この世界を変える、驚愕の出来事が発生!!
今週のウォーキング・デッド
今回の第19話「バリアント」の後は、シリーズ最終話となる第24話まで、あと5話を残すのみ。そんなクライマックス直前のここに来て、この世界を一変させる驚愕の出来事が起きる!(文・平沢薫)
※ご注意 この記事は「ウォーキング・デッド」シーズン11についてのネタバレが含まれる内容となります。視聴後にお読みいただくことをおすすめします。
今週のウォーキング・デッド~シーズン11第19話「バリアント」
第19話のエピソードは、前話のラストで起きた、コモンウェルスの創立記念イベントでの大混乱からスタート。今回はこの出来事の余波を描きつつ、「ウォーキング・デッド」(以下「TWD」)の得意技、“胸を打つ心理ドラマ”と“怒涛の急展開”を味合わせてくれる。
しかも、“怒涛の急展開”は2つも登場。まず1つは、エピソードタイトルにもなっているバリアント、つまり変異体の出現。オーシャンサイドに向かったアーロン(ロス・マーカンド)たちは、途中でウォーカーの群れに遭遇するが、その中に、ドアの取っ手を回して侵入しようとするウォーカーがいた。ウォーカーはそんな知能を持っていないので、アーロンは、ウォーカーの顔の皮をかぶって暮らす人間たち“囁く者”の一員かと思って顔の皮を剥ぐが、皮膚の下にあったのは筋肉。ドアノブを回したのは、これまでとは別の知能を持つ、ウォーカーの変異体だった。はたして変異体は、この一体だけなのか!? もし変異体が増えていくとしたら、「TWD」の世界はまったく変貌してしまうことになるだろう。
しかし思い返せば、変異体が出現する予兆はあった。まず、本作のスピンオフ「ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド」シーズン2最終話のエンドクレジット後のシーンでは、フランスの研究所に異常に早く動くウォーカーがいた。その後、ダリル(ノーマン・リーダス)が主人公のスピンオフの舞台がフランスだと発表されて、この新種のウォーカーが登場するのではないかとの噂が流れた。また、「TWD」ユニバースのチーフ・コンテンツ・オフィサーのスコット・M・ギンプルが、Entertainment Weekly で、リック(アンドリュー・リンカーン)が主人公の作品には “新たな要素” が追加されると発言したことから、これは新種のウォーカーではないかという噂も浮上。今回登場した変異体は、こうして噂になっていたウォーカーの新種たちと、どこかでつながりがあるのかもしれない!?
そして、もう1つの“怒涛の急展開”は、今回のラストでロジータ(クリスチャン・セラトス)を拉致した集団の出現。突然の出現が驚愕ものだったが、これは本シーズン第10話「新たな脅威」につながるのかもしれない。このエピソードで、コモンウェルスのパーティーで政府を批判した青年が捕らえられ捕縛され、彼の自宅には反政府運動のポスターなどを作る作業場があり、個人ではなく集団の活動のように見えた。また、第11話「ローグ・エレメント」でジャーナリストのコニー(ローレン・リドロフ)の元に、政府の被害者らしい人名リストが届いたが、誰が届けたのかは不明だった。ロジータの前に出現したのは、ひょっとしたらこの反政府運動をするグループなのか?
そんな2つのサプライズと並行して、登場人物たちの細やかな心の動きを描いて感動させてくれるもの「TWD」の魅力。今回は、ミルトン知事(ライラ・ロビンズ)の息子への愛の描写も迫力モノだったが、静かな感動を与えてくれるのはユージーン(ジョシュ・マクダーミット)、リディア(キャサディ・マクリンシー)、プリンセス(パオラ・ラサロ)それぞれのシーン。特にユージーンは、オープニング前の名場面集も今回は彼が主役。彼のこれまでの後悔せずにはいられないだろう歴史を振り返りつつ、「今 どんな人間で 何を選択するか それが大事」というジュディス(ケイリー・フレミング)のナレーション通り、ユージーンが感動的な選択をする。
そして、リディア。イライジャ(オケア・エメ=アクワリ)に引かれながらも、亡くなったヘンリー(マット・リンツ)のことを思い出し、また愛する人を失うのは耐えられないと言う彼女に、アーロンが自身の体験を語る。さらにプリンセス。交際するようになったマーサー(マイケル・ジェームズ・ショウ)に、彼女の過去がどんなに過酷なものだったのかを語り、「あなたはいい人だ でもユージーンが死ぬところからは出ていかなくちゃ」という彼女の決断が胸を打つ。これから最終回まで、他の登場人物たちの感動的なシーンもたっぷり描かれていくのに違いない。
さて、このファイナル・シーズンの残りはあと5話。自首したユージーンはどうなるのか。ロジータを拉致した集団の目的は何か。はたしてコモンウェルスは変わるのか。まだまだ先が予測できない。