カンヌを驚がくさせた、若き天才監督来日!
第19回東京国際映画祭
24日、東京国際映画祭コンペティション部門に選出されている『2:37』(原題)の上映後、ムラーリ・K・タルリ監督の記者会見とティーチインが行われた。ムラーリ監督は22歳のオーストラリアの新鋭監督。
物語は、誰にも打ち明けられない悩み、問題を抱えた6人の高校生たちの1日を追う。午後2:37、その中の1人が自殺を図った……。6人それぞれの視点からエピソードとインタビュー映像を交差させ、10代の心の闇を描いている衝撃作。
友人を自殺で失い、自らも自殺未遂の経験を持つ監督。そして映画製作の経験がなく、19歳で本作を手掛けたということもあり、会場は制服姿の学生から、年配の方まで、多くの観客が来場していた。
エンドクレジットに「オーストラリア政府から一切の援助はなかった」と書いてあったことを尋ねられると、「製作の資金売りが大変だった。製作費は援助してもらえず(政府が行う芸術作品に対する資金援助システム)、自分で集めたけど、カンヌへ持っていく際に、プリント代が必要でふたたび政府に申し込んだ。しかし“カンヌに持っていってもみんな、ガッカリするだけだ”と断られた」と製作秘話を語った。それもあり、「“政府の援助がなくても映画は作れるんだ!”という気持ちと“ザマーミロ! 自分でちゃんとやったぞ”という意味を込めて、クレジットに書いた」と恐れを知らぬ発言。
また、「映画では“自殺”が美化されて描かれることが多い。でも“自殺”は苦しくて、後悔することなんだ。この映画を観て、自殺を思いとどまってくれる人が1人でもいたら……と思っている」と熱弁するように、自殺シーンは、かなり衝撃的だ。自殺未遂を経験した監督自らの言葉は、観客の心に重く響いたに違いない。
『2:37』(原題)は2007年GW、渋谷シネアミューズCQNにて公開。