今日、世界中が六本木に注目!不況の影響?一般上映未定の良作多数の映画祭が開幕!
第22回東京国際映画祭
本日、第22回東京国際映画祭が六本木にて開幕する。洋画が不振といわれ、不況が続く中、良作でありながら配給会社がつかない映画が増えている。東京国際映画祭ではそんな日の目を見ない映画から、大作までがめじろ押しだ。
例年だと、コンペ作品を含め各部門の作品には日本の配給がすでについていることが多かったが、今年はそれが極端に少ないと映画祭事務局では語る。
それは、日本での洋画不振と不況の影響によるところが大きい。それを代表するのは、今年4月、独立系の配給会社で、良作な映画を配給し続けたワイズポリシーが倒産したことや、『ミリオンダラー・ベイビー』や『クラッシュ』などアカデミー賞受賞作品など良作を数々買い付けてきたムービーアイの倒産など、良作を配給すれば興行的な成功が得られるわけではないということが、実証されてしまったからでもある。
そんな配給会社の買い控えも手伝ってか、今年は例年になく配給のついていない良作が多い。このままだと映画祭の上映だけで終わってしまう良作も多数存在するだろう。
そんな中、まだ当日券も絶賛発売中の洋画の良作をいくつか紹介する。
コンペ部門では、スペイン、コロンビアの『激情』が、パンチが効いていて面白い。映画『パンズ・ラビリンス』などのメキシコの鬼才、ギレルモ・デル・トロがプロデュースしたサスペンスフルな恋愛劇。建築現場で働く移民の青年が、数日間恋人が住み込みで家政婦をしているアパートに転がり込むことから巻き起こる悲しいドラマだ。
また、映画『ゴッド・ファーザー』シリーズや映画『コーザ・ノストラ』といった数々のマフィア映画の舞台となったニューヨークのスタテンアイランドで繰り広げられる、シニカルなギャング映画『NYスタテンアイランド物語』やインド・インディペンデント映画界の注目株、デーウ・ベネガル監督作の『ロード、ムービー』も時空を超える旅が感動的に繰り広げられる凝ったつくりだ。
また、自然と人間の共生をテーマにしたnatural TIFF部門にも注目で、牛の目線で物語をつづる『牛は語らない/ボーダー』や、人魚と海亀の伝説を描く寓話劇でありながら、リアルな出産シーンが登場する『人魚と潜水夫』にも注目したい。また、「種の起源」の作者ダーウィンとその家族を描く感動のドラマはポール・ベタニー、ジェニファー・コネリーというハリウッドの大スターが出演していながら、日本ではまだ配給会社の決まっていない作品『クリエイション ダーウィンの幻想』にも注目したい。アメリカでは宗教の問題からダーウィンの進化論を否定する考えが根深く、良作でありながらアメリカ人がそっぽを向いてしまった。
そのほか、配給会社もつき出している、ワールド・シネマ部門は良作の宝庫。ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門でコリン・ファースが主演男優賞を獲得した大物デザイナーの演出による悲痛な愛の喪失を描いた、トム・フォード監督の『シングル・マン』や、巨匠ケン・ローチ監督最新作の『エリックを探して』はぜひ観ておきたい作品。リーアム・ニーソン主演の北アイルランド紛争を描いた『5分間の天国』はサンダンス映画祭監督賞受賞した名作。名匠トルナトーレ監督新作『バーリア』は、第二次世界大戦前から現在へと至るシチリアの激動の現代史を描く。
今年ももちろん、上映後の監督や出演者と観客との質疑応答の機会も多数用意されており、難解な表現や意味が不明な箇所などを製作者と直接、議論を闘わせることができる。
なお、東京国際映画祭では、10月17日から25日まで開催されるコンペティション部門15作品すべてを鑑賞できるスペシャルパスチケットも販売中。