「踊る大捜査線」終了後…フジテレビ映画の今後は? 亀山千広プロデューサー語る
15年の歴史に終止符を打つ映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』の公開を受け、「踊る大捜査線」シリーズのプロデュースを手掛けてきた亀山千広プロデューサーが、15年間を振り返り、フジテレビ映画の今後を語った。
映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』写真ギャラリー
「踊る大捜査線」シリーズの始まりは、亀山プロデューサーの「これまでとは違う刑事物を作りたい」という思い。そう考えてたどり着いたのが、「警察組織を描く」ということだった。「港区の台場で事件が起こったとしても、その犯人が逃げますから、その人を捕まえるのは、例えば九州の刑事だったりする。ということは、刑事は何で動いているかというと、組織で動いている。だとしたら、事件の担当者がテレビドラマのように犯人を捕まえるということもそうないのだろう。だったら、犯人を捕まえない刑事ドラマがあってもいいのだろうと思った」。
そうして始まったシリーズは、監督と役者の自由が利く幅を持たせた君塚良一の脚本、そして、それを楽しんで演出し、演じた本広監督と役者たちにより、『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』では、興行収入173億5,000万円を記録する国民的人気シリーズへと成長した。そんなシリーズの歩んできた歴史を振り返り、亀山プロデューサーは「『踊る大捜査線』は自分の体の一部。その後の作品は全部『踊る大捜査線』があったからです」と語る。
「踊る大捜査線」シリーズの完結により、フジテレビは大きな人気コンテンツの一つを失うことになるが、「『海猿』を撮った羽住(英一郎)は、『踊る大捜査線』のテレビシリーズのときのチーフADですし、『SP』を撮った波多野(貴文)もそう、『踊る大捜査線』から5人以上の監督が生まれている。踊るイズム、青島イズムは広がっている」と亀山プロデューサー。15年を経て、「青島イズム」とは、「仕事に対する誇りと責任を持つこと」であり、「組織は、現場の人間が仕事に対する誇りと責任感を感じられるものであるべきだし、それを感じることができる組織は強くなる」と実感したという。
「青島のような部下がいたら面倒」と語る一方、「僕も、『これをやらせてくれ』『あれをやらせてくれ』『僕を信じてくれ』と言って、何度もこけたことがあるので、あまり人のことは言えないですけど、上司の反対を押し切って成立した企画の方が、反対されているから用意周到に準備をするし、新しい、観たことのないものになる。自分の『踊る大捜査線』を作ったときに、“青島のような部下”になったといえる。自分の『踊る大捜査線』を作ってほしい」と後輩たちに希望を託した。(取材・文:編集部 島村幸恵)
映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』は全国公開中