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(2023)

2023年11月23日公開 131分

北野武が描く本能寺の変!映画『首』評価は?

編集者レビュー

首
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』2023年11月23日公開

 『アウトレイジ』シリーズなどの北野武監督が自身の小説を原作に、本能寺の変を描く時代劇。北野監督が脚本などのほか羽柴秀吉役も務め、天下取りを狙う織田信長、徳川家康、さらに明智光秀ら戦国武将たちの野望を映し出す。『ドライブ・マイ・カー』などの西島秀俊、『それでもボクはやってない』などの加瀬亮のほか、中村獅童浅野忠信大森南朋遠藤憲一らがキャストに名を連ねる。

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編集部・石井百合子 評価:★★★★★

 明智光秀が織田信長に謀反を起こした「本能寺の変」は日本人なら誰しも知る史実だが、本作ではその前段階となる荒木村重(遠藤憲一)の謀反から物語が始まり、秀吉を頂点にしたパワーゲームが幕を開ける。北野武監督自ら演じるしたたかな秀吉を筆頭にヒロイックな人物は誰一人として登場せず、歴史上に名を残す人物であろうと庶民であろうと、命は等しく驚くほどあっけなく失われていく。だからといって命を軽んじているわけではなく、正義など通用しない非情な時代描写ゆえに、むしろ「そんなものだったのかもしれない」と思わせる説得力がある。

 秀吉が野望をかなえるべく軍師・黒田官兵衛(浅野忠信)や元百姓の芸人・曽呂利新左衛門(木村祐一)、茶人・千利休(岸部一徳)らを掌の上で転がす様子は壮大なコントを見ているようでもあり、ブラックコメディーのようでもある。北野作品だけに芸達者なキャストが大挙して出演しているが、誰一人埋没することなく、それぞれのポジションをまっとう。なかでも、北野監督の『アウトレンジ』シリーズでインテリヤクザがはまり役となった加瀬亮は本作でも暴君・信長を、すがすがしいまでに怪演している。

編集部・市川遥 評価:★★★★★

 なぜ本能寺の変が起きたのか、そしてなぜ討たれた織田信長の首は見つからなかったのか。北野武監督ならではの考察を基に一大スケールで描かれる戦国時代は、男色の愛憎劇だ。加虐的な織田信長役・加瀬亮、耐え忍ぶ明智光秀役・西島秀俊、そしてヒロインポジションの荒木村重役・遠藤憲一をはじめ、監督を敬愛する芸達者な俳優陣の振り切った熱演だけでも一見の価値がある。

 それだけではなく、北野監督自ら演じた羽柴秀吉という、他の武士たちとは違った農民出身の視点がストーリー上で上手く作用しているのもポイントだ。秀吉率いる黒田官兵衛(浅野忠信)、羽柴秀長(大森南朋)という3人のやり取りはいちいち笑いを誘うのと同時に、切実さもある。愛、暴力、笑い、そして人間の業と欲をこれでもかと活写した本作はジェットコースターに乗ったような体験である一方、ラストは黒澤明監督の『七人の侍』に通じる趣もある。

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『首』あらすじ

 天下統一を目指す織田信長(加瀬亮)が毛利軍、武田軍、上杉軍、さらには京都の寺社勢力と激戦を展開する中、彼の家臣である荒木村重(遠藤憲一)が反乱を起こして姿を消す。信長は明智光秀(西島秀俊)、羽柴秀吉(ビートたけし)ら家臣に村重の捜索を命じるが、天下取りをひそかに狙う秀吉は、弟の羽柴秀長(大森南朋)、黒田官兵衛(浅野忠信)らと策を練る。

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