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ロマンポルノに憧れて日活に入社したホラーの鬼才・中田秀夫監督

日活ロマンポルノのリブートプロジェクトや作品について語る中田秀夫監督
日活ロマンポルノのリブートプロジェクトや作品について語る中田秀夫監督

 第21回釜山国際映画祭で11日(現地時間)、生誕45周年を迎える日活ロマンポルノのリブートプロジェクトとして製作された5本のうち3本が上映され、そのうちの一本である『ホワイトリリー』の中田秀夫監督がオープンイベントの「talk to talk」で本プロジェクトや作品について語った。

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 「ロマンポルノ」について聞かれた中田監督は、「“ロマン”とはフランス語で“物語”という意味があります。これは造語なのですが、“ロマンポルノ”とは“物語”をしっかり持っているポルノ映画を撮るという意思表明なのです」と製作意図を伝えた。

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 さらに映画会社の日活がロマンポルノを打ち出した理由について、「当時、主にテレビに押されていた日活が、エロティックな場面がない映画では集客が難しくなってきたため1971年から成人映画のレーベルとして打ち出されたもので、1988年に打ち切られるまでの間に約1,100本もの作品が作られました。かなり自由に製作できたのですが、スタジオを持っていた日活だからできたことだと思います」と語り、監督の意思が通りやすく、才能ある若い女優や監督が集まりやすい環境だったことを明かした。

 続けて日活ロマンポルノのクオリティーについて中田監督は、「10分に1回ほど情事のシーンがあり、70分ほどで収まる作品であれば、基本的に自由に撮影できたので、芸術性のあるアートハウス系の映画として評価される作品も多くありました」と神代辰己監督などの名前を挙げて説明を続けた。

 ロマンポルノに憧れて日活に入社した中田監督だが、助監督をしていた時期にプロジェクトが打ち切りとなってしまったため、今回のリブートで初めてロマンポルノを監督することになるという。自身の作品のキャストについては当時のように新人に近い俳優に出演してもらったが、女性プロデューサーが多く参加していることで、本プロジェクトには新しい視点が入っていると説明した。

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 2012年に日活ロマンポルノの特集上映を渋谷で行った際、女性客が多かったことについて聞かれると中田監督は、「女性のキャラクターの生き方がしっかり描かれていてカッコいい女性として観られたからだと思います。インターネットでのポルノのようにただ消費されるものとは違い、映画に“ロマン(物語)”があるのです。30年、40年と生き残ってきた理由がそこにあると思います」とコメント。最後に「メインストリームのB級として生き続けていけたらと思います。韓国でも応援してくれるとうれしい」と日活ロマンポルノへの思いを伝えた。(取材・文:芳井塔子)

映画『ホワイトリリー』は2017年2月上旬より新宿武蔵野館ほか全国順次公開

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