「韓国のゴダール」によるオムニバス映画 仏女優イザベル・ユペールが韓国俳優たちを絶賛
第65回カンヌ国際映画祭
現地時間21日、韓国からコンペティション部門に出品されている2作品の一つ『イン・アナザー・カントリー(英題) / In Another Country』の公式上映前に、カンヌ3度目の挑戦となるホン・サンス監督、イザベル・ユペール、ユ・ジュンサン、ムン・ソリ、ユン・ヨジョンが登場、終始和やかな雰囲気で記者会見に臨んだ。
脚本なし、テーマ未定という、サンス監督お決まりの撮影スタイルで製作された本作は、韓国の邊山半島にある海辺の町を舞台に、夏季休暇で同地を訪れた、アンナという名の三人の女性を映すオムニバス映画。ホン監督がカンヌに持ち込んだ過去2作品『女は男の未来だ』『映画館の恋』は、男女の微妙な距離や関係性を描いた。本作では、ホン監督のスタイルにのっとりながら、ベテラン仏女優イザベル・ユペールを、外国人女性三役で出演させるという、今までにない構成で、フランス現地でも関心が高い作品の一つとなっている。
ホン監督と初仕事となったイザベルは「ホン監督の作品に関われることは楽しい冒険」と述べ、「ホン監督の映画制作に台本がないと聞かされていたが、実際は毎日細かい指示書が手元に届くので、細部にわたる説明を読みながら必死に勉強した」と撮影の様子を語った。そのホン監督は、イザベルを起用した理由を聞かれ、「イザベルのことは彼女の作品を観て知っていた。一度カフェで初対面したときに7月に撮影をするということだけ伝えて、出演オファーをした。まさか彼女が受けてくれるとは思っていなかった」と明かした。
2010年に韓国で話題となった『ハウスメイド』などに出演するベテラン女優のヨジョンは「韓国ではフランス映画は良く観られており、イザベルのことはもちろん知っていたので、共演できると聞いてとて光栄だった。撮影現場では、イザベルは一切グチや文句を言わず、いつもにこやかに撮影に参加していた。彼女を見て、わたしもこれからは文句を言わないようにしようと心に誓った」とコメント、会場を笑いで包んだ。
韓国俳優たちが終始イザベルを褒め称える会見の中、最後はイザベルが自発的に「わたしも共演者に対してコメントさせてください。韓国の俳優はみんな才能があって素晴らしい。撮影現場では国や文化を超えて、同じ感情を共有できていた。ゆで卵やキャベツを、一緒にたくさん食べた思い出も共有している」とユーモアを交えて語り、締めくくった。(記者:高松美由紀)
第65回カンヌ国際映画祭は5月27日(現地時間)までフランス・カンヌで開催