタック・ザ・ブロック』では、少年の面影を残した彼を見ることができる。
新たな三部作の幕開けとなった『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)でストームトルーパーの脱走兵フィン役に抜擢され、一躍世界的なスターの仲間入り。12月15日には、続編『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の公開を控えている。
また、日本でも話題になったロボットアクションの続編『パシフィック・リム:アップライジング』では主人公に抜擢。さらに『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督最新作にして、すでに本年度のオスカー候補とも噂される『デトロイト』でも主演を務めており、『スター・ウォーズ』人気をフル活用しながらのバラエティー豊かな作品選びが特徴。『スター・ウォーズ』後も素晴らしい作品に出演し続けるハリソン・フォードのようなスターになれるかも?