東京サクラグランプリはイスラエル映画『僕の心の奥の文法』!新藤兼人監督『一枚のハガキ』が審査員特別賞
第23回東京国際映画祭
第23回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが31日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、イスラエル映画の『僕の心の奥の文法』(ニル・ベルグマン監督)がコンペティション部門の最高賞にあたる「東京 サクラ グランプリ」を受賞した。ベルグマン監督は、2002年の映画『ブロークン・ウィング』以来、2度目の同賞受賞を果たした。
第23回東京国際映画祭コンペティション部門15作品ラインアップ
つかの間の平和を謳歌する1963年のイスラエルを舞台に、成長することを自らやめた少年アハロンの抵抗、そして心の揺れをコミカルな要素を交えながら繊細(せんさい)に描く。ベルグマン監督は、「席に着きながら、今回は賞が取れないと確信していただけに、本当に驚いている。映画はあくまでプロセスが大切。しかしこうして賞をいただけると、結果も大事だと思えますね」と喜びを爆発させた。
また、新藤兼人監督の反戦映画『一枚のハガキ』が審査員特別賞を受賞。新藤監督は車椅子で壇上に上がり、本作の出演者やスタッフ、そして審査員に感謝の意を述べた上で「これがわたしの最後の作品であります。わたしは今年で98歳。これ以上は無理だと思いますので、このへんでお別れをすることになりました。皆さんどうか元気で、これからいい映画を作ってください」とあいさつ。世界各国の映画人に向けたこの感動的なメッセージに対し、客席からは万雷の拍手が沸き起こっていた。
今年は審査委員長のニール・ジョーダン監督をはじめ、歌手で女優のジュディ・オング、プロデューサーのドメニコ・プロカッチ、ホ・ジノ監督、根岸吉太郎監督がコンペティション部門の審査にあたった。
「コンペティション部門」
●東京 サクラ グランプリ
『僕の心の奥の文法』(ニル・ベルグマン監督/イスラエル)
●審査員特別賞
『一枚のハガキ』(新藤兼人監督/日本)
●最優秀監督賞
ジル・パケ=ブランネール『サラの鍵』(フランス)
●最優秀女優賞
ファン・ビンビン 『ブッダ・マウンテン』(中国)
●最優秀男優賞
ワン・チエンユエン 『鋼のピアノ』(中国)
●最優秀芸術貢献賞
『ブッダ・マウンテン』(リー・ユー監督/中国)
●観客賞
『サラの鍵』(ジル・パケ=ブランネール監督/フランス)
●「TOYOTA Earth Grand Prix」
『水の惑星 ウォーターライフ』(ケヴィン・マクマホン監督/カナダ)
「アジアの風部門」
●最優秀アジア映画賞
『虹』(シン・スウォン監督/韓国)
「日本映画・ある視点部門」
●作品賞
『歓待』(深田晃司監督)