夏休み映画特集2022~劇場洋画編~
家族で楽しめるエンターテインメント大作や暑さを忘れさせてくれるホラーなど、夏休みにぴったりな作品が目白押しの劇場洋画。ほかにも、友情や家族をテーマにした感動作やインディペンデント系の作品などさまざまなジャンルの作品が目白押しで、どの作品も見逃せません!(文・岩永めぐみ)
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『ミッドサマー』のA24が手がけた真夏のホラー
『X エックス』公開中
監督:タイ・ウェスト
キャスト:ミア・ゴス、ジェナ・オルテガ
105分
『ムーンライト』や『ミッドサマー』といった話題作を手がけてきたプロダクションのA24が製作、スティーヴン・キングやエドガー・ライト監督が絶賛したという期待度MAXのホラー。1979年のテキサスで、老夫婦の住む屋敷の納屋を借り、ポルノ映画の撮影を始めた6人の男女。しかし、頑固な夫とおとなしい妻に見えていた老夫婦の真実がしだいに明らかになる。1970年代のホラーやポルノを思わせるテイストの演出は、『サクラメント 死の楽園』などのタイ・ウェスト監督によるもの。主演は『サスペリア』でもホラーとの相性の良さを見せたミア・ゴス。老夫婦が殺人鬼と化したその理由に、衝撃と同情を感じずにいられない。
アベンジャーズの破天荒なヒーロー、雷神ソーが再び戦いに身を投じる
『ソー:ラブ&サンダー』公開中
監督:タイカ・ワイティティ
キャスト:クリス・ヘムズワース、クリスチャン・ベイル
119分
マーベル・コミックのヒーロー、マイティ・ソーをクリス・ヘムズワースが演じる『マイティ・ソー』シリーズの第4弾。全宇宙の神々の抹殺を企てるゴアの出現により、戦いの日々から遠ざかっていたソーが再び戦いに身を投じることに。最強のハンマーを手に現れた元カノのジェーン・フォスター、ソーに代わって王座に就いた妹のヴァルキリーと共に、ゴアとの戦いに挑んでいく。『マイティ・ソー バトルロイヤル』に続いてタイカ・ワイティティがメガホンを取り、ジェーン役のナタリー・ポートマンが復活。さらに、強敵ゴアにはクリスチャン・ベイルがふんする。ソー持ち前のコミカルさに笑い、壮絶なバトルに、手に汗握る!
戦後PTSDを抱えた元女性兵たちの生と死に向き合うドラマ
『戦争と女の顔』公開中
監督:カンテミール・バラーゴフ
キャスト:ヴィクトリア・ミロシニチェンコ、ヴァシリサ・ペレリギナ
137分
ノーベル文学賞を受賞したベラルーシの作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチが執筆した、第二次世界大戦に従軍した女性兵士の証言集「戦争は女の顔をしていない」を原案に映画化。終戦後のソ連・レニングラードで、傷病軍人を世話する看護師と戦地から帰還したばかりの女性兵士が、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しみながら生きようとする。監督のカンテミール・バラーゴフは、『ファウスト』などのアレクサンドル・ソクーロフの下で学んだロシアの新鋭。戦後も続く悲劇の中で、生と死に向き合う女性二人のドラマに心を揺さぶられる。
トラブル続きの高級レストランの内幕を90分ワンショットで描く
『ボイリング・ポイント/沸騰』公開中
監督:フィリップ・バランティーニ
キャスト:スティーヴン・グレアム、ジェイソン・フレミング
94分
ロンドンの高級レストランで繰り広げられるドラマを、全編ワンショットで撮影した異色作。クリスマス直前の金曜の夜、客でにぎわうレストランのオーナーシェフを中心にさまざまな出来事が巻き起こる。オーナーシェフを『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』などのスティーヴン・グレアムが演じ、俳優出身で本作が長編2作目となるフィリップ・バランティーニが監督を担当。ワンシチュエーションの中に社会問題や対人関係の苦労などが詰め込まれた物語の巧みさと、編集なしのワンショットがもたらす臨場感と緊迫感に圧倒される。
『ジュラシック』シリーズ30年の完結編!
