殺した人の腕を持ち帰って金稼ぎ…『ターザン』の基になった残酷な歴史
人気俳優サミュエル・L・ジャクソンが、夏の大作『ターザン:REBORN』(7月30日日本公開)について、6月29日(現地時間)ニューヨークのAOLで行われたイベントで語った。
本作は、コンゴのジャングルで育った英国貴族ターザン(アレキサンダー・スカルスガルド)が、愛する妻ジェーン(マーゴット・ロビー)と故郷のために、過酷な試練に立ち向かう姿を描く。サミュエルは、キリスト教の牧師でジャーナリストの顔を持つ実在の人物ジョージ・ワシントン・ウィリアムズを演じた。ジョージは、当時のコンゴの実態を暴露した人物でもある。監督は映画『ハリー・ポッター』シリーズのデヴィッド・イェーツが務めた。
出演経緯について「僕が演じたジョージについては事前知識はなかったが、今作のオリジナル脚本を執筆したクレイグ・ブリュワーが僕にメールをくれたんだ。彼から『ターザン:REBORN』には僕が興味を示すキャラクターがあると言われて、その時ようやくジョージの存在を知った。その後、デヴィッド監督から(ジョージの)リサーチ資料が送られてきた」と明かした。
コンゴを支配したレオポルド2世とは「ベルギー国王レオポルド2世支配下のコンゴでは、ホロコーストのようなことが起きていた。彼は、現地人に対して天然ゴム、象牙、ダイヤモンドの過酷な採取労働を課して貿易を行った。当時の米国は彼が行っていた現地人への残虐な行為を理解せずに、彼に資金を送っていた。だが彼の鉄道建設の資金が底をつき、彼個人の部隊は持てなかったことから、金目当ての傭兵(ようへい)を使った。傭兵たちは銃弾を渡されるが、動物を撃つことはできず、人(現地人)だけを撃つことが許され、その殺した人の腕を持ち帰って金を得て、また銃弾を渡されていた」と驚くべき真実を語った。
サミュエルが演じたジョージについて「彼は当時の黒人差別の中で、時に自分を偽って外国に渡航していて、実際に彼は米国の使者と偽って多くの人を納得させていた」と説明した。また、デヴィッド監督とのタッグについて「彼は本当に素晴らしい監督だ。彼は繊細な感受性を持っていて、何が(セットで)起きてほしいか良いアイデアを持って臨んでいる」と語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)