リドリー・スコット監督、『エイリアン』はキューブリックと『スター・ウォーズ』の影響受けた
第40回トロント国際映画祭
リドリー・スコット監督が現地時間11日、第40回トロント国際映画祭で行われた新作SF映画『オデッセイ』の記者会見に出席。初期の監督作『エイリアン』(1979)は、『2001年宇宙の旅』(1968)などの巨匠スタンリー・キューブリック監督と、ジョージ・ルーカス監督の『スター・ウォーズ』(1977)からの影響を受けていると語った。
マット・デイモンら豪華キャストがずらり!『オデッセイ』トロント会見フォトギャラリー
事故によって火星に一人置き去りにされた宇宙飛行士マーク・ワトニー(マット・デイモン)が、科学の力を駆使して4年後に予定されている次の火星でのミッションまで生き残ろうとするさまを洗練されたユーモアと共に描く本作。原作は、アンディ・ウィアーのベストセラーSF小説「火星の人」だ。
本作をはじめ、『エイリアン』(1979)、『ブレードランナー』(1982)、『プロメテウス』(2012)などSF映画を手掛けてきたスコット監督は「SFのビッグダディーはスタンリー・キューブリックだ」と明かすと、「ロンドンの大きな劇場で、新しくリリースされた70mmバージョンの『2001年宇宙の旅』を観たことを覚えている。とてもショックを受け、『OK、SF映画を作ろう』と思った。だからスタンリーのことは決して忘れない」とSF映画を制作するきっかけにキューブリック監督の存在があったことを挙げる。
「それはジョージ(・ルーカス監督)にも影響を与えた。わたしの『エイリアン』は確実にスタンリーに、そして少し『スター・ウォーズ』に影響されている」と脈々と続くSF映画の系譜に言及した。
また、撮影時には俳優の演技を逃さないようにたくさんのカメラで俳優を囲むようにし、リハーサルをほとんどしないことで知られるスコット監督。「わたしは映画学校、演劇学校には行っておらず、もともとデザイナーだった」と切り出すと、「ある日、(デザイナーとして入った)BBCが脚本を寄こして『これを監督して』と言われ、オフィスを与えられ、そこに経験豊富なアシスタントが居た。キャスティングは、俳優たちの名前が書かれたリストを渡され、『この中にいい人はいる?』と彼女に聞きながらやったんだよ。撮影では6台のカメラを使い、それで視聴率はなかなかよかった」と実践で監督業を学んだと語る。
「それから“伝統的なリハーサル”をやることもあったのだが、わかったのは、『リハーサルのやりすぎは俳優の直感を殺す』ということ。もし正しいキャストを集めたなら、彼らの自由にさせろ。だからわたしは1テイク、2テイク目のものを使う」とテイクを重ねない理由、そして本作での俳優陣の演技の良さは俳優陣自身がもたらしたものだと説明。スコット監督の隣に座っていたマットは「僕がもう1テイクやりたいと言ったら。『(素晴らしかったのに)なぜ。みんなの時間を無駄にしたいのか?』と言われた(笑)」とそんな監督とのエピソードを明かし、会場を沸かせていた。(編集部・市川遥)
映画『オデッセイ』は2016年2月よりTOHOシネマズスカラ座ほか全国公開
第40回トロント国際映画祭は現地時間20日まで開催