内野聖陽、羽生選手の金メダルに映画への思い重ねる
東日本大震災の被災地に住む家族を描いた映画『家路』の完成披露プレミア上映会が20日、新宿ピカデリーで行われ、松山ケンイチ、内野聖陽、久保田直監督が出席した。
同作はテレビドキュメンタリーを中心に活躍し、ギャラクシー大賞を筆頭にさまざまな賞を獲得してきた久保田直がメガホンを取ったヒューマンドラマ。震災によって故郷を失った農家の家族が試練を乗り越えながら絆を強めていく姿を描く。
震災で大切な土地を失い、絶望的な中で生きる長男を演じた内野は、「映画はフィクションだけど、(映画と同様)農家の長男で土地を奪われて、家族は仮設住まいという方も実際にいらっしゃる。そんな中で、まず最初に思ったのは、この福島の悲しみを前に自分はどうしたらこの役を演じることができるだろうかと。それが大きくて、常に悩んでいるところはあった」とプレッシャーを感じていたことを明かした。
それでも演じきった内野は、撮影がオール福島ロケで行われたことや、実際の仮設住宅などが撮影に使われたことについて触れて、「福島の土地から頂いたものや、福島の方々との出会いのおかげで、何とかこの男を演じきれたところがあった。福島に感謝しています」と撮影を振り返った。
トークの後半でオリンピックの話になると、内野はフィギュアスケート男子シングルで金メダルを獲得した羽生結弦選手について、「震災の苦労から立ち上がってきたという話に勇気をもらいました」と映画と重ねて共感する一幕も。主演の松山も「日本代表として行かれている選手の皆さまからは勇気を頂いていますし、この作品もそういう意味で観てくれる方に対して、何かをあげられるような、前向きにさせられるような作品だと思うので、たくさんの方に観てもらいたい」と思いを込めた。(中村好伸)
映画『家路』は3月1日より新宿ピカデリーほか全国公開