名優ジョン・ハートが同性愛者を30年ぶりに熱演
第59回ベルリン国際映画祭
2月11日(現地時間)、ベルリン映画祭パノラマ部門で、映画『アン・イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』のワールドプレミアが開催され、リチャード・ラクストン監督、主演のジョン・ハートが会見した。
ニューヨークに住み同性愛者で知られるイギリス人作家のクウェンティン・クリスプを描いた本作は、当時同様にニューヨークに滞在していたイギリス人のスティングがクリスプを訪ね、感銘を受けて彼にささげた曲名がタイトルになっており、映画のエンディングでも同曲が使われている。クリスプ役のジョンが、30年前に同じクリスプを演じた、クリスプの自伝的小説『ザ・ネイキッド・シビル・サーバント』もパノラマ部門で上映されている。そのことについてジョンは「クリスプに、(オネエ言葉で)あなた、また私をやるの?って言われたよ」と今は亡きクリスプになって話してみせて、クリスプ役の年季を感じさせた。
礼儀正しい口調は崩さずに思ったことをズバズバ発言し、時には物議もかもしたクリスプは、ファッションにも独自のこだわりを持っていたようだ。ジャケットにシャツのきちっとした姿に、首に巻いたカラフルなスカーフは、映画中でも印象深い。スカーフはどうなるのか、チャリティ寄付でも考えているのかという女性記者からの質問に、ジョンは「スカーフ?今はどうなってるかも知らないな。お望みなら探し出して、あなたにあげようか?」と、意外な質問に笑いながら答えた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)