三池崇史監督、瑛太とカンヌの『一命』会見に登場!主演の市川海老蔵の暴行事件
第64回カンヌ国際映画祭
第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門『一命』の公式会見が現地時間19日に行われ、三池崇史監督と主演の瑛太らが出席した。同作品は、主演の市川海老蔵が昨年12月、本作撮影直後に暴行事件を起こし、「三池監督が怒っている」とか、「映画公開そのものが延期になるのでは?」など、松竹が公開決定のニュースを出すまでさまざまなウワサが飛び交った。
三池監督は暴行事件に触れ「映画監督と必要なのは、魅力的な芝居をしてくれる俳優。それが今の時代は減ってきていて、ある組織の中で、うまく大人として振る舞える人間が求められるようになった。でもそれって、キュウクツでつまらないですよね。だからと言って暴れるのがいいというワケではないですけど。彼に落ち度があっても、役者としての質は別もの」と全面的に海老蔵を擁護した。続けて「公開の延期などは一切考えなかった。それが逆に、市川海老蔵を傷つけることにもなる。むしろ、“これを見れば、彼がどれだけ素晴らしいかが分かるでしょう“と証明する必要があると思った」と堂々と答えた。
しかし、暴行事件を知らぬ海外メディアに説明する必要があると思ったのか「こうして僕が真面目に答えていると、彼が何をやったんだと思うでしょうけど、飲み屋で喧嘩しただけですから」とちゃめっけたっぷりに答えて、記者たちの笑いを誘った。
同作品は、実写として初めて、コンペティション入りした3Dとなった。そこで香港の記者からは「『十三人の刺客』に比べるとアクションシーンが少ないのに3Dにしたのはなぜか?」という質問が出た。三池監督は「たぶん『十三人の刺客』を3Dにしていたら、まだ撮影をやっていたと思う(笑)。我々は3Dというカメラに支配され、アトラクションとしての映画に向かわざるを得ない状態になっているが、今回、あえて使ったのは、日本家屋という狭い空間において3Dは、奥行きをじっくり撮ることができるから。小さな空間においては、3Dだから表現できることがあると思う」と説明した。
また、「今後も3Dを使うのか?」と問われると、「今のところは使い慣れた2Dの世界を。それはそれで、やるべきことはたくさんあると思う。もし機会があれば3Dもやってみたいが、3Dと言えば夢が飛び出るものだけど、自分なら人が出て欲しくないと思うものが全部出るようなモノを作りたい」と三池監督らしいユーモアあふれる発言を連発していた。(取材・文:カンヌ・中山治美)
映画『一命』は10月公開