12年続いたサバイバル・パニックもついに完結!最後に待っている光景は!?
今週のウォーキング・デッド
ついにやってきた最終回、シーズン11第24話「レスト・イン・ピース」。「安らかに眠れ」というエピソードタイトルだけですでに不吉な予感が。シーズン11までずっと極限状態の人間たちを描き続けてきた本作は、最後の最後にどんな光景を見せてくれるのか。(文・平沢薫)
※ご注意 この記事は「ウォーキング・デッド」シーズン11についてのネタバレが含まれる内容となります。視聴後にお読みいただくことをおすすめします。
今週のウォーキング・デッド~シーズン11第24話「レスト・イン・ピース」
観るべきものがたっぷりある。観たかったあの光景も観せてくれる。そしてやっぱりサプライズも待っている。最終回の監督は、昨今の重要エピソードの監督を手掛けている、製作総指揮と特殊メイクの担当でもあるグレッグ・ニコテロだ。
まず、おおっと思わせるのは、シリーズ史上初めて“ウォーキング・デッド”という言葉がセリフに登場したこと。この語を言うのはダリル(ノーマン・リーダス)。彼はウォーカーの襲来を前に混乱する兵士と人々の前で「敵は1つ 歩く死人だ」と宣言する。記念すべき瞬間なので、字幕にも“ウォーキング・デッド”とフリガナがついている。
また、冒頭の舞台が病院なのも、このシリーズのシーズン1第1話が病院から始まったことを思い出させて感慨深い。タイトルから誰かの死は予測されたが、それがロジータ(クリスチャン・セラトス)だったのはサプライズ。この演出も凝っていて、最初は死んだと思わせて、実は生きていて、さらにそれをまたひっくり返す。しかし、前々回に久々に登場したルーク(ダン・フォグラー)とジュールズ(アレックス・スギャンバティ)があっさり絶命してしまうとは。行方不明だったジェリー(クーパー・アンドリュース)とイライジャ(オケア・エメ=アクワリ)が生き残ったのは良かったが。
そして、本当の気持ちが聞きたかった、この人たちが、2人だけで静かに本心を語り合うシーンに感無量。マギー(ローレン・コーハン)とニーガン(ジェフリー・ディーン・モーガン)、ダリルとキャロル(メリッサ・マクブライド)だ。彼らはそういう気持ちを抱いていたのかと、それぞれの語る言葉にいちいち納得がいく。ダリルとキャロルがハグだけなのもいい。
さらに、主要人物が全員そろって同じテーブルで食事をする団欒(だんらん)の風景も史上初の演出。この席にニーガンはいないが、ダリルが窓越しに彼と視線をを交わし合うという演出もいい! さらにニーガンには、ジュディス(ケイリー・フレミング)のコンパスの感動的なエピソードもある。このコンパスは、ニーガンがシーズン9第9話「死人の正体」で牢から脱獄してコミュニティーを去る時に盗み、それをジュディスに見つけられて「返してほしいか」と尋ねると、彼女が「あげるわ 道が見つかるように」と彼に与えたもの。今回の手紙にニーガンが「これのおかげで道を見つけられた」と書いたのは、この会話を踏まえている。もちろん、道というのは地図上のものではないだろう。
と、あれやこれやで感動させてくれる最終回だが、それに浸る間もなく、ラスト近くに大サプライズ。なんとリック(アンドリュー・リンカーン)とミショーン(ダナイ・グリラ)が登場する。しかもその演出に仕掛けがある。最初は2人が一緒にいるかのように錯覚させ、しかも、2人のこれまでを振り返ってつづる日記に合わせて、シーズン1から今までに登場してきた人々の姿が映し出され、さまざまなエピソードを思い出させて感動させるのだが、一方で次第にリックとミショーンが一緒にいないことがわかり、感動に浸っている場合ではなくなる。
そのうえ、2人のシーンは時間軸が違うことも判明。リックがリュックに入れるスマホは、ミショーンがシーズン10第13話「選択」で見つけた、ジュディスのラクガキのあるスマホ。そこで、このシーンはそれ以前の過去の出来事だとわかる。しかし、ミショーンはリックを探す旅に出た後なので、2つのシーンは明らかに時間が違うのだ。となれば、ミショーンのシーンも、現在の出来事とは限らないだろう。
さらに、リックのシーンには謎が続々と。リックは何者かのヘリコプターで見つけられて、捕まってしまう。彼を捕らえたのはシーズン9第5話「精算」で彼を連れ去ったヘリコプターと同じ集団だと思われるが、ではリックはなぜ逃げたのか、なぜ彼追われるのかと、次から次へと疑問が湧いてきてしまうのだ。そして、2人が主人公のスピンオフの行方が気になってくる。
とはいえ、その後にやってくるシーンは、このシーズン11まで続いた壮大な物語の最終回にふさわしい。リックとミショーンの子供たち、ジュディスとRJ(アントニー・エイゾー)は明るい陽光が降り注ぐ畑を見渡している。そしてジュディスは弟に語りかける、「やり直せるわ 生きるのはわたしたちよ」。このポジティブなメッセージに満ちた光景が、極限状況で生き延びようとする人間たちを描き続けてきたこの物語の最後に出現して、明るい希望を与えてくれるのだ。