エイリアン最新作!『エイリアン:ロムルス』の評価は?
編集者レビュー
『エイリアン:ロムルス』2024年9月6日公開
名匠リドリー・スコットが生み出した恐怖の原点『エイリアン』の“その後”を描く最新作。『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレスが監督・脚本を務め、廃棄された宇宙ステーションを舞台に、明日への希望を抱く若者たちを襲う絶望的な恐怖を映し出す。
編集部・倉本拓弥 評価:★★★★★
『死霊のはらわた』『ドント・ブリーズ』といったスリラー作品を手がけてきたフェデ・アルバレス監督が、1979年のオリジナル版に原点回帰し、純粋なSFホラーとしてシリーズを復活させた。1作目のリプリーを連想させる新たなカリスマ性のある女性主人公、特撮技術でこだわり抜いたゼノモーフの生々しさ、1作目のキャッチコピー(宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない)を踏襲した絶望的な恐怖演出など、オリジナル版への愛がこれでもかと詰まっている。
『ドント・ブリーズ』を彷彿させる恐怖の静寂から、キャスト陣が「トラウマ級」と戦慄するクライマックスへと加速する物語の緩急も絶妙だ。最後の一瞬まで観客が安心できない状況を生み出すアルバレス監督の才能は、シリーズの生みの親であるリドリー・スコットの後継者として申し分ない。時系列は1作目と『エイリアン2』の間だが、事前知識がなくても問題なく楽しめる。もちろん、シリーズファンがアッと驚くシーンも待ち受けている。(編集部・倉本拓弥)
編集部・入倉功一 評価:★★★★★
リドリー・スコットが生んだ『エイリアン』(1979)の恐怖が、ついにスクリーンに蘇ったと思えるシリーズ最新作。『ドント・ブリーズ』で盲目の老人を恐怖のモンスターとして描いたフェデ・アルバレス監督の演出は冴え渡り、閉鎖空間で若者たちを追いつめる、ゼノモーフやチェストバスター、フェイスハガーら見慣れたはずのクリーチャーたちが、おぞましく恐ろしい存在であったことを喚起させる。
シリーズ1作目だけでなく『プロメテウス』をめぐるテーマにも挑戦するなど、アルバレス監督のリドリー・スコットに対するリスペクトは相当なもので、行ってはいけない場所に侵入した若者たちが化物に襲われる“ドンブリ”の構成も、アルバレス監督のエイリアン愛が生んだ作品だったのではないかと考えれば納得だ。
予告編にも登場する、酸性のエイリアンの血液が舞う無重力空間における攻防など、緊迫のシーンはどれもアイデア満載で最後まで飽きさせない。当時のテイストそのままの宇宙船やテクノロジー描写はむしろ新鮮で実にクール。絶対に映画館の暗闇で楽しみたい、まさに理想的な続編となった。
『エイリアン:ロムルス』あらすじ
西暦2142年。日照時間ゼロの採掘植民地・ジャクソン星に暮らす、人生の行き場を失った6人の若者たちは、極めて劣悪な環境から逃れるため、宇宙ステーション“ロムルス”に足を踏み入れる。だが、そこで彼らを待っていたのは、寄生した人間の胸を突き破り、異常な速さで進化する “エイリアン”だった。その血液はすべてを溶かす強力な酸性のため、宇宙空間において攻撃は不可能。まさに宇宙最強にして最恐の生命体から、彼らは逃げ切れるのか。