ウーマン村本はなぜテレビから消えたのか？村本が赤裸々に語る
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ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回のテーマは、ウーマンラッシュアワーの村本が渡米してスタンダップコメディーに挑戦する姿、そして家族や友人といるときの素顔を追いかけた映画『アイアム・ア・コメディアン』。テレビから姿を消した後の3年間を追ったドキュメンタリーについて、村本自身と相方である中川パラダイスが、映画化秘話と見どころを語り尽くす！（取材・文：森田真帆）
今回の映画は『アイアム・ア・コメディアン』です。
お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔がテレビから姿を消した後の3年間を追ったドキュメンタリー。政治に関する発言などにより渦中の人となった村本が、自身のお笑いを貫く姿に密着するとともに、その裏側にある苦悩や家族との関係などを映し出す。監督を『東京クルド』などの日向史有が務める。
大麻問題で干された企画の復活劇のすべて
中川パラダイス（以下、中川）：まずこの作品は村本が主演だから、まずは村本からこの映画がどうやってできたのかってちょっと話した方がええんちゃう？
村本大輔（以下、村本）：この映画ができたのはね、正確には覚えてないけど、3、4年ぐらい前に、オレがアメリカのニューヨークでスタンダップコメディアンとして1か月間戦っている姿をドキュメンタリーにして、NHKで放送したいというオファーが来たわけ。それでオッケーしたんやけど、ちょうどそのタイミングでアメリカとかで、大麻が合法化される動きがあったから、その議論として「大麻を合法化したい」って言ってみたわけ。そしたらその発言のせいで、番組が無くなった。
中川：それだけで？
村本：そやで。それだけ。その発言だけで番組を降ろされた。それで1か月間抑えてたスケジュールもゼロになって、給料も全く出ないわけですよ。その発言だけで仕事が全部無くなったことがすげえムカついて、それを英語でアメリカ人にこの日本の情けなさ、ダサさ、カッコ悪さを全部ネタにしてやろうと思って、個人的にニューヨークに行ったんよね。そしたらもともとドキュメンタリーをやる予定だった制作会社にいた監督が、どうしても撮りたいと。公開する方法は決まってないけど、ついて行っていいですか? ってついて来てん。
飾らない村本の素顔が撮れた理由
中川：僕が最初見た時の感想は、単純に全部ひっくるめてすごいなって。それは相方の映画だからね。しかもドキュメンタリー映画やん。村本をここまで追いかけてくれて、それを映画にしようと思う人がいるんやってさ。村本にずっと密着してそれを映画にしようと思うっていう時点で、絶大なるファンが一人いるわけやん。それだけですげえなって思ったよ。
村本：たしかにな。ほんまにどこにでもついてきてくれたからな。
中川：もともとそのこの映像が YouTube になって、それが今度テレビで放送されたやん。今回の映画はそれをまた映画化するんじゃなくて、また別の撮りだめた素材を使って映画化しているから、ちょっとテイストが違う。YouTube 版とかは僕がもうちょっと出てたけど、今回はマジで出てけぇへんもん。
村本：せやねん。YouTube 版は中川にもインタビューして、ウーマンラッシュアワーをどんなふうに考えているのかが入ってたけど、今回はオレをメインで作りたかったって言われたわ。
中川：最初の方はやっぱ村本もなんか面白くまとめたり、リップサービスしたりとかあったけど、途中から完全に素になってるよな。
村本：そらテレビとかバラエティー番組とかやったらカメラ回されても1時間とか2時間ぐらいで終わるやん。こんな3年もずーっと横でカメラ回されたら、頑張って言おうとする気も起こらんねん。後半は撮られてるという意識がなくなってきたな。
純粋さもあざとさも…素顔の村本
中川：この映画は村本をよく描きすぎちゃうって思う部分もあるし、そのまんまやなって思う部分もあんねん。全部撮られたっていうか素顔を曝け出したことで、しんどかったことはなかったん？
村本：あったよ。なんかブサイクな寝顔を勝手に撮られたみたいな。あんまり撮ってほしくないところというか、素になりすぎた。例えばお父さんとのシーンとか、本当に酒も飲んでるし、感情も入ってるし、ケンカしてるし、ほんまに撮られたくなかったやつ。映画館であのシーンが流されると思ったらさ、何の恨みがあんねん、あの監督！ と思うぐらいの恥ずかしさはあるよな。
中川：気持ちはわかるけど、それが映画の面白さの一つでもあるよな。ああいう部分は本来の角度からじゃ絶対見れないと思う。特に、村本ってこんなに泣くん？ と思ったわ。何回泣くん！ て（笑）。父親とケンカしたことに対して泣くとか、もう40歳過ぎなのにそんなに泣くんやと思って（笑）。なんか村本の嬉しい一面を見れたっていうのはあったよな。
村本：お前はオレのこと、めちゃくちゃわかってんな！
中川：いやいやもちろんあの時はお酒も入ってるやろうし、カメラが回ってるから泣いたらおいしいっていうあざとさもあるかもしれないけど、それを全部ひっくるめて村本っていうものやからさ。
村本：おい！ あんだけ丸裸とかいうといて、結局疑ってるやん、オレのピュアな涙を!!
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『アイアム・ア・コメディアン』7月6日公開
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ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です！」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため（中退）、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。