ボストンマラソン爆弾テロ事件で、実際に犯人を撃った警官が裏側を語る
2013年4月15日に起きたボストンマラソンでの爆弾テロ事件を描いた映画『ペイトリオッツ・デイ(原題) / Patriots Day』について、ウォータータウンの巡査部長ジェフ・パグリースさんが、1月13日(現地時間)ニューヨークのAOL開催のイベントで語った。
【写真】ピーター・バーグ監督×マーク・ウォールバーグ『ローン・サバイバー』
本作は、282人の負傷者と3人の死者を出したボストンマラソンでの爆弾テロ事件が起きるまでと、事件後、トミー・サウンダース巡査部長(マーク・ウォールバーグ)を含めたボストン警察による犠牲者救出の迅速な対応、さらにテロリストの追跡や激しい銃撃戦を克明に描いたオスカー候補の話題作。映画『ローン・サバイバー』のピーター・バーグが監督を務め、マークと再タッグを組んだ。
事件現場に出動したジェフさんは、テロリスト、タメルラン&ジョハル・ツァルナエフ兄弟との銃撃戦について「ほとんどの銃撃戦は、10~15秒以上長引くことがなく、銃弾も4、5発で済むことが多いが、このテロリストの銃撃戦は約8分半、5、6発の爆弾が投げ込まれ、400~600発の銃弾が放たれ、まるで戦地にいる感じだった」と振り返った。警察官として、いかなる状況の訓練を受けているわけだが、これまでこのような銃撃戦に出くわしたことはあるのか。「(テロ事件が起きるまでの)34年間、2、3回銃を向けたことはあるが、一度も人に向けて撃ったことはなかった。唯一撃ったのはあの事件だけで、その後も人に向けて撃ったことはない」と明かした。
タメルラン容疑者に致命的な傷を負わせたのもジェフさんだった。「僕が現場に着いたときは、3人の警官たちが激しい銃撃戦で身動きがとれなくなっていたため、裏庭から回り込んでタメルランを攻撃した。なかなか倒れないタメルランに対して9発の銃弾を打ち込んだ」。
完成した映画を観てジェフさんは「事件当時、僕やほかの街から来た警官たちに起きたこと(テロ事件や銃撃戦)を鑑賞するのは、非現実的に思えた。でもスタッフや監督は、栄光をたたえるようには描かず、ドキュメンタリー調の長編作品として、あの日起きたことを忠実に映し出していた」と語り、出来栄えに満足したようだった。(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosoki)