サム・ライミが製作に名を連ねた新作ホラー映画がゾクッっと全米トップ! -9月3日版
全米ボックスオフィス考
アメリカでは夏の終わりを告げるレイバー・デイ(労働者の日)の連休となったこの週末、実話を基にした新作ホラー映画『ザ・ポゼッション(原題) / The Possession』が1,770万ドル(14億1,600万円)の興収を上げてナンバーワンとなった。レイバー・デーの連休は前後の週末を含めて映画館への客足が鈍る時期として知られている。はっきりした理由は不明だが、恐らくアメリカの文化としてレイバー・デーの週末は夏の終わりを惜しんで家族や友人同士が自宅の庭などでバーベキューパーティーを開くのが常となっていることから、劇場への足が遠のくのではないかと推測される。(1ドル80円計算)
第2位は、ウエスタン・クライム映画『ロウレス(原題) / Lawless』で1,000万ドル(約8億円)の売り上げ。映画『ダークナイト ライジング』で悪者ベインを演じ話題沸騰中のトム・ハーディ、そしてシャイア・ラブーフが禁酒法時代の密造人を演じる。今週トップの『ザ・ポゼッション(原題) / The Possession』上映館数2,816を上回る2,888館で封切られたのだが、一般映画ファンはホラー映画の方がポップコーン片手に手軽に楽しめると判断したようである。
先週トップだった人気アクション映画『エクスペンダブルズ2』は、3週連続ナンバーワンを阻止されたばかりか2ランクダウンで3位。興収は890万ドル(約7億1,200万円)だった。しかし、『エクスペンダブルズ2』の配給会社であるライオンズ・ゲートは今週トップの『ザ・ポゼッション / The Possession』の配給会社でもあり、ビジネスの見地から考えるとライオンズ・ゲートという会社はチャート上で3週連続ナンバーワンを達成したことになる。今年上半期の大ヒット映画『ハンガー・ゲーム』も同社配給作品で4週連続トップを記録しており、今年はライオンズ・ゲート作品が豊作の年といって良さそうだ。
第4位は、先週から21.5パーセント興収ダウンとなった映画『ボーン・レガシー』で733万ドル(約5億8,640万円)。今週末までには興収1億ドル(約80億円)の大台に乗るとみられているものの、興収が1億2,170万ドル(約97億3,600万円)を記録した映画『ボーン・アイデンティティー』には追いつかないであろうと予想されており、関係者たちにとっては残念な状況といえる。今週トップ5を締めくくるのは、アニメ映画『パラノーマン(原題) / ParaNorman』で657万ドル(約5億2,560万円)となっている。
さて、今週はありがたくない記録を残してしまった新作がある。上映館2,160件で大型ロードショーされたにもかかわらず第26位に終わり、見事にコケてしまったファミリー映画『ジ・ウウギーラブズ・イン・ザ・ビッグ・バルーン・アドベンチャー(原題) / The Oogieloves In The Big Balloon Adventure』である。2,000館以上の封切館でこの成績は歴代最悪。この作品を入場料7ドル(約560円)で1日5回上映したとすると1回の観客動員数は2人以下という勘定になるらしい……ハリウッドの興行合戦、ただ封切り館数が多ければいいというのは大きな誤算となるパターンもあり得る悪い見本となってしまった。
次回のチャート予想だが、今週末の封切り作品から判断するにボックスオフィスが活気を見せるのはもう少しだけ先になりそうだ。ちなみに週末の大型デビュー作品は2本で、ブラッドリー・クーパー主演のドラマ映画『ザ・ワーズ(原題) / The Words』と次期スーパーマンとして注目を集めているヘンリー・カヴィル主演映画『シャドー・チェイサー』だ。
後者は、ブルース・ウィリスとシガーニー・ウィーヴァーが出演しているアクション・スリラーで、何となく興味はあるものの、ヘンリーがまだ未知のタレントであることに加えてPRが非常に貧弱であることから、この映画の大ヒットはまず見込めない。前者は、ジェレミー・アイアンズとデニス・クエイドが脇を固めた重厚そうなドラマだが、本作を観に映画館に足を運ぶお客がどれだけいるかはフタを開けてみないとわからない……ということで果たして次回トップ5はどうなるか楽しみだ。 (文・ロス取材: 明美・トスト/Akemi Tosto)