蒼井優、なぜ映画を作るのかと悩んでいた…女優としての苦悩を吐露
映画『るろうに剣心』に出演している蒼井優が「女性としての在り方に共感した」という自身の役柄、そして女優という職業について、その思いを語った。本作で蒼井が演じるのは、代々医療を生業としている名家の娘・高荷恵。原作ではコアな人気を誇るキャラクターだ。
「恵という女性を理解したうえで、恵として作品に関わる……とわかってはいても、なかなか難しかったですね」と役へのアプローチについて語った蒼井は、アヘン作りに手を染めながらも、医者としての道を捨てられない恵について「彼女が悪の道に手を染めたのはあくまで生きるためなんです。恵は多くの人命を救った後、自分の素性を剣心に打ち明けます。そこでの恵はまったく別人のような顔になるんです。それまでの彼女は、生きるために恵自身を演じていたんでしょうね。女性にはそういう面がある。その部分は理解できるし、共感しながら演じました」と明かした。
では、女優である蒼井はどのような職業意識を持っているのだろうか。「社会人としての責任感は持つようにしています。作品は一人で作るものではないので、そんなに重い職業的責任は背負わなくてもいいのかなって思うんです」と言う蒼井だが、以前は今のように吹っ切れてはいなかったという。「10代の終わりごろ、『人はなぜ映画を作るんだろう?』って真剣に悩んだことがあって。その時に、『映画作りとは相当な責任を負う行為なんだ』ということを考えました。自分が表に立ち、作品が持つメッセージを誰かに届けるという責任。だから、『メッセージに共感できない映画には参加できません!』なんて偉そうなことを言っちゃったこともあります」と振り返る。
そうした経験を経たことで、今は少し肩の力が抜けたそうだ。「詩や短歌が作られる意義は、『その美しい言葉の羅列をこの世に存在させること』という話を聞いたことがあります。映画もそれぐらいでいいのかなって思えたんです。わたしたちの仕事は、メッセージを伝えること以上に映画を存在させることなんだって」と語る顔つきは真剣そのものだった。
そんな蒼井によると、本作は「熱い人たちが作った熱い場面の連続を、大友啓史監督がまとめ上げました。単なる時代劇ではなく、“大友版時代劇”になっています」とのこと。人間ドラマ、コメディー、アクションとさまざまなジャンルで活躍する真の女優は、共演者、スタッフと共に、また一つの映画を存在させている。(取材・文:大小田真)
映画『るろうに剣心』は8月25日より全国公開 8月22日~24日に先行上映