ジュディ・デンチ、意外にも初となるアカデミー賞主演女優賞受賞なるか
第86回アカデミー賞
映画『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー賞助演女優賞に輝いた英国女優ジュディ・デンチが、最新作『あなたを抱きしめる日まで』でアカデミー主演女優賞を獲得できるかどうか注目されている。
1965年の新人賞を皮切りに、英国アカデミー賞では主演・助演で史上最多の15回ノミネート(内6回受賞)という堂々たる記録を持つベテラン女優ジュディ。イギリスを代表する演技派として長いキャリアを誇ってきた彼女だが、オスカーでの受賞はまだ助演女優賞のみ。主演女優賞には、本作を除いて4回ノミネートされているものの、今のところ受賞には至っていない。
そんな彼女が『あなたを抱きしめる日まで』で演じているのは、若くして未婚のまま出産した息子を修道院に奪われた実在の女性フィロミナ。里子に出された息子の安否を50年間も心配し続けた彼女が、ジャーナリストの協力を得てその行方を捜す。過酷な運命に翻弄(ほんろう)されながらも、希望を失うことなく前進する彼女の勇気と深い母性愛が観客の胸を揺さぶる作品だ。
フィロミナ本人に直接会って人柄などを参考にしつつ、黄斑変性症に苦しみながら思考ではなく本能で役づくりに臨んだというジュディ。その情感あふれる演技に対して、「普通の主婦を演じるジュディ・デンチがとても新鮮」(吉行和子)、「母親の息子に対する深く切ない愛に胸を打たれた」(岩下志麻)、「フィロミナを抱きしめたい気分です」(余貴美子)など、日本映画界を代表する大物女優たちからも続々と賛辞が寄せられている。
ジュディはこのフィロミナ役で女性映画批評家協会賞の最優秀女優賞を獲得したほか、ゴールデン・グローブ賞やサテライト賞などの候補にも挙がったが、やはり最も期待されているのは5度目のノミネートとなるアカデミー主演女優賞の結果。メリル・ストリープやケイト・ブランシェットら強豪ぞろいのライバルを押しのけてオスカー像を獲得できるのか? 日本時間3月3日の授賞式を期して待ちたい。(なかざわひでゆき)
映画『あなたを抱きしめる日まで』は3月15日より全国公開
第86回アカデミー賞授賞式は、3月3日(月)午前9時よりWOWOWプライムにて生中継(夜9時よりリピート放送)