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日本と香港のインディペンデント映画を一挙に!初の試みに森達也監督ら参戦

当局に強制閉鎖させられた北京の芸術村の事件をモデルにした『アウト・オブ・フレーム』より
当局に強制閉鎖させられた北京の芸術村の事件をモデルにした『アウト・オブ・フレーム』より

 独自のスタイルで時代を斬る野心作を発表している森達也山本政志濱口竜介ら日本を代表する気鋭監督と、激動する社会を映像で捉えた香港の監督たちが“交流戦”を行う初の試み「日本・香港インディペンデント映画祭2017」が4月15日~21日、東京・テアトル新宿で開催される。主催者の一人であるリム・カーワイ監督は「両方にとって刺激になるのでは」と大きな期待を寄せている。

日本初公開も!上演作品フォトギャラリー!

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主催者の一人であるリム・カーワイ監督

 同映画祭は連夜、日本と香港の映画を2本立てで上映し、その後、両作の監督たちがトークする。日本側は著書や発言が何かと話題になる『FAKE』の森達也監督、プロデュース作品『ろくでなし』(4月15日公開)の制作過程で奥田庸介監督と決裂し、先日、完成披露試写会の場で“公開ガチ喧嘩”をした『水の声を聞く』の山本政志監督という論客2人が参戦。そこに、長期の海外生活を経験し、グローバルな視点を持つ『THE DEPTHS』の濱口竜介監督と、『下衆の愛』の内田英治監督。助監督出身で制作現場を知り尽くしている『ディアーディアー』の菊地健雄監督。長編デビュー作『ケンとカズ』で日本映画監督協会新人賞を受賞した小路紘史監督ら若手も加わった。

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 香港側も負けてはいない。香港の反政府デモ“雨傘運動”に密着したドキュメンタリー『乱世備忘-僕らの雨傘運動』のチャン・ジーウン監督、中国返還後の殺伐した香港社会を映し出す『狭き門から入れ』のヴィンセント・チュイ監督と『遺棄』のマック・ジーハン監督らいずれも政権批判を恐れぬ強者たちが来日。いずれの作品も日本初公開となる。

 実際、『乱世備忘-僕らの雨傘運動』と、中国当局が北京の芸術村を強制閉鎖した実話をモデルにした『アウト・オブ・フレーム』は“自主規制”によりいまだ香港では劇場公開されていないという。また、『私には言いたいことがある』で上海警察の不祥事を暴き、中国から香港への亡命を余儀なくされたイン・リャン監督は新作短編『九月二十八日・晴れ』を引っ提げて久々に来日する予定だったが、ビザ申請の手続きが難航し実現が叶わなかった。

 リム監督は「ひとくくりに自主映画と言っても日本と香港では趣が異なります。日本映画はよく“内向き”と評され今回はそうではない作品を選びましたが、対して香港はエンタテインメントの手法を使って、いかに社会と交わるかを意識して製作している。両者の違いを認識し、討論を重ねることで自主映画の新たな可能性が生まれたら」と語る。また、本映画祭並びに上映する香港映画のほとんどが、香港芸術発展局の助成を受けており、国の映画製作支援の在り方を一考する機会にもなりそうだ。

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 リム監督は「香港では自主映画とはいえ、製作費は1,000万円以上かかっており、逆に言えば助成金なしでの製作はありえない。ただし政府を刺激する映画をつくれば公開出来ないという例も出てきており、今後も香港芸術発展局が支援し続けてくれるとは限らない。その点、日本の自主映画はたくましく自分たちで資金を集めて公開まで漕ぎ着けている。今回の交流は、香港の監督たちの方が参考になるのでは?」と持論を述べた。(取材・文:中山治美)

「日本・香港インディペンデント映画祭2017」は4月15日~21日、東京・テアトル新宿にて開催(日本映画は全て英語字幕付きで上映)、6月3日からは大阪のシネ・ヌーヴォにて香港作品のみ上映

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