石井竜也、被災した故郷に涙の思い出…地元ロケの映画完成に喜び
茨城県出身の石井竜也が2日、東京・上野で行われた映画『天心』の完成披露記者会見に竹中直人、平山浩行、松村克弥監督とともに出席し、自身の地元を舞台とした作品の完成に、感激の表情を見せた。
本作は、天心東京藝術大学や日本美術院の創立に携わるなど、日本近代美術の父と言われた岡倉天心の半生を、弟子の目を通して描いた作品。今年は彼の生誕150周年、没後100周年の節目にあたり、この日が9月2日の命日と重なることから、彼にゆかりの深い同大学で完成披露が行われることとなった。
その天心が半生を過ごした茨城県北茨城市の五浦海岸にある建築物「六角堂」は、日本美術の聖地として国内外から多くの観光客が集まる聖地だった。しかし、2011年の東日本大震災に伴う津波で失われる。本作に主題歌「亜細亜の空」を提供した石井は、六角堂の近くに育ち、曾祖父は天心と交流を持っていた人物。それだけに六角堂が流されたときを「大泣きしました」と振り返る。
しかし「六角堂復興を北茨城復興のシンボルに」を合言葉にした地元の協力により、六角堂は再建。また復興支援映画として、本作のロケが同地で行われた。ついに完成となったことに石井は、「涙が出るくらいうれしかったですね」と感激の表情。松村監督も「石井さんの曲を聴くと六角堂を思い出します。石井さんに音楽をやってもらって本当に良かった」と笑顔を見せた。
一方、天心を演じた竹中は「天心を演じるのはエネルギーが要りました。演じた後はヘロヘロになった」と述懐。それに対して石井は「天心の役は、絵を知っている人にやって欲しいと思っていた。竹中さんが天心をやると聞いて飛び上がるほどうれしかった。竹中さん自身が最後には岡倉天心になっているのを見て、竹中さんの役者魂をすごく感じました」と感激した様子を見せた。
会見後じゃ、天心にゆかりのある同大学の奏楽堂で完成披露試写会が行われ、木下ほうか、橋本一郎、渡辺裕之、キタキマユ、神楽坂恵、城之内正明らも参加。さらに東京藝術大学の宮田亮平学長が、東京美術学校(同大学の前進)の制服姿で岡倉天心にふんして登場し、竹中とのツーショットを披露するなど、会場は大きな盛り上がりを見せた。(取材・文:壬生智裕)
映画『天心』は10月5日よりMOVIXつくば 10月19日よりシネプレックス水戸ほか茨城先行公開、11月16日よりシネマート新宿ほか全国順次公開