『パシフィック・リム』制作会社レジェンダリーの名物CEOが辞職…中国企業の買収後
映画『パシフィック・リム』や『GODZILLA ゴジラ』などで知られる制作会社レジェンダリー・エンターテインメントの創設者で会長兼CEO(最高経営責任者)のトーマス・タルが辞職した。レジェンダリーと大連万達(ワンダ)カルチュラル・インダストリー・グループが発表した。
タルは2005年にレジェンダリーを設立。『ダークナイト』3部作や『ハングオーバー』シリーズ、『パシフィック・リム』『マン・オブ・スティール』『GODZILLA ゴジラ』『ジュラシック・ワールド』といった数々のヒット作を手掛けるなどプロデューサーとしての貢献度は絶大で、昨年1月にレジェンダリーが中国のワンダグループに35億ドル(4,025億円・1ドル115円計算)で買収された後もそのままCEOの座に就いていた。
しかし、The Hollywood Reporter が複数の関係者の話として報じたところによると、ワンダはタルの経営手法や、マット・デイモン主演作『グレートウォール』や『パシフィック・リム』続編といった最近のプロジェクトに不満を募らせるようになったとのこと。そしてワンダからの圧力が今回の辞職につながったという。ワンダのCEOであるジャック・ギャオがレジェンダリーを暫定的に率いることになり、その間に新たなCEOを探すことになる。ギャオは「ワンダはレジェンダリーを次世代のスタジオへと変革することを目指します」とコメントしている。
ワンダは中国に超巨大スタジオを建設しており、同所で『パシフィック・リム』および『GODZILLA ゴジラ』の続編を撮影する予定。また、ゴールデン・グローブ賞授賞式などを手掛ける米テレビ制作会社ディック・クラーク・プロダクションズや米シネコン大手AMCも買収済みで、アメリカのエンタメ界で一層大きな存在となっていくだろう。
タルは「1年の移行期間を経て、レジェンダリーは素晴らしいリーダーシップによって安定しました。そのためわたしはレジェンダリーを去り、新たな関心事や計画してきた試みを追いかけることができるのです」と声明を出している。今後は自身の投資会社タル・インベストメント・グループの仕事などに注力するが、ゴジラやキングコングが登場する巨大生物の映画シリーズと『砂の惑星』を基にした新作には、引き続きプロデューサーとして関わることが決まっている。(編集部・市川遥)