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ヴィム・ヴェンダース監督、福島で無料上映 「どうしたら皆さんの助けになりますか?」に観客涙……

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気さくにサインに応じるヴィム・ヴェンダース監督
気さくにサインに応じるヴィム・ヴェンダース監督

 最新作『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』の公開を前に来日したヴィム・ヴェンダース監督が27日、東日本大震災の被災地である福島を訪れ、福島フォーラムにて無料上映会を行った。ヴェンダース監督は計画的避難区域で今は無人となってしまった飯舘村も訪問し、変わらない美しい景色とは対照的に変わり果てた現実を目の当たりにし、ショックを隠せなかったという。

映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』場面写真

 親日家であるヴェンダース監督は震災後、福島フォーラムのホームページに「日本映画の巨匠達から多くを得て学んだ映画人として、そして日本文化の熱狂的なファン、友人として、日本を襲った困難に対してこれ以上ないほど打ちのめされています」とメッセージを寄せ、自身の気持ちを表した。また「自分には何ができるのだろうか」と自問していたといい、映画の中に人を癒やす力があると信じている監督は、「地域のみなさんと語りあおうと思います」と激励を込め、今回の来日にあたり熱望していた福島への訪問と無料上映を実現させた。

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 上映前に飯舘村を見て回った監督は、避難により人のいない民家や設置されたガイガーカウンターの放射能数値を目の当たりにし、夜の舞台あいさつで「わたしはどうしたら皆さんの助けになりますか?」と抱いた思いを観客へ投げ掛けた。そんな監督の親身な様子に観客は涙を流し、抱き合って気持ちを分かち合う場面も。放射能の影響で家族が一緒に住めないことや、今後も家族と共に生活を送ることができないんじゃないかという不安を観客から打ち明けられた監督は、「絶対に二度とこのようなことがあってはいけないと、世界に知らせる責任がみんなにあると思います。その責任をみんながまっとうする気持ちでいるなら、わたしはどんなことでも手助けしたいと思っています」と被災した方々との対話を続けていく意向を明かし、映像作家としてできる表現を模索すると言葉を寄せた。

 今回が「一度目の訪問です。これからもぜひ受け入れてください」と謙虚に語る監督に励まされる人は多いはず。避けては通れない原発問題を抱える我々に、ひと時でも明かりをともしてくれたヴェンダース監督に感謝したい。

 『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』は、天才舞踏家ピナ・バウシュさんにフォーカスしたダンス・ドキュメンタリー。 ヴェンダース監督自身初となる3D作品で、来年度アカデミー賞外国語映画賞のドイツ代表作品にも選ばれている注目作だ。(編集部・小松芙未)

映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』は2012年2月25日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9ほか全国順次3D公開

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