女子高生が教師と性器交換?奇想天外な大型新人監督のPFFスカラシップ作品上映
第62回ベルリン国際映画祭
2月16日(現地時間)、第62回ベルリン国際映画祭フォーラム部門で映画『恋に至る病』が上映され、木村承子監督が質疑応答を行った。
本作は第21回PFFスカラシップ作品。さえない生物教師に恋した女子高生の、性器を交換したいという妄想が現実となってしまうことから始まる騒動を描いた物語だ。奇想天外でありながら、笑いを交えつつ、ジェンダーや男女関係、人と人とのつながりについて考えさせる佳品になっている。
脚本も手掛けている木村監督は「もともと異常な精神状態で恋愛に没頭する人に興味がありました。特に思春期特有の、相手を独占したいとか、自分の思いをゴリ押しで押し切る様子に強く惹かれたんです。そういった独占欲の果て、相手の体の一部を自分の中に取り込み、絶対に離れられない状態になったら、独占することができるのでは……というビジョンが思い浮かびました」と構想のきっかけを語った。
本作は、生物教師の共生と寄生についての講義が、そのまま人間関係に置き換えられるものになっているなど、独創的なアイデアだけでなく、細かい設定も効いている。登場人物の名前も、木村監督は「円という漢字があって、図形の丸、円満とか平和で満たされた状態も表します。その読み方をとって、ツブラ、エン、マドカにしました」と説明。そんな木村監督には、ベルリンの観客から「若い人が映画を作ることはうれしい。これからもたくさんの映画を作ってください」と激励のメッセージが寄せられた。(取材・文:山口ゆかり/Yukari Yamaguchi)