ダリルに生命の危機？ガンマは洗脳から解放!?
今週のウォーキング・デッド
ついにスタートした「ウォーキング・デッド」シーズン10後半、その2話目の今回は、アクションあり、感動ドラマあり、そしてホラーあり。いつもに増して見どころ満載エピソードになっている。（平沢薫）
※ご注意 なおこのコンテンツは「ウォーキング・デッド」シーズン10について、後半の「もう観ちゃった方向け」はネタバレが含まれる内容となります。ご注意ください。
今週のウォーキング・デッド～シーズン10第10話
＜これから観る方向け：ネタバレなし＞ダリルのファン＆ゾンビ・アクションのファンは必見！
今回は、いつもに増して見ごたえ十分。というのも、いろんなジャンルの要素が盛り込まれているから。ゾンビ（ウォーカー）とのバトル・アクションあり、俳優の演技をじっくり見せる人間ドラマあり、そして、ホラー映画の雰囲気を味あわせてくれるシーンもあるのだ。特にダリル（ノーマン・リーダス）のバトルシーンは迫力モノなので、ダリルのファンと、アクションのファンは必見。
今回、こうして多様な要素が盛り込まれているのは、監督と脚本家の双方が、これまで人気テレビシリーズで活躍してきたベテランだからかもしれない。監督ブロンウェン・ヒューズは本シリーズではこれが初監督作だが、これまでドラマ「Lの世界」「ブレイキング・バッド」「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」などを監督し、近年は「13の理由」「グッド・ドクター 名医の条件」を手掛けているヒットメーカーだ。
そして、脚本のジム・バーンズは本シリーズにはシーズン10からプロデューサーとしても参加。脚本を手がけるのはシーズン10第3話「亡霊」に次いで今回が2度目だが、これまでドラマ「NIKITA／ニキータ」「GOTHAM／ゴッサム」「フォーリング スカイズ」などの脚本を担当してきた人物だ。この2人のようにシーズン10から参加した新しいスタッフたちが、これからの「ウォーキング・デッド」に新たな魅力を加えてくれそうだ。
＜もう観ちゃった方向け：ネタバレあり＞“囁く者”3人が、それぞれの持ち味を発揮！
今回は、中身が濃い。特に、“囁く者”の中心メンバー3人、アルファ（サマンサ・モートン）、ベータ（ライアン・ハースト）、ガンマ（ゾーラ・バーチ）が、それぞれの持ち味をたっぷり見せてくれるエピソードになっている。
まず、ガンマ。今回は、アルファの洗脳から解放された彼女が、仮面を脱ぎ捨てて、心の底からの言葉を話し、初めて人間らしい表情を見せる。その姿は、“囁く者”の一員になる前の、メアリーという名前だった彼女を想像させるもの。ガンマがこれまでとは別の表情に変化していくさまを見せる、ゾーラ・バーチの演技に魅了される。
そして、ベータ。彼が見せてくれるのは、ホラー映画の魅力。深夜の十字架の墓碑の前、地面から突き出される腕、そこから這い出て立ち上がり、両腕に巨大な刃物を構える彼のシルエットは、まさにホラー映画の怪物。ベータの巨体と長いコートは、こういう情景にこそ似合うと痛感。そこから彼が行うアレクサンドリアの住民たちの殺戮は、まるでスプラッタ・ホラー。彼が家に忍び込んでガンマを探す姿も、モンスターが犠牲者の少女を探すホラー映画の定型パターン。「ウォーキング・デッド」にホラー映画を融合させた演出が新鮮だ。
さらに圧倒させられるのが、アルファ。ダリルとの戦いで重傷を負って意識がもうろうとした状態のアルファのシーンでは、名女優サマンサ・モートンの迫真の演技が、アルファの複雑な心理を描きだす。瀕死のダリルに語りかける彼女のゆがみ切った思考。ゆがんではいるが揺るぎない娘への愛。そして彼女の前に幻のように出現する娘リディア（キャサディ・マクリンシー）。娘との会話の後で目覚めたアルファの瞳の中で、娘への純粋な愛が、妄念を超えて、一瞬、輝く。サマンサ・モートンの演技力が、アルファという人物、そして「ウォーキング・デッド」という物語に深みを与えていることがよくわかる名シーンだ。
また、今回のもうひとつの見どころは、ダリルとアルファ＆ウォーカーたちとの激闘だ。ダリルと、アルファが引き連れたウォーカーたちのバトルの一部をダリルの主観映像で描き、ダリルの視界が傷口から流れてくる血のせいで赤くなった状態で描写するという演出も斬新。
そしていよいよ、囁く者との総力戦が迫ってきた。が、すると気になるのは、前回、アルファに急接近したニーガン（ジェフリー・ディーン・モーガン）。彼はこれからどう動くのか。また今回、ダリルを救ったリディアは、これからどうするのか？ 前回、一人取り残されたキャロル（メリッサ・マクブライド）は何をしているのか？ そして武器を手に入れるため島に向かったミショーン（ダナイ・グリラ）はどんな状況なのか？ まだまだ、予想を裏切る展開が待っているのに違いない。