『風立ちぬ』に登場するカプローニ氏の孫、宮崎駿監督の引退惜しむ「気が変わってほしい」
第70回ベネチア国際映画祭
現地時間1日に行われた宮崎駿監督のアニメーション映画『風立ちぬ』の第70回ベネチア国際映画祭公式上映に、同作に登場するイタリアの飛行機製作者ジャンニ・カプローニ氏の孫イタロ・カプローニ氏が駆け付けた。スクリーンでよみがえった祖父の姿に、イタロ氏は「わたしが抱いている祖父のイメージとピッタリ。宮崎監督は祖父を完璧に描いた」と絶賛した。
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映画の中でのジャンニ氏は、ゼロ戦を設計した主人公・堀越二郎に大きな影響を与えた人物で、夢の中でも数々の助言を二郎に与えるという重要な役割を担っている。宮崎監督自身も以前から高い関心を抱いており、スタジオジブリの社名も、ジャンニ氏創業の飛行機会社カプローニ社の爆撃機名から名付けられていることで知られる。
今回はジャンニ氏が描かれるとあって、カプローニ家は社史や設計図などの資料を宮崎監督に提供して全面協力している。観賞後、イタロ氏は「とても美しい映画です。一つの時代を描くフレスコ画のよう」と称賛。しかし、宮崎監督が引退することについて尋ねると「もし、健康のことで引退されるなら仕方ないと思いますが、別の理由があるのなら気が変わってほしい。彼のよう優秀な映画作家は数少ない」と語気を強めた。
実はイタロ氏は現在、森林の保護活動を行っており、それは『となりのトトロ』などのジブリ作品を観て育ったことによるところが大きいという。イタロ氏は「宮崎監督が描く自然は、わたしに大きな影響を与えてくれたと思う」と述べ、宮崎監督の足跡をたたえた。(取材・文:中山治美)
映画『風立ちぬ』は公開中
第70回ベネチア国際映画祭は現地時間9月7日まで開催