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』7月29日公開
監督:コリン・トレヴォロウ
キャスト:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード
147分
スティーヴン・スピルバーグが映像革命をもたらした『ジュラシック・パーク』、そして『ジュラシック・ワールド』と続いたシリーズの完結編。人間の住む世界に恐竜たちが放たれて数年。ヴェロキラプトルの「ブルー」の子供が何者かに誘拐され、恐竜の保護活動をしている主人公らが子供を取り返そうと奔走する。クリス・プラットやブライス・ダラス・ハワードなどのレギュラー陣が出演するほか、完結編にふさわしくローラ・ダーンとサム・ニールのなつかしのメンバーがカムバック。大型恐竜ギガノトサウルスなど、最新技術で映し出される迫力満点の映像に興奮必至。
『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の監督による青春ストーリー
『プアン/友だちと呼ばせて』8月5日公開
監督:ナタウット・プーンピリヤ
キャスト:トー・タナポップ、アイス・ナッタラット
129分
『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』がアジア各国でスマッシュヒットを記録したタイの新鋭、ナタウット・プーンピリヤ監督が手がけた青春ストーリー。白血病に侵されて余命宣告を受けた青年が、かつての親友に最期の頼みを依頼。青年の元カノたちを訪ねる旅に出る。『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』を観てプーンピリヤ監督の才能に惚れ込んだというウォン・カーウァイが製作総指揮として参加。アイス・ナッタラットと『ゴースト・ラボ:禁断の実験』などのトー・タナポップ(別名:タナポップ・リーラットタカチョーン)が演じる二人の青年の友情と、最期に明かされる秘密に爽快な涙がこぼれる。
女性の人生にまつわる出来事を共感たっぷりに描く
『セイント・フランシス』8月19日公開
監督:アレックス・トンプソン
キャスト:ケリー・オサリヴァン、ラモナ・エディス=ウィリアムズ
101分
34歳のうだつのあがらない女性を主人公に、キャリアや結婚、妊娠、体のあれこれなど、女性の人生にまつわる出来事を共感たっぷりに描いたヒューマンドラマ。レストランのウェイトレスとして働く主人公が、夏限定のナニー(子守)のアルバイト先で出会った6歳の少女や同性カップルとの交流を通して変化していく。主演を務めたケリー・オサリヴァンが初めて長編映画の脚本を執筆し、監督をこちらも初長編作となったアレックス・トンプソンが担当。思い通りにいかないながらも不器用に生きる主人公の姿が、人ごととは思えず心にしみる。
怪優ウド・キアの哀愁ただよう演技に魅了
『スワンソング』8月26日公開
監督:トッド・スティーヴンス
キャスト:ウド・キア、ジェニファー・クーリッジ
105分
『悪魔のはらわた』や『サスペリア』などのほか、ラース・フォン・トリアー監督作品の常連としても知られる怪優ウド・キアが主演を務めるヒューマンドラマ。主人公は、ヘアメイクドレッサーの仕事を引退し、老人ホームで暮らす男性。友人の死化粧を頼まれ、ホームを抜け出したことをきっかけに、亡くなった同性の恋人との思い出など自身の過去と向き合う。モデルとなったのは、監督・脚本のトッド・スティーヴンスの故郷アメリカ・オハイオ州に実在する伝説のヘアメイクドレッサー。さまざまな作品で怪演をみせてきたウド・キアの哀愁ただよう演技に魅了される。
3年ぶりのジョーダン・ピールのメッセージとは?
『NOPE/ノープ』8月26日公開
監督:ジョーダン・ピール
キャスト:ダニエル・カルーヤ、キキ・パーマー
135分
アカデミー賞脚本賞を受賞した『ゲット・アウト』や『アス』のジョーダン・ピールが監督を務めたホラー。カリフォルニアの渓谷に囲まれた牧場で暮らす主人公が、頭上に突如現れた不気味な巨大飛行物体の恐怖に襲われる。主演はピール監督とは『ゲット・アウト』以来のタッグとなるダニエル・カルーヤ。共演は『ハスラーズ』などのキキ・パーマーや『ミナリ』などのスティーヴン・ユァンら。観る者を驚きと恐怖で引きずりこみ、社会問題までも盛り込んだ前2作のような、ピール監督らしい個性的な作風に期待大。
ある日突然家族のもとから去った女性を巡る物語
『彼女のいない部屋』8月26日公開
監督:マチュー・アマルリック
キャスト:ヴィッキー・クリープス、アリエ・ワルトアルテ
97分
『潜水服は蝶の夢を見る』などに出演する俳優で、『さすらいの女神(ディーバ)たち』などの監督作のあるマチュー・アマルリックがメガホンを取ったドラマ。夫と二人の子供と暮らす家を出て行く主人公を『ファントム・スレッド』や『オールド』などのヴィッキー・クリープスが演じ、『Girl/ガール』などのアリエ・ワルトアルテが共演。上演が実現しなかったクロディーヌ・ガレアの戯曲を脚色し、フランス公開時から「去っていった女性の物語のようだ」という短いストーリー以外の内容はかん口令が敷かれていた。そんな謎に包まれた作品だけに、どんな感動が待っているのか楽しみだ。