小津安二郎監督の遺作がカンヌで上映!是枝裕和&ジャ・ジャンクーが魅力を語る!
第66回カンヌ国際映画祭
小津安二郎監督の遺作『秋刀魚の味』のデジタルリマスター版が現地時間23日、第66回カンヌ国際映画祭クラシック部門にてワールドプレミア上映され、是枝裕和監督とジャ・ジャンクー監督が小津作品の魅力を語った。
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是枝監督は「僕がこの作品を最初に観たのは、学生の頃。カラー映画なのに、まるでモノクロ映画のようで、音もズタズタだったんです。今日デジタルリマスター版で初めて小津の色彩設計に触れることができるのではないでしょうか? 初めてこの作品を観る皆さんがうらやましいです」と観客に語り掛けた。
さらに「あのころは難解でわからなかったけれど、大人になってから観ると、この映画は実はとても残酷なんです。この映画が一体誰の視点から作られているかというと、登場人物の誰かではなくて、戦争中に亡くなってしまった死者の目線から描かれているのだと思っています」と作品を分析した。
ジャ・ジャンクー監督は、中国で映画の勉強をしていた時期に小津作品をたくさん観たと明かす。一番のお気に入り作品を聞かれると「いい作品がたくさんありすぎてわからないけれど、『晩春』と『一人息子』が好きです」と回答。小津作品の魅力については「とてもシンプルでパワフルな彼のスタイルは素晴らしい」と絶賛した。
映画『そして父になる』(是枝監督)と映画『ア・タッチ・オブ・シン(英題)/ A Touch Of Sin』(ジャ・ジャンクー監督)は、それぞれ今年のコンペティション部門で上映された。二人の監督はデビューの時期も一緒だったといい、ジャ・ジャンクー監督は「中国の映画業界で映画を作っていると、時に孤独を感じますが、是枝監督をはじめ世界の監督と出会えたことで孤独を感じなくなりました」と語った。
日本の是枝監督、中国のジャ・ジャンクー監督に大きな影響を与えた小津監督。本作が、長年の歳月を超えてカンヌで上映されたことに関して、是枝監督は「ただ新しい作品だけに目を向けるのではなく、このような日本の名作にも目を向けてくれるカンヌ映画祭に感謝したい」と話した。小津監督が誕生してから100年。松竹は、「2013年小津安二郎 生誕110年・没後50年記念プロジェクト」として映画『秋刀魚の味』のほか、『彼岸花』『お早よう』『秋日和』をデジタルリマスター版で美しく復元する。(編集部・森田真帆)
第66回カンヌ国際映画祭は5月26日まで開